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毎年人気の尾上右近自主公演『研の會』に、尾上眞秀が参加!

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左から)尾上眞秀、尾上右近

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尾上右近が自身で演目選びから配役まで手掛ける“自主公演”ながら、毎年大きな注目を集めている尾上右近自主公演『研の會』。8回目となる今回は、『摂州合邦辻(せっしゅうがっぽうがつじ)』で玉手御前を、『連獅子』では親獅子に初役で挑む。『摂州合邦辻』には中村橋之助、中村鶴松、尾上菊三呂、市川青虎、市川猿弥が出演。さらに『連獅子』には尾上眞秀が仔獅子の精で出演、こちらも初役で勤める。今回は東京・浅草公会堂のほか、初めて大阪・国立文楽劇場でも上演が決定。6月22日、右近と眞秀による合同取材会が開かれた。

右近が「未経験の名作に挑戦すること」も見どころとなっている自主公演。『摂州合邦辻』は玉手御前(右近)が業病で盲目となった義理の息子・俊徳丸(橋之助)を追いかけて、自分の父・合邦道心(猿弥)の庵室にたどり着く「合邦庵室の場」を。許嫁の浅香姫(鶴松)と共にかくまわれている俊徳丸に、邪恋から迫る玉手御前。見かねた合邦は娘を手にかけるが……。意外な恋の真相が明らかになる、異色の名作だ。

右近は、「取材会で言うのはおかしいのですが、どういうつもりで演じるかというのはなるべく言いたくなくて……」と笑う。

「というのは、若くて美しい継母・玉手御前という役については、いろいろな解釈があるから。人は誰でも、あの言葉はどういう意味だったんだろう、あの行動は何だったんだろうと、何が本当なのかわからない心の動きってあると思うんですね。玉手御前も息子に恋をしたこと、(ある事情から)助けたいと思ったこと、どれも本当だと思うんです。もちろん大義のためというのもあるし、どの一面を切り取っても本当というのがこの役。ひとつ言えることは、本当に恋をして、恋を貫くと、そこには愛があった。そしてその愛の花を咲かせて散っていくというところに、玉手御前の美しい姿があるような気がしています。泥の上に咲く蓮の花は非常に美しくて、それが仏教の心っていうところに繋がる。『玉手御前は蓮の花みたいな人だな』っていう印象を、僕は抱いていますね」と語る。

尾上右近

物語の舞台は大阪だ。右近は「初めて大阪でも自主公演ができるということで、大阪のお客様にも楽しんでいただきたいと思って選びました。(先に大阪公演があるので)舞台の雰囲気や感想などいろんなものを踏まえて、さらに東京で上演できるというのも意味があることだなと感じています」と意気込む。

2本目の『連獅子』は、歌舞伎ならではの勇壮な“毛振り”でも知られる人気舞踊。前半では狂言師の右近(右近)と左近(眞秀)が登場。霊山清涼山にかかる石橋の由来や、霊獣である親獅子が仔獅子を谷底に蹴落とし、這い上がってきた子だけを育てるという伝説を踊ってみせる。後半には親獅子の精(右近)と仔獅子の精(眞秀)が現れ、ダイナミックな毛振りを披露するのが見どころだ。

取材会では途中から眞秀も登壇。『連獅子』の見どころを聞かれて、「激しい場面とゆっくりな場面があって、切り替わるところ」と、しっかりアピール。稽古場で慣れるために衣裳とカツラを着けていることについては、「重いし暑いけれど頑張っていきたい。右近さんは踊りがすごく上手いので、それに食らいついていきたいです」と気合い充分だ。

尾上眞秀

「暑さの対策をしないと」と話す眞秀に、「僕も以前、お芝居中に全身がつったことがあって、初めて網の上で焼かれて丸まるスルメの気持ちが分かった(笑)。暑さ対策が出来てなかったと思うので、今回の公演中は眞秀くんから『お水を飲まなきゃダメだよ』と言ってください」と右近が話しかけると、満面の笑顔でうなずく眞秀。さらに「襲名披露から1年が経ちますが、尾上眞秀という名前に慣れましたか」という右近の質問に、眞秀がすかさず「安定してきました」と答えるなど、その微笑ましい仲良しぶりに思わず取材陣からも笑いが漏れていた。

取材会では、昨年に引き続き現代美術家の横尾忠則氏による特別版公演ポスターも披露。さらに映画やバラエティ番組、ミュージカル、CMなど、多彩なジャンルで引っ張りだこの右近に、「歌舞伎を観てみたい」という人へのメッセージを尋ねると。

「歌舞伎って難しくない、エンタメですよと伝えたいし、思われる以上に“暴れん坊”なエンタメだという気持ちがあります。ダイナミックなところがあり、でも繊細な表現もあり、その振れ幅の大きさが魅力かと。『摂州合邦辻』もドロドロしたお話のようで、最後は人間らしさを描いていると気づくし、『連獅子』もやっぱり親と子の情というものを描いたドラマ。と言っても、後半いきなり獅子になっちゃったりと、そこはもう理屈じゃないんですよね。理屈の部分と理屈じゃない部分が表裏一体になって、見た目にも面白いというのが歌舞伎の面白さ。今回も好きになっていただけるという自信を持ってお届けしたいと思います」と、頼もしい言葉で語ってくれた。

取材・文:藤野さくら

<東京公演>
尾上右近自主公演 第八回『研の會』

2024年9月4日(水) 昼の部11:00開演 夜の部16:00開演
2024年9月5日(木) 昼の部11:00開演 夜の部16:00開演
会場:浅草公会堂

チケット情報:
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2452141

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