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2バージョンの『熱海殺人事件』を、荒井敦史&多和田任益の主演で同時上演

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左から)荒井敦史、多和田任益 (撮影:荒川潤)

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つかこうへいの代表作『熱海殺人事件』を、『熱海連続殺人事件』として2バージョンで同時上演。『Standard』では荒井敦史が、『モンテカルロ・イリュージョン』では多和田任益が、主人公の木村伝兵衛部長刑事を演じる。今回で5度目の伝兵衛役となる荒井と、過去すべての役を演じたことのある「ミスター熱海」こと多和田。7月の開幕を前に、作品にかける想いを語り合ってもらった。

――おふたりにとって思い入れの強い作品かと思いますが、改めて出演が決まっての心境は?

荒井 『熱海』の木村伝兵衛のように、わりと僕は過去に誰かが演じたことのある役をやることが多いんですよね。だから賛否含め、いろいろな声が寄せられて。でも自分がこれをやりたいと思ったらやり続ける覚悟ですし、そういう作品にまた声をかけてもらえたことは素直に嬉しい。心の中では「だったらやってみろ!」と思う気持ちもあり(笑)、そういう感情をエネルギーに毎回作品に臨んでいます。

荒井敦史

多和田 リベンジもリベンジ(※コロナ禍の影響により20年は一部、21年は全公演が中止に)、まさに今度こそ!って気持ちが強いので、ものすごく気合いが入っています。ただ他の役をすべてやらせてもらうなど、『Standard』を知った上で『モンテ~』の伝兵衛に戻るというのは、すごく意味があると思っていて。より深みを出せると思いますし、僕だからこその伝兵衛をしっかりと立ち上げていきたいと思っています。

――『熱海』の舞台に立つやりがいを、どんな点に感じていますか?

荒井 僕も多和ちゃん(=多和田)もつかこうへいさんには会ったことがないわけで、そういう僕らが、つかさんと創作したことのある人たちの声を聞きながら、自分たちのオリジナルとしての『熱海』を残そうとしている。それが一番のやりがいですよね。ただ5回もやっていると、さすがに言い訳がきかなくなってくるというか、一度出来たと思ったところも、次に稽古をすると「うん?」となることがあって。すると「あれ、大丈夫かな?」と思うんですが、その正解ってもうつかさんの頭の中にしかないわけですよね。だったら、自分たちのオリジナルを正解に変えていくしかない。だから今のところの僕の課題は、これ以上無駄に不安にならないことです(笑)。

多和田 僕はやっぱり『モンテ~』って阿部寛さんのイメージがあって(※93年初演。つかが阿部のために書き下ろした)、それを継ぎたいって気持ちがあるんですよね。もちろん『Standard』も好きですが、自分の中で『モンテ~』って特別で、もっと多くの人に知ってもらいたくて。さらに言えば、もっと多くの人につかさんの作品を見たいと思ってもらいたいですし、そのきっかけ、橋渡しになれたらいいなと。それはお客さんだけでなく、役者に対してもそう。役者仲間が見に来ると、「自分も出たかった」と悔しがる人は多いですから。そこはやりがいというか、やっていかなければいけないと思う部分ですね。

荒井 確かに、もっと若い世代にもやれる環境が広がっていくといいよね。

多和田 うん。ただ「本当にやれるんか?」って気持ちも若干あるけどね(笑)。

荒井 わかる!

多和田 でも伝兵衛って、それくらい勢いがあっていい役だと思うんです。

多和田任益

――おふたりがそれだけ惹かれる、『熱海』という作品の魅力とは?

荒井 やっぱり言葉の持つ力は大きいですよね。つかさんの言葉に触れると、その表面だけじゃなく、裏を考えて、そこに隠された感情に気づくことが出来る。ただその表現は本当に難しくて、僕らってつかさんの口立てでその言葉を聞いたわけではないですから。つまり僕ら、本当によく頑張っているなと思います(笑)。

多和田 5回もやっていると、そろそろ褒めてもらいたいゾーンに入るみたいです(笑)。

荒井 だって頑張ってるよね!? どんどんお互い褒め合っていこう!

多和田 だね! 僕は『熱海』って、見てもやっても、人間だなって思うんですよね。人の生き様を感じるというか、浴びせられた感覚になる。だから演者の経験も作品に出ますし、その人の魅力が作品に乗って、どんどん可能性が広がっていく気がして。それってめちゃくちゃ面白いことだと思いますし、内容自体は理解出来なくても、『熱海』ってものを浴びれば、絶対になにかしら刺さるものがあると思います。

荒井 うん、だからやっぱりまずは見て欲しいよね。食べた上で嫌いっていうのは受け入れるけど、食べもしないで批判するのは一番ダサいなって思うので!

多和田 好き嫌いはあるからね(笑)。でも『熱海』は騙されたと思ってでもいいから、演劇に興味ある人みんなに触れて欲しい。それくらい自信を持っておすすめ出来る、本当に素敵な作品だと思います。

取材・文:野上瑠美子
撮影:荒川潤

<公演情報>
紀伊國屋ホール60 周年記念公演『熱海連続殺人事件』

公演期間:2024年7月5日(金)~22日(月)
会場:紀伊國屋ホール

チケット情報:
https://w.pia.jp/t/atami-2024/

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