若冲、蕭白、芦雪……江戸のアヴァンギャルド絵師が勢ぞろい!『奇想の系譜展』開催中
アート
ニュース

伊藤若冲《象と鯨図屏風》寛政9年(1797) 滋賀・MIHO MUSEUM *通期展示
すっかり日本美術界のビッグネームとなった伊藤若冲を筆頭に、江戸時代の「奇想の絵師」たちを紹介する『奇想の系譜展 江戸絵画ミラクルワールド』が東京都美術館にて開催中だ。
同展は、美術史家の辻惟雄氏が1970年に刊行した著書『奇想の系譜』で紹介した、岩佐又兵衛、狩野山雪、伊藤若冲、曽我蕭白(そがしょうはく)、長沢芦雪、歌川国芳に、白隠慧鶴(はくいんえかく)と鈴木其一を加えた、江戸時代の絵師8名の作品を展覧するもの。
アカデミックな美術界において長らく“異端”扱いされてきた“奇想の”絵師たち。辻氏によりその独創性と自由な表現が“異端”ではなく“前衛”と評されて以来、じわじわと評価が高まり、近年では熱狂的とも言える若冲ブーム、江戸絵画ブームを巻き起こしている。
そんな8人の代表作がまとまって観られるというだけでもおトク感満載の同展だが、重要文化財あり、初公開あり、初の里帰りありと、同展だからこそ集められた貴重な作品が多数出品されている。
会場は絵師ごとに章で区切られており、トップバッターとなる伊藤若冲の章では、同展の準備過程で見出されたという新出作品《鶏図押絵貼屏風》や、約90年ぶりに所在が確認された《梔子雄鶏図(くちなしゆうけいず)》がお披露目となる。
また、辻氏が『奇想の系譜』を生み出す契機になったという曾我蕭白の《群仙図屏風》(展示期間:3/12〜4/7)や、長らく所在が分からなかった長沢芦雪の《猿猴弄柿図(えんこうろうしず)》、米エドソンコレクションからの初里帰りとなる蘆雪の《秋景山水図》の他、岩佐又兵衛の《山中常盤物語絵巻》や狩野山雪の《梅花遊禽図襖》など、重要文化財をはじめ国内外から集められた名品が勢ぞろいする。
また、同展ではグッズコーナーも充実。奇想の絵師が生み出した個性的なキャラをモチーフにしたTシャツやバッグをはじめ、おしゃれなオリジナルグッズが会場限定で販売されているので、立ち寄ってみてはいかがだろうか。
8絵師の作品は時にグロテスクだったり、エキセントリックだったり、遊び心に溢れていたり、それぞれが驚くほど独創的。従来のファンも、今回初めて彼らの作品に触れるという人も、その奇想天外な才能に圧倒されるとともに、江戸のミラクルワールドを存分に楽しめるに違いない。
開催情報
『奇想の系譜展 江戸絵画ミラクルワールド』
4月7日(日)まで、東京都美術館にて開催
関連リンク
フォトギャラリー(12件)
すべて見る