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大河ドラマ「べらぼう」題字の書家・石川九楊の作品300点を展示「石川九楊大全」開幕

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李賀詩 感諷(かんぷう)五首(五連作より) 360cm×192cm 1992年

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現代における書の美を追求し、言葉と格闘し続けてきた書家・石川九楊(いしかわきゅうよう)の書作品300点余りを前後期に分けて展示する「石川九楊大全」の「前期【古典篇】遠くまで行くんだ」が6月8日に上野の森美術館にて開幕。前日の7日に内覧会が行われ、石川九楊自身が来場し、同展示への思いを語った。

来年のNHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」の題字も手掛けている石川。今回の「石川九楊大全」では「【古典篇】遠くまで行くんだ」、「【状況篇】言葉は雨のように降りそそいだ」の前後期でひと月ごとに全ての作品を掛け替える予定となっており、2,000点に及ぶ書作品の中から厳選された300点余りが展示される。

【古典篇】では、「歎異抄」、「源氏物語」、「李賀詩」、「徒然草」、「方丈記」など、日本や中国の古典文学の書作品が並ぶが、ひときわ目を引くのが第二室に掛けられた中国の唐代中期の詩人・李賀による「李賀詩」。中でも感諷五首(五連作)は、360センチ×192センチの作品が5幅壁面に並び、圧倒的な存在感を放っている。

歎異抄 No.18 92cm×57cm 1988年

「源氏物語」は1991年に制作された「桐壺」から「紅葉賀」までの7作品と2008年に制作された「花宴」から「夢浮橋」までの48作品の計55作品を展示。このほか1988年制作の「伊勢物語」に1990年制作の「葉隠」、2019年制作の「正信偈」など、各年代で手掛けてきた古典作品、また大河ドラマ「べらぼう」の題字や石川がラベルの字を手掛けた「大吟醸 八海山 浩和蔵仕込」なども展示されている。

源氏物語書巻五十五帖「若菜 上」 59cm×94cm 2008年
源氏物語書巻五十五帖「椎本」 59cm×94cm 2008年

内覧会に来場した石川は、今回の展覧会の開催について「いま、80歳を前にして、ひとつ仕事の中締めをという意味合いがございます」と語り、「石川九楊大全」というタイトルについても「いささか大げさな名前にしましたが、それは嘘偽りなく、全てを見ていただく――書に親しむこと75年、書に溺れること60年のその成果の全てを見ていただきたいという思い」と明かす。

前期の【古典篇】については「時期的に1980年代、90年代という、書を始めてちょうど真ん中あたりですが、新しい書の書き方を見つけるために、古典にいったん退却しようと。古典というのは生々しい言葉とは違いますので、少し余裕をもって、テキストに取り組むことができるので、そういう意味で退却した20年間の展覧会」と語る。

一方で「後期【状況篇】はその前の学生時代の60年代後半から70年代、2000年代から現在に至るところを見ていただきます」と説明する。そして“中締め”と位置づける今回の展覧会を経た今後については「まあ、中締めを終えたら気休めにカラオケに行きまして(笑)、次の新しい書についての取り組みを考えていきたい」とさらなる飛躍への意欲を口にする。

ちなみに、今回の展示の入口には「お願いだから『書』と聞いて習字や書道展の作品を思い浮かべるのではなく、筆記具でしきりに文章を綴っている姿を思い浮かべてほしい。本展を鑑(み)てのちは。」という石川の言葉が掲げられているが、石川はこの内覧会でもこの言葉への思いに言及し「書というのは文字を書くのではなく言葉を書くもの。言葉を生み出す元のところに書というものが眠っているのです」と強調。「この展覧会を通じて、書と言えば習字や書道展という見方ではなく、筆記具の先端と紙との間で展開されるドラマであり、小説で言えば物語──筆記具の先端でものを書いている姿を思い出すような常識が少しずつ、できてくるといいなと考えております」と呼びかけた。

「石川九楊大全 前期【古典篇】遠くまで行くんだ」は6月30日(日) まで、「後期【状況篇】言葉が雨のように降りそそいだ」は7月3日(水) から28日(日) まで上野の森美術館にて開催。

取材・文:黒豆直樹

<開催概要>
石川九楊大全

会期:6月8日(土)~30日(日) 石川九楊大全 前期【古典篇】遠くまで行くんだ
7月3日(水) ~28日(日) 石川九楊大全 後期【状況篇】言葉は雨のように降りそそいだ
会場:上野の森美術館

チケット情報:
https://w.pia.jp/t/ishikawakyuyoh-taizen/

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