Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
ぴあ 総合TOP > 舞台からバラエティ番組、アニメまで。石丸幹二「僕の挑戦は広がり続けています」

舞台からバラエティ番組、アニメまで。石丸幹二「僕の挑戦は広がり続けています」

ステージ

インタビュー

チケットぴあ

石丸幹二 (撮影:石阪大輔)

続きを読む

フォトギャラリー(4件)

すべて見る

チャップリンの傑作映画を原作に、かつて一世を風靡した老芸人カルヴェロと若きバレリーナとの交流、そして愛と人生を描く『音楽劇 ライムライト』。2015年初演、2019年の再演に続き、今年3度目の上演を迎える。初演からカルヴェロを演じるのは石丸幹二。様々な作品を経て、また自身が年齢を重ねてこの役と向き合う心境とは? そして石丸の現在地とは?

――5年ぶりの『ライムライト』に取り組まれる、今のお気持ちは?

この作品はチャップリンが残した映画版の舞台化、オリジナルの音楽劇です。
三演めにあたり、改めて映画を見たら、僕が年齢を重ねたゆえに気づけた、チャップリンが言いたかったことをたくさん発見しました。初演時40代の自分には想像できなかった、表情や台詞の裏に隠れた想い。そんなチャップリンの意識に近づけるにはどうしたらいいのか、探りつつアップデートしていきたいなと思っています。

――近年では『蜘蛛女のキス』『ハリー・ポッターと呪いの子』『ラグタイム』などの多彩な作品にご出演なさってきましたね。その経験は役立ちそうですか?

多彩な役を演じたことにより、より客観的に作品とカルヴェロという人物を見ることができると思います。前回から5年空いたことで、新鮮な気持ちでもう一度生み出す作業ができるのでは。先日、衣裳をフィッティングしたところ、ここにこんなデザインがあったんだ!と驚いたりもしました。初演時は余裕がなくて気づかなかった。今回は少し余裕を持ちながら台本を読み解き、再構築できるんじゃないかな。

――歳を重ねて気づかれたこともあるのでは?

そうですね、気づきは多いです。この作品は年老いた男が、絶望と向き合い、再生していくさまを描いています。チャップリンは自身を反映させて作ったともいわれています。老年になり、できなくなったこと、欠落していったこと。私が本作で素敵だなと思うのは、カルヴェロが、自身では成しえなかったことを次世代の人たちに託すところ。私自身、そうかもなと思えるような年齢になりました。これまでとはちょっと違うニュアンスで台詞が言えるかもしれませんね。

――今回、バレリーナのテリーに朝月希和さん、テリーに思いを寄せるネヴィルに太田基裕さんと、新キャストが加わり、また新しい風が吹きそうです。

そうですね。どちらもピュアで、未来に向かって懸命に生きるキャラクター。彼らのフレッシュさが僕にとって刺激になりますし、ひとつの作品に挑戦してもがく、その姿からヒントをもらえたりもします。

朝月さんは宝塚時代の映像を拝見していました。キャリアを重ね、どんなアプローチをされるのか期待しています。基裕くんは『スカーレット・ピンパーネル』で一度ご一緒しました。当時はマイペースでポーカーフェイス、ちょっと影もあるようなイメージでしたが、その後、キャリアを積み上げて若手のトップ集団で活躍されていますよね。そんな彼が、素朴なネヴィルをどう演じるのかが楽しみです。

老いは誰もが辿る道。
何を持って生きれば輝けるのか

――初演、再演を振り返っていただけますか。

初演時は音楽劇ということで、歌で表現することに重きを置こうとしていたんですね。しかし稽古場でよくよく台本を読むと、テキストがとても濃厚なことに気づき、テキストをきっちり理解して語れているのかな?と不安になったりもしました。しかし本番では共演の仲間たちが良い意味で手綱をお互いにさばき合いながら、日に日にブラッシュアップしていきましたね。皆さん芸達者で、人の力を頼りながら演じるという学びもありました。

再演ではテリーとネヴィルのキャストが変わり、初心を忘れていないかを確認しながら演じました。人が変われば全く違うアプローチになるので、新鮮に向き合えましたね。

――初演の時にはチャップリンのご遺族に会われたとか。

はい。チャップリンのお孫さんに会いました。祖父であるチャップリンをすごく愛し、尊敬していました。もちろん、ヒーローですからね。彼は俳優でもあり、舞台上で共演しました。刺激的でした。

――この物語のテーマのひとつが老い。年齢の重ね方やこの先の生き方について、考えることはありますか。

この作品は、人は老いていく中で、どう生きたらいいのか、何を支えに生きれば自分が輝くのかを見せてくれます。そして、その時にできることをやればいいんだと言ってくれていると思うんですね。たとえば、俳優としても、年を重ねないとできないようなキャラクターにこそ向き合い、作品を締める側に回ればいいんだなとか、映画を見て感じましたね。

――しかし最近の石丸さんのご活躍を見ると、まだ新境地を拓いていらっしゃるのでは? バラエティ番組の「ハモリ我慢ゲーム」は最強の刺客として話題沸騰でしたし、「仮面ライダーガッチャード」九堂風雅役や「ドラえもん のび太の地球交響楽」ワークナー役など、意外な石丸さんの一面が表れているような。

私自身のチャレンジの道は未だに広がり続けています。特にこの1年。「ハモリ我慢ゲーム」で改めてバラエティー番組の面白さを再認識し、子ども向けのドラマやアニメへの出演がきっかけで、コンサートに子どもたちとその親御さんが来てくださるようになりました。「仮面ライダーの風雅さーん」って子どもたちから呼ばれると、気持ちが若返ります(笑)。年齢に近い役も大事ですが、時にはキャラクターの幅を超えるのも俳優の醍醐味。楽しみながら役に向き合うことが、私のこれからになるでしょうね。

取材・文:三浦真紀
撮影:石阪大輔

<東京公演>
音楽劇『ライムライト』

公演期間:2024年8月3日(土)~18日(日)
会場:シアタークリエ

チケット情報:
https://w.pia.jp/t/limelight/

フォトギャラリー(4件)

すべて見る