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バンドネオン三浦一馬が名手たちと贈る映画音楽の三大巨匠

クラシック

インタビュー

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三浦一馬 (C)日本コロムビア

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エンニオ・モリコーネ、ヘンリー・マンシーニ、ニーノ・ロータ──バンドネオンのトップ奏者・三浦一馬が映画音楽の3人の巨匠の作品を選りすぐって贈るコンサート。その名も「バンドネオン・シネマ」が、8月10日(土) 浜離宮朝日ホールで行われる(13時と17時の2公演)。

三浦「3人ともきわめつきのメロディ・メーカー。どれだけ年月が経っても名曲が名曲であり続ける。色褪せないというのは素晴らしいですよね。ニーノ・ロータは、もし映像がなくても、音楽だけで絵が浮かんできます。サウンドトラック自体がそのパワーを持っているような気がします。マンシーニは、3人の中では唯一アメリカの作曲家ということもあって、現代的な感じ。テレビの仕事もやっていましたし、ポピュリズムもあって、子どもでも楽しめるようなメロディがありますよね。幅広い世代の人が親しめると思います。モリコーネについてはもう、ご存知の《ニュー・シネマ・パラダイス》のあの世界観です。それが《ガブリエルのオーボエ》(ミッション)でも、セルジオ・レオーネ監督のマカロニ・ウェスタンになっても、そこに一本通ずるモリコーネ像がある気がします。個人的には、3人の中でいちばんクラシカルな響きを感じているのがモリコーネです」

三浦一馬 (C)日本コロムビア

バンドネオンと聞いて、すぐに思い浮かぶのはやはりタンゴだけれど、映画音楽をタンゴ調の編曲で演奏するわけではない。

三浦「1曲だけタンゴっぽい編曲で弾きますが、それだけです。実は日頃から、“バンドネオンだからタンゴのアプローチで”とはほとんど考えていないんです。考えるのは、いま自分が弾こうとしている音楽に、何が最も自然で効果的か。どうやれば美しく楽しく演奏できるか。そこには、そもそも“タンゴ”というキーワードがないかもしれないですね」

共演は弦楽アンサンブルとピアノ。西江辰郎、ビルマン聡平(ヴァイオリン)、生野正樹(ヴィオラ)、富岡廉太郎(チェロ)、髙橋洋太(コントラバス)、京増修史(ピアノ)という頼もしいメンバーが揃った。

三浦「今まで数え切れないぐらいさまざまな編成とやってきましたが、弦楽器との相性の良さを非常に感じるんですね。考えてみたら、ピアソラはいろんな作品を残すなかでバンドネオン協奏曲にたどり着くわけですが、その編成も弦楽オーケストラなんです。管楽器は入っていない。そこは僕もすごく共感するところで、バンドネオンという楽器自体が、実は箱を開けると金属リードが入っていて、管楽器的な響きがするといえます。つまり弦と管のようになって、とても相性のいい編成だと思っています」

新日本フィル・コンサートマスターの西江辰郎も、その相性の良さに同意する。

西江「相性いいですね。バンドネオンと弦楽器が重なって、溶けあったらまた別の音色が生まれるようなところもあって。今回はピアノも入っているので、和音を巧みに奏でることのできる楽器がバンドネオンとピアノのふたつ。さらに、コントラバスという力強い支えもあるので、さらに可能性が広がります。どのようなコンサートになるか、とても楽しみにしています」

西江辰郎 (C)Kazuhiko Suzuki

西江はさらに、バンドネオンの魅力は“じゃばらの呼吸”にあるのではないかと話してくれた。

西江「弦楽器奏者は、もちろん息も合わせますが、弓で呼吸を表現できる。管楽器奏者の呼吸は実際に息を使うじゃないですか。バンドネオンは、蛇腹(じゃばら)という、また違う“呼吸”がある楽器です。いわば肺のようなものがあるわけで、弦楽器では通常行わないような呼吸の使い方をすることもあり、特有の表現があると思うんですよ。それが曲にアクセントを加えたりとか、新しいインスピレーションを生んだりという面もあるので、三浦さんとご一緒させていただくと、表現の幅などにおいて学ぶことがたくさんあります。その独特の表現力がとても魅力的な楽器だなと思っています」

三浦「蛇腹の開閉はボウイングに似た感覚だと思っているので、そういう意味で、管楽器の呼吸と弦楽器の弓の表現の合間のような役割をできたらいいなと思います。繰り返しになりますが、われながら、サウンドとしてはものすごく相性がいいと思いますので、そこはぜひ聴いていただきたいと思っています」

プログラムは70分ほど。音楽だけでなく、映画にまつわるお話も。

三浦「映画の解説というほどのものではないですが、音楽家から見た、映画音楽と作品のお話など、ちょっとした小噺をはさみながら、気楽にお楽しみいただける内容にしたいと思っています。ぜひお越しください」

取材・文:宮本明

<公演情報>
三浦一馬 バンドネオン・シネマ

公演日程:2024年8月10日(土) ① 13:00(12:30開場) ② 17:00(16:30開場)
会場:浜離宮朝日ホール

チケット情報:
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2449427

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