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太鼓芸能集団 鼓童が浅草の街を巡る 「門付け」の様子を取材

音楽

インタビュー

チケットぴあ

(撮影:吉田沙奈)

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1981年にベルリン芸術祭でデビューして以来、50以上の国と地域で7,000回を超える公演を行ってきた「太鼓芸能集団 鼓童」。劇場公演に加えて、小中高校での公演、国内外の様々なジャンルのアーティストとの共演、スポーツイベントでの演奏など、幅広く活躍している。

2024年6月26日(水) から6月30日(日) まで浅草公会堂で上演する鼓童 浅草特別公演2024「とこしえ」を前に、浅草の小学校・幼稚園、店舗を周って行った「門付け」の様子を取材した。

取材を行ったのは、浅草にある田原小学校での演奏の様子。この時点で3つの小学校・幼稚園を回ってきたということで、鼓童のメンバーは緊張感もありつつリラックスした状態だ。「鼓童の皆さんです!」と紹介がされると、集まった児童は割れんばかりの拍手で出迎える。鼓童メンバーも笑顔でステージに上がり、太鼓が中心の迫力ある演奏を披露した。曲終わりのMCでは、「新潟県の佐渡島から来ました」という挨拶に大きな歓声が。児童からの質問も飛び交い、わきあいあいとした雰囲気の中で2曲目がスタート。笛の美しいメロディに太鼓の勇ましいリズムが加わり、目にも耳にも楽しい演奏が繰り広げられた。

田原小学校での演奏は今回が初めてだそう。生で聞いた感想、気になった楽器を6年生代表に聞くと、Kさんは「すごく迫力があってよかったです。ふたりが太鼓を交互に叩くところが気になりました」、Mさんは「こんなに大音量で聴いたのは初めてだったので、もっと聞きたいと思いました。シンバルみたいな楽器の鳴らし方が普通と違ってすごいと思いました」と答えてくれた。

鼓童 浅草特別公演2024「とこしえ」演出・前田順康インタビュー

――大歓声でのお出迎えでしたね。

そうですね。すごく元気が良かったですね。僕らは芸術鑑賞会を回る学校公演も行っていますが、コロナ禍は歓声を抑えてもらい、みんなマスクをしての演奏会でした。去年くらいから徐々に規制が緩和されたけど、大きい声を出すことに抵抗がある子も多くて。今回はみんな元気で、歓声も上げてくれて、懐かしさすらありました。嬉しくなって僕らも楽しく演奏できましたね。

――午前中は小学校・幼稚園、午後からは浅草の店舗を回るというハードスケジュールです。

ご挨拶に来たり、お店に顔を出したりという繋がりはありましたが、公演以外でお返しできていないと思っていました。そこで、街や子どもたちに鼓童としてなにかお返ししたいと思って去年から始めました。お世話になっている皆さんと顔を合わせられる良い機会だと思っています。

――今日は子どもたち向けにアレンジした演奏でした。「とこしえ」の公演における見どころを教えてください。

僕ら鼓童は40年活動を続けていて、その文脈に則って新しいものを作ろうとしています。近年は、たとえば鼓童の半纏を脱いで違うデザイナーさんに依頼した衣装で、全く新しい音楽ジャンルに挑戦していくような舞台が続いていました。そことはまた違って、鼓童がもともと持っているスタイルや演目に則って、今の若いメンバーで新作を作ろうとしています。今日の演奏は短くカットし、子どもたちに楽しんでもらえるように元気なものを入れました。本番では100分の演奏。太鼓を叩くシーンもあれば唄を聴かせたり笛を聴かせたり。照明も入るので、100分の中で全然違う表情を見せられると思います。

――ここまで4校を訪れ、子どもたちの反応はどうでしたか?

どこも素直に反応してくれるのが嬉しいですね。大人には「こうあってほしい」というこども像がありますが、子どもはそれとは無関係に育っていくと思います。授業態度などは先生がディレクションしていける領域ですが、僕らのようなよくわからない人たちが突然現れた時に見せる子どもたちの表情は素なんだよなって。普段彼らがどんな子たちかはわからないけど、どこに行っても太鼓に対してピュアな反応をしてくれます。「うるさいな」と思ったら耳を塞ぐとか、大人は失礼だと思うからやらないじゃないですか。でも、子どもは当たり前に耳を塞いでいる。それぞれの聴き方をしてくれます。静かに聴いてもらいたいわけじゃないし、ウケることが全てじゃない。それぞれの受け取り方をしてくれるのが僕らも嬉しいです。

――今回の演奏で興味を持ってくれた子もいると思います。初めて劇場に行く方、和楽器のコンサートは初めてという方にメッセージをお願いします。

劇場でやっていることって子どもからするとよくわからないでしょうし、大人になっても縁がない方もいると思います。僕らは「実はこんな人たちで、堅苦しくも難しくもない」と知ってもらえるよう、劇場から出ての活動もしています。鼓童に関係なく、日本は観劇の文化があまりないと思っています。僕らの活動を通して、劇場でシアターピースやコンサートを見るハードルが下がっていけば良いなと思っています。このままの僕らが劇場にいるので、軽い気持ちで遊びに来ていただけたら嬉しいです。

――今後の鼓童としてのビジョンを教えてください。

公演を作るのはひとつの目標で、そこに向かってみんなでエネルギーを注ぎます。ただ、それがゴールではなく、それを作ったことで「次はこうしよう」という新たな起点になっていくのが願い。「鼓童はこれからこうなっていくんだろうな」とお客様に感じてもらえたら嬉しいですし、僕らも実験的な気持ちで作っています。「これが鼓童です!」と僕らが決めつけるのではなく、5年後、10年後に向かう起点になる舞台にできたら。この作品が終わった後、何かしらのエッセンスとしてみんなの中に残り、新しいものが生まれるときに活きてきたら良いなと思っています。

取材・文・撮影:吉田沙奈

<公演情報>
鼓童 浅草特別公演2024「とこしえ」

公演期間:2024年6月26日(水)〜6月30日(日)
会場:浅草公会堂

チケット情報:
https://w.pia.jp/t/kodo-tokoshie/

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