劇団☆新感線ダークスペクタクル『バサラオ』に、生田斗真・中村倫也の “TTコンビ ”が挑む!
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劇団☆新感線44周年興行、そして生田斗真生誕39年のサンキュー公演とも銘打たれた「いのうえ歌舞伎『バサラオ』」。新感線40周年の2020年4月、新型コロナウイルスの影響で博多座の全公演を断念せざるをえなかった、生田斗真主演の『偽義経冥界歌(にせよしつねめいかいにうたう)』(以下『偽義経』)のリベンジともいえる本公演。「必ず帰ってこよう!」と誓った博多座からツアーがスタートする。4ヵ月にわたる公演への抱負を、劇団☆新感線の主宰・演出のいのうえひでのりと、出演の生田斗真、中村倫也の通称“T(斗真)T(倫也)コンビ ”が語ってくれた。
――『偽義経』のリベンジ興行ということですが、まずは本作への思いを聞かせてください。
生田:『偽義経』が公演直前で中止になった時に、一緒に悔し泣きをしてくれた博多座のスタッフの皆さまの愛情は今でも忘れられません。博多座25周年という記念すべき年に、こうして戻ってこられることを大変嬉しく思います。また、コロナ禍だけでなく、自然災害、争いなどいろいろなことがありますが、演劇やエンターテインメントは、人が生きていく上でなくてはならないものだと思っています。そういう世界に自分もいる喜びを実感させてもらえるのが演劇の舞台の上。演劇を1から教えて頂いた、いのうえさんや劇団☆新感線の皆さんに、今でも「おもろいこと一緒にブチかまそうぜ」と呼んで頂けることを光栄に思っています。
中村:コロナ禍は、演劇界全体にとっても大きい影響を与え、いろんなところで涙をのんだ作り手やお客さまがたくさんいたと思います。だから、劇団☆新感線がリベンジ公演として『バサラオ』を上演することは、演劇界においても意味のあることだと感じています。4年前は当事者ではありませんでしたが、そのときの思いを背負う一員として、博多座で初日を迎えたいと思っています。博多座は、この作品が初めてなので、しっかり稽古して、いいものを作って、観ていただきたいですね。あとは、初日を迎える博多で、まずは何を食べようかと考えています(笑)。
いのうえ:『バサラオ』の企画は『偽義経』の博多座公演が全公演中止になった悔しさを晴らすという目的で3・4年前に始まり、そこに盟友の中村倫也くんも参加してくれることになりました。当初は、2人がバディを組む明るい“道中もの”を考えていたのですが、もともと、自分は悪いやつが好きなので、悪い主人公が大暴れして、スカッとできる内容に途中で変更しました。今回は斗真くん演じる悪い主人公ヒュウガが、美しい顔で、言葉巧みに人を誘い、騙し、天下を狙うという物語。ピカレスクロマンが好きな方にもハマっていただけると思います。
――それぞれの役柄と、演出について教えてください。
生田:初めて新感線の舞台に出演させていただいたのは『スサノオ~神の剣の物語』(2002)という作品でした。そのときTOKIOの松岡(昌宏)先輩が演じていた主人公も悪役で、「いつか自分もこんな悪役を新感線の舞台で演じてみたいな」と思っていたので、感慨深いですね。自分で言うのも何ですが、ヒュウガは美しさを武器にする役(笑)。とんでもない役を頂いたなとドキドキしていますが、お客さまがびっくりしてくださるようなド派手な演出をいのうえさんにして頂きながら、ヒュウガの美しさに説得力を持たせていければと思っています。
中村:カイリという役は、ヒュウガの野望を知略でサポートする参謀的存在です。僕自身、10代後半ぐらいからずっと「何を考えているのかわからない」と言われてきたのですが、脚本の(中島)かずきさんから見ても、僕はよくわからないやつなのかもしれません(笑)。欲望が渦巻く登場人物たちのなかで、カイリは物語を運ぶ役割もある役です。つかみどころのなさは残しつつ、どこか不穏な空気が漂うキャラクターにできたらと思っています。
――生田さんと中村さんは、プライベートでも仲がよいそうですが、どんな関係ですか。また、互いに対する役者としての印象、共演で楽しみにしていることがあれば教えてください。
生田:以前、劇団☆新感線の『Vamp Bamboo Burn~ヴァン!バン!バーン!~』(2016/以下『VBB』)という公演で共演してからぐっと近くなり、よく一緒にゴルフしたり、食事に行ったりしています。中村くんは、馬力があって、歌も踊りも芝居もできるし、すべてを自分の中でコントロールできる俳優さん。共演者としては、とても心強く、いつも信頼し、尊敬しています。
中村:言葉にすると生意気になってしまいますが、『VBB』で共演して以降の斗真くんの活躍を見て、すごく線が太くなったと感じています。だから、座長として真ん中に立ってもらえるのは心強いですね。今回は座長にたくさん甘えさせてもらおうと思っています(笑)。
生田:中村倫也は甘えるのがうまいんですよ。
中村:気づくと甘えられているでしょ(笑)。僕は斗真くんより2つ下で、実際に2つ上の兄がいるんです。斗真くんにも4つくらい下の弟さんがいるので、自然に「お兄ちゃん」と呼んでなついています。
――古田新太さんとの共演について聞かせてください。
生田:これまで古田さんが出てない公演にばかり呼ばれ、「古田がいない新感線はおまえに任せた」みたいな雰囲気だったので(笑)、劇団☆新感線の舞台ではご一緒にできることはないのかなと思っていたのですが、ようやく念願が叶って共演することができるのをとても楽しみにしています。
中村:古田さんとは『ロッキー・ホラー・ショー』(2011)で共演したことがありますが、劇団☆新感線での共演は僕も初めてです。古田さんと他の劇団員の方々が同じ稽古場にいるのを見るのも初めてなので、個人的には40年以上ずっと一緒にやっている古田さんと劇団員のみなさんの関係性を間近で見られるのが楽しみです。
いのうえ:古田が真ん中で主役を張っているときに、主役級が何人も出てくると、ただでさえ長いと言われる3時間の舞台が、4時間になりかねませんからね(笑)。古田が年齢を重ね、ラスボス的な役で2人の芝居を受け入れられるぐらいの存在感になったから、今回のような共演ができるようになったんです。
――演出するうえで、今回特に意識していることはありますか。
いのうえ:2人とも歌ったり踊ったりができるので、それを生かして、音楽がガンガン入るショーアップした芝居にしたいと思っています。鎌倉時代後半から南北朝あたりをモデルにしているので、裏切り・反逆・陰謀が渦巻くストーリー。中島(かずき)くんは、NHKの大河ドラマ『鎌倉殿の13人』で斗真くんが演じた源仲章役にもインスパイアされたようですよ。当然、戦のシーンや、チャンバラシーンも多いので、演出的には、ドラマと、歌・踊り、チャンバラのバランスをどう整理するかが、一番の考えどころです。かっこよさを優先すると、「僕の体を何だと思っているんですか」みたいな、人間の肉体の疲労を無視したシーンになったりもしかねない。2人はまだ30代だからいいですが、劇団員はほぼ50代ですからね(笑)。その辺は気をつけながら、でも派手にやりたいと思っています。
―「新感線を観る魅力」、「新感線に出る魅力、もしくは苦労」などあったら教えてください。また、新感線の舞台に出演して、自分が変化したと感じる部分はありますか。
生田:出演する方は、体力的にも精神的にも大変だと思いますが、人が大変な姿を見るのって楽しいんですよね。だから、観る魅力は、お金を払って客席に座ると、優雅な気持ちになれることです(笑)。出る魅力は、毎日一生懸命走って、みんなで乗り切って、最後はお客さんにも満足してもらえるという達成感を積み重ねていけること。毎日が運動会というか、ずっとお祭りの中にいるような感覚ですね。僕は、劇団☆新感線を認識する前に出演する機会を頂いたのですが、その頃から「大人がこんなに楽しく生きていていいんだ。自分たちも楽しんで、お客さんを幸せにできるなんて、こんな最高の職業はない」と、ずっと憧れています。
中村:「行ったら間違いなく、楽しい演劇体験ができる」という安心感や信頼感が、劇団☆新感線を観る一番の魅力だと思います。大きな劇場で、たくさんの演者がフォーメーションを組みながら、様式美をいかした演出と演技で物語を伝えていくところにも個人的に惹かれます。商業演劇から小劇場まで、これまでいろいろなタイプの演劇をやらせてもらいましたが、劇団☆新感線の舞台に出演して、純粋に面白いと感じるものを具現化するために、しんどいことも、まっとうな努力も惜しまない姿を見て、なんて豊かな仕事だろうと思いました。僕はそれを“童心”と呼んでいるのですが、そういう童心を、僕も生きる上で大事にしたいと感じています。
―最後に公演へ向けてメッセージをお願いします。
いのうえ:『偽義経』のリベンジということもありますが、博多座を含め、これだけのスケールと派手さで、しかもきちんとしたドラマがある舞台をやれ る機会は少ないと思っています。“ザ・中島かずき”ともいえる脚本で、派手に振り切ったダークヒーローものです。ぜひこの機会を逃さずに、劇場でご覧ください。
中村:演劇を観たことのない人や、演劇の面白さを知らないまま人生を終えてしまう人も結構多いと思うのですが、演劇は劇場に来ないと体感できないジャンルのエンターテインメントです。ぜひ、この情報を目にしてくださった方は、これもご縁だと思って、観に来ていただけるとうれしいです。
生田:今回は、生田斗真生誕39年を記念したサンキュー公演という副題をつけていただいているように、39歳から40歳へのまたぎをこの作品で迎えさせていただきます。『バサラオ』が、少しでも皆さんの人生を豊かにできたり、傷ついている人たちを支えられたりするような演目になるよう努めますので、ぜひとも劇場に足をお運びください。
2024年劇団☆新感線44周年興行・夏秋公演
いのうえ歌舞伎『バサラオ』
■チケット情報
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2450438
『バサラオ』は、ヒノモトと呼ばれる国で幕府と帝が相争う、混乱そして裏切りの時代を舞台に、自分自身の美しさを武器に天下取りを目指す男ヒュウガ(生田)と、その参謀となる謎多き男カイリ(中村)、そして自分の信念のために裏切り裏切られる人々の物語。
<福岡公演>
7月7日(日)~8月2日(金)
博多座
<東京公演>
8月12日(月休)~9月26日(木)
明治座
<大阪公演>
10月5日(土)~17日(木)
フェスティバルホール
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