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朗読劇『プールサイドの魚たち』今江大地、あべこうじ、バーンズ勇気らに聞くドラマリーディングの魅力

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チケットぴあ

朗読劇『プールサイドの魚たち』出演者

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エマニュエル・ロベール=エスパリュの戯曲『お魚は無呼吸でも死なない』をベースに、監修・岩切正一郎、脚本・内藤真奈、潤色・白樹 栞で作り上げた朗読劇『プールサイドの魚たち』。今回は『WONDER×WORKS』主宰・八鍬健之介が演出を務め、今江大地とあべこうじ、バーンズ勇気が二人芝居に挑む。開幕を前に、キャスト陣とプロデューサーの白樹栞にインタビューを行った。

個性的だけど身近なキャラクターたちの物語

――今江さんは昨年に引き続いてのご出演です。本作の魅力をどんな部分に感じますか?

今江 スイミングクラブの赤ブレスレット(設備使い放題のプレミアムクラス)と入会したての青ブレスレット(プールしか使えないビジタークラス)というふたりの男性がプールサイドで会話するんですが、上下関係がシーンによってころころ変わるんです。それだけじゃなく、最後は「小さいところでこだわっていないで、もっと大きな視野を持って生きていこう」と思わせてくれる舞台だと思います。

――あべさん、バーンズさんは、台本を読んでどんな印象を受けましたか?

あべ こだわりが強い人っているよねと。こだわりが強すぎるが故にこんなことになっているのか、めちゃくちゃ生きづらい人たちだなと思いました。

バーンズ この作品からは離れるけど、カップルの喧嘩とかって、掘り下げると意外とお互いのことを心配していたりする。お互い強がったり、それによって喧嘩になったりするのは、このふたりも近い部分があるかなと思いました。僕個人としては、このご時世コンプライアンス的に言えないセリフがぽんぽん出てくるのが面白いなと思います。

――演じる役の魅力、役作りについて考えていることを教えてください。

今江 僕が演じる赤ブレスレットは、デザイナーとして成功し、タワマンの20階に住んでいる男。もっと余裕を出せるように、自分が知っている成功者をイメージして演じようかと思っています。ただ、成功しているけど居場所がない男でもある。だからこそ、居場所を求めてプールサイドにこだわっているんじゃないかな。

バーンズ 僕らが演じる青ブレスレットはあまりうまくいっていない男。会社にも居場所がないのは一緒なんですよね。

あべ いらないプライドをずっと持ってしまっているイメージですね。青は意外と深く考えてなくて、喧嘩に関しても言われたからやり返したみたいな。赤と青でいうと青のほうが僕に近いと思います。

今江 僕も、好きなもの以外にそんなに執着しない。台本を読んで「そこにこだわる?」って感じます。あと、赤はお喋りでいらないことを言う。僕は普段そんなに喋るタイプじゃないので、遠いかもしれないです。

あべ 僕、余計なことをいうのは赤に近いですね(笑)。

難しく考えず、気楽に笑えるコメディ

――白樹さんが潤色においてこだわった部分はどこでしょう。

白樹 オリジナルは、「難しくて意味がわからない」と思いながら帰るような不条理劇。正直なところ、特に若い方が何度も観たいと思うような作品ではありませんでした。たまたま作者と親しい方がいたので、「コロナ禍で大変な中、考えなくても笑えるフランスコメディにしたい」と相談したらOKをいただけて。だから原作とは全然違うんですよ。今回のお稽古を見ていて、あべさんのアドリブをきちっと脚本に入れたいなと思い始めました。今後さらに面白く変わっていくかもしれません。この作品も、継続して上演している『それを言っちゃお終い』、『ル・ゲィ・マリアージュ』と並ぶトリコロールシアターの看板作品にしていきたいと思っています。

――フランスの不条理劇と聞くと難しく感じるファンの方もいると思います。背中を押せるような魅力やポイントがあったら教えてください。

今江 1時間くらいでパッと見られるコメディです。

バーンズ それこそ、考えなくていい。

今江 そう。中身は本当に些細なことだから。

バーンズ 見ている方は自然と流れもわかってくるだろうし。見て、その瞬間何か思ってくれたり笑ってくれたりしたら僕らは嬉しい。難しく考えずに楽しんでもらいたいです。

あべ あなたもプールサイドのひとりになりませんか? ということですね。

今江 ギャグとしてフランスがピックアップされているわけでもない。「フランスの不条理劇」だと意識しなくても大丈夫です。

白樹 客席にいる方がみんな同じ水槽や海辺、川辺のお魚のような感覚になってもらえたらと思います。

組み合わせによって全く印象の違う作品に仕上がるはず

――それぞれと演じる今江さんから見て、お二人が演じる青ブレスレットの印象はいかがですか?

今江 悪い意味じゃないですよ。バーンズさんがまっすぐ、あべさんはクネクネしてる(笑)。

あべ ひどいですねえ。

一同 (笑)。

――おふたりから見て、今江さん演じる赤ブレスレットのどんなところが素敵でしょう。

あべ これは変な意味じゃないんですけど、素敵ではない(笑)。でもやりやすいですよ。

バーンズ 間の取り方というか、テンポ感がすごいなって感じます。

あべ 全然タイプの違う青に対応しなきゃいけないから大変そうだと思いますね。

――お気に入りのシーン、注目してほしいシーンやセリフはありますか?

あべ 個人的には、赤を「ビチョパン」と呼び始めた時(笑)。すごいマウントを取られていたのに、「こいつ、いじっていいんだ」と気付いた瞬間に上に行ける感じ。自分の中の悪ガキが出てきますね。

バーンズ 僕も全く同じですね。やっていて気持ちがいいです(笑)。

今江 最初は赤が優勢で、逆転されて、最後にまた逆転する瞬間が好きですね(笑)。

あべ 最後、赤も青も一緒になるんですよ。めちゃくちゃくだらないけど、結局同じだったねって。

バーンズ ちょっと相手を思って寄り添うとああいう考えになりますよね。海外ドラマのラストシーンみたいな感じもする(笑)。

白樹 でも、ふたりが子どもに戻るみたいな感じや男の友情にジーンとします。

――楽しみにしている皆さんへのメッセージをお願いします。

あべ 多分、「こういう部分、自分にもあるな」「こんな人いるな」と親近感を覚えていただけると思います。空間としても近いので、一緒に楽しめたら嬉しいなと。

今江 僕が演じるのは赤ですが、青のおふたりが全然違うので、どっちの公演も楽しめると思います。「同じ作品だけど演じる方によってこんなに違うんだ」と感じるでしょうから、2回は見に来てほしいですね。

バーンズ 楽しく笑って、何かを感じられると思います。近くにいる人にちょっと優しくなれたり、元気になったり。だから、3回は見に来てほしいなと。

一同 (笑)。

バーンズ 僕らも必死にやっていると思うので、そこを含めて面白いだろうし。あべさんも言った通り、この空間をみんなで共有できたら嬉しいです。

白樹 観に来てくれたみなさんも参加している感覚になれる作品にしたいと、いろいろ考えているところです。ぜひ楽しみにしていてください。

取材・文:吉田沙奈

<公演情報>
『プールサイドの魚たち』

公演期間:2024年6月14日(金)〜6月30日(日)
会場:六本木トリコロールシアター

チケット情報:
https://w.pia.jp/t/pool-side/