国宝《唐獅子図屏風》《動植綵絵》もお目見え 『皇室のみやび―受け継ぐ美―』フィナーレとなる第4期が開幕
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国宝 狩野永徳《唐獅子図屏風》(右隻) 桃山時代(16世紀)
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すべて見る昨年11月に、装いと名称を新たにオープンした「皇居三の丸尚蔵館」の開館記念展『皇室のみやび―受け継ぐ美―』の第4期が5月21日(火) より開幕した。「三の丸尚蔵館の名品」をテーマに6月23日(日) まで開催される。
1993年に開館した三の丸尚蔵館は、昨年11月に新しい国立博物館として「皇居三の丸尚蔵館」と名前をあらため新しいスタートを切った。同展は開館記念展として8ヶ月4期にわけて開催される大規模な展覧会。フィナーレとなる今期は「三の丸尚蔵館の名品」をテーマにした日本美術の名品が並ぶ。
2室を使って展示される作品はすべて同館の収蔵品。なお《春日権現験記絵》や《動植綵絵》は第1期でも展示されていた作品だが、今期は異なる巻、幅を展示している。
最初の部屋に並ぶ国宝 高階隆兼の《春日権現験記絵》は、藤原氏の氏神を祀る、奈良県の春日大社の創建や霊験を語る絵巻。春日大社の建設現場の様子がいきいきと描かれているだけでなく、当時の建設技術が仔細に描かれている。
2021年に国宝に指定された伊藤若冲の30幅からなる花鳥画《動植綵絵》からは《諸魚図》や《蓮池遊魚図》など人気の4幅が並ぶ。《動植綵絵》は、若冲本人から京都の相国寺に寄進されたものだが、1889年に相国寺から明治天皇へ献上された。
同展示室には、伝 藤原行成《粘葉本和漢朗詠集》や酒井抱一の《花鳥十二ヶ月図》など、平安時代や江戸時代の名品も展示されている。
続く展示室には同展の目玉作品と言える国宝《唐獅子図屏風》が堂々と並ぶ。
2021年に国宝に指定された《唐獅子図屏風》は右隻を狩野永徳が桃山時代に、左隻を永徳のひ孫である狩野常信が江戸時代に描いた屏風。高さ2メートル、幅4メートルをゆうに越す屏風の大きさと、迫力ある画面に圧倒される。
なお、本作はリニューアルオープン後、同館で初公開。サイズが大きいがゆえに、建て替え前の旧館では展示の機会がなかなか持てなかったという。満を持しての公開だ。
このほかにも、ダイナミックでありながら緻密な作品が並ぶ。1928年の大礼奉祝に際して京都市が献上した高島屋呉服店による《閑庭鳴鶴・九重ノ庭之図刺繍屏風》は、鶴や植物などを見事な刺繍で表した華やかな屏風。並河靖之《七宝四季花鳥図花瓶》は、1900年に開催されたパリ万国博覧会に出品された、漆黒のなかに鮮やかに四季折々の花々が浮かび上がる七宝の花瓶だ。
同展は細密な描写の作品が多いので、単眼鏡を持っている場合はぜひ持参することをおすすめする。なお、現在、皇居三の丸尚蔵館は、鑑賞環境保持等のためオンラインによる日時指定制を取っている。平日の午後は比較的余裕があるそうなので、よきタイミングをみて足を運んでみよう。
取材・文・撮影:浦島茂世
<開催情報>
皇居三の丸尚蔵館 開館記念展『皇室のみやび―受け継ぐ美―』
第4期:「三の丸尚蔵館の名品」
5月21日(火)〜6月23日(日)、皇居三の丸尚蔵館にて開催
※日時指定制
公式サイト:
https://pr-shozokan.nich.go.jp/miyabi/
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