『TRIO パリ・東京・大阪 モダンアート・コレクション』が東京国立近代美術館で開催中
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「TRIO パリ・東京・大阪 モダンアート・コレクション」 (撮影:飯塚さき)
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すべて見るモダンアートのコレクションを築いてきたパリ市立近代美術館、東京国立近代美術館、大阪中之島美術館の3館がタッグを組んだ『TRIO パリ・東京・大阪 モダンアート・コレクション』が、5月21日(火) より東京国立近代美術館で開かれている。本展覧会は、テーマやコンセプトに合った作品を各館から1点ずつ選出し、文字通り「トリオ」として展示するというユニークなもの。見どころは、時代やアーティスト、流派、素材などが異なる3作品が隣り合い、それらを同時に見られる点。まさに、キュレーターたちの企画力が生んだ興味深い展示といえよう。
総勢110名のアーティストによる絵画、彫刻、写真、映像といった多様な約150点が並ぶ本展覧会。パリから初来日する作品は32点あり、大阪中之島美術館からは初公開となる所蔵作品も並ぶ。
館内に足を踏み入れると、我々を出迎えてくれるのは「コレクションのはじまり」と題された、椅子に座った人物絵画のトリオ。絵のモチーフだけでなく、その名の通り各館最初のコレクションのひとつという共通点があるという。各コンセプトに基づいた共通点だけでなく、3館がどのような作品を収集してきたのか、美術館主体の視点ももちながら展示を楽しんでほしいという意図だ。
広告作品にもなっているのは「モデルたちのパワー」というテーマのトリオ。どれも肘をついて横たわる女性がモチーフになっているが、西洋絵画史で描かれてきたような理想像としての女性ではなく、パワフルで自信に満ち溢れた表情が印象的である。アーティストの才能や力量あってこそではあるものの、どれも「モデル」の存在なしには生まれなかった作品だ。そんな新たな「視点」をもたらせてくれるのが、本展覧会の奥深さであるといえる。
大阪中之島美術館の高柳有紀子主任学芸員、パリ市立近代美術館のシャルロット・バラ=マビーユ学芸員と共に本展を企画した東京国立近代美術館の横山由季子研究員は、各トリオを組んでいく苦労があるなかで、随所に手応えを感じたと話す。
「私たち3人のキュレーターは、主に画面越しの会議で作品をピックアップしていきました。そのなかで、『都市のグラフィティ』のテーマは、実物を並べてみて、とてもうまくいったなと感じました。ストリートアートの代表者・バスキアに、佐伯祐三が描いたパリの風景、デュフレーヌが剥がしたポスターを反転させて作った作品。どれも都市の空気感漂うものです。さらに、1920年代、40年代、80年代と、時代の全く異なる3作品が並ぶのも貴重だと思います」。
各館のキュレーターが、三者三様に選んだ多様な視点。3つの点は、自由な発想で結ばれた線となり、これまでになかった競演を生む。展示されている34のトリオは、確実にここだけでしか見ることができない、まさに一期一会の出会い。どんなコンセプトで、なぜその3点を選んだか、解説も詳細に書かれているが、横山研究員は「解説に縛られることなく、ぜひ皆さん一人一人の視点で、新しい共通点や独自の解釈を発見し、楽しんでください」と呼びかける。
「見て、比べて、話したくなる」。まさに本展のキャッチコピー通り、組まれたトリオをじっくり見比べ、その発見を誰かと共有したい思いがあふれてくる。ただ眺めるだけでなく、さまざまな「視点」を思い描き、新たな「発見」を求めて作品と向き合う。いつの間にかそんな見方で館内を歩くことになるため、同等の作品数の展示よりも回るのに時間がかかるだろう。足を運ぶ際は、いつもより少し時間の余裕をもって訪れていただきたい。
取材・文・撮影:飯塚さき
<公演情報>
『TRIO パリ・東京・大阪 モダンアート・コレクション』
会期:5月21日(火)~8月25日(日)
場所:東京国立近代美術館
巡回:大阪中之島美術館 9月14日(土) ~12月8日(日)
チケット情報:
https://w.pia.jp/t/trio-tokyo/
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