【セットリスト】
■時速36km
01 七月七日通り
02 動物的な暮らし
03 アトム
04 ラブソング
05 ウルトラマリン
06 花束
07 ブルー
08 ハロー
09 銀河鉄道の夜明け
■reGretGirl
01 best answer
02 ルート26
03 バブルス
04 ギブとテイク
05 グッドバイ
06 ワールド
07 黒鳥山公園
08 tear
09 ホワイトアウト
10 after
11 soak
EN Shunari
音楽
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『FREAKY & GROOVY vol.4 ~FEVER 15th ANNIVERSARY~』6月19日(水) 新代田FEVER (Photo:宇都宮勝)
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すべて見るText:ヤコウリュウジ Photo:宇都宮勝
ツーマンイベント『FREAKY & GROOVY』のvol.4が6月19日に新代田FEVERにて開催された。これまで、Wiennersとthe telephones、ネクライトーキーとサバシスター、koboreとthe dadadadysという魅力的な組み合わせで行われてきたが、今回は失恋や想いを伝えることにフォーカスした楽曲を発表し続け共感を呼ぶreGretGirl、日常で起こった感情の起伏を骨太なオルタナティブロックで炸裂させる時速36kmが激突。初対バンながらも互いを認め合うだけあって、バンドとしての矜持を見せつけながら熱いパフォーマンスを繰り広げてくれた。
先行となった時速36kmは仲川慎之介(vo/g)の鮮烈な歌い出しから始まる「七月七日通り」で強烈な口火を切る。強靭な音塊が飛び出し、オギノテツ(b/throat)もベースも唸りを上げるが、石井開(g/cho)が奏でるフレーズのきらびやかさが絶妙で、決してモノトーンなサウンド感にならないのが彼らの特徴。思わず口ずさみたくなるコーラスワークもあり、初めて彼らを観るというオーディエンスもいたであろうが、グッと序盤から惹きつけていく。
簡単な挨拶を挟み、仲川が会場を揺るがすような咆哮を見せて始まった「動物的な暮らし」では「しっかりと我々のライブを見せつけて、reGretGirlにプレッシャーを与えていきたいと思います」というオギノの力強い宣言もあり、巧みなサウンドプロダクションを披露しながら、ラストは仲川が獣のように歌い叫ぶインパクト大な展開。興奮したオーディエンスの鼓動が反映されたようなビートを誇る「アトム」で会場を包み込むシンガロングが起こるのも当然の流れだったはず。
いい熱気が漂う中、「reGretGirlとは初めての対バンで、あんまり近いところにはいない同士だと思うんです。でも、根底にあるモノはそんなに違いがないんだなというのがわかりまして。オレらと彼らは自分を救う為にやっているところがあって」と仲川がこのライブへの気持ちを改めて語り、新たな出会いの機会になれば、と付け加えるのもとても印象的だった。
そして、柔和なサウンドにつぶやくような歌声を乗せた「ラブソング」を披露し、オギノがイントロのベースラインでいい繋ぎを見せた「ウルトラマリン」へ。ドラマティックな抑揚、グッと踏み込むタイミングでの松本ヒデアキ(ds/cho)のキレッキレのドラミングが秀逸。日常における小さな幸せを抱きしめる「花束」では想いを重ねるようにフロアから自然と手拍子も起こっていく。ひと呼吸おいて、「ライブハウスの、対バンという形式の醍醐味みたいな日だと思うんで、どうっすかね?」と仲川と投げかけた瞬間に大きな拍手に包まれるほどいいムードが充満していた。
終盤戦は「時速(の出番)を後にしときゃ良かったと思わせるぐらい、ガンっとやります!」という言葉通りの疾走。難解なフレーズが絡み合いながら大きな塊となって放たれる「ブルー」で凄みを見せつけた後、彼らが注目を集めるキッカケにもなった「ハロー」と畳み掛け、締めくくりにはエネルギーを全放出する「銀河鉄道の夜明け」。イカれたフルスイングだがポイントは決して外さない。ライブを積み重ねてきたバンドだからこその重みもある。オーディエンスも思いっきり拳を突き上げ、彼らと真正面から向き合っていき、まさしく最高潮な瞬間が生まれていく。最後の音が止まる直前、仲川は小さく頷きながらギターをかき鳴らしていた。きっといい感触を手にしていたに違いない。
そんな熱演を目撃したreGretGirlは「どこまでもいくぞー!」と平部雅洋 (vo/g)が威勢よく声を上げて「best answer」でスタートを切っていく。ワンマンではサポートメンバーを加えて5人編成でプレイもするが、この日はライブハウス仕様なスリーピース。すっきりとした演奏を響かせながら、いいグルーヴ感も漂わせるのは匠の技。的確なフレーズを折り重ね、ハリのある平部の歌声がど真ん中でいい存在感を示している。
激しいイントロから駆け出す愛すべき地元の曲「ルート26」、タイトルコールでフロアから歓喜の声が上がった「バブルス」と続けて遠慮なしに快活なサウンドを響かせていき、まだまだ序盤にも思わず平部が「あちぃ!」とつぶやくほど熱気が立ち込めていくのだ。
前田将司 (ds)の叩き出すビートに乗って、平部が「今日はここ歌う新代田/時速と巻き起こす新時代だ/外せよ、リミッター/飛ばせよ、FEVER」とフリースタイルラップ的前口上もバッチリ決めた「ギブとテイク」は体温を上昇させた1曲。ミドルテンポながらいい歪みが施され、前のめりでそのグルーヴに酔えるラブソングだ。フロアもいい感じで揺れていき、皆々が自分の曲として受け止めていることがも伝わってくる。
ダンサブルなビートで幸せな今とそのすぐ隣に存在している悲しみも同時に歌い上げ、後半に進むにつれて十九川宗裕 (b)と前田が生み出すリズムワークも深みを増した「グッドバイ」から、少しだけ間を置き、引き締まった表情で響かせた「ワールド」、平部が泣き出しそうな声色で歌い上げ、一つひとつの音を大切に紡いだ「黒鳥山公園」とミドルバラードを続けていく流れもまた良かった。こういった流れを作れるのも持ち時間が長めなツーマンの良いところだ。
また、集まってくれたオーディエンスに改めて感謝を述べ、「みんな、きっと何事もないフリをしてる瞬間があると思う。<誰にだってあることだからって苦しくないわけじゃないでしょう>って僕の知ってる天才が、時速36kmの仲川慎之介が歌ってるけど、マジでそうだなと思って。仕事もバイトも学校も、友達、家族、思い通りにいかないことばっかりで。それでも日々は続く。だから、reGretGirlはreGretGirlなりに背中を押すんじゃなくて、ずっと隣におれたらな、と思ってる」という平部の言葉から奏でられた「tear」の包容力は本当に素晴らしかった。壮大でキラキラしたサウンドは心の重荷がスッと消える魔法のようであり、泣きたいときは泣いていいんだと肩に手を置いてくれるようでもある。曲のラスト、「ここにいる誰もが誰かにとって大切な人」と平部が声を上げたが、日常の中で見過ごしがちなことも再確認できたはずだ。
そして、時速36kmに見せつけたいとオーディエンスへ投げかけ、「ホワイトアウト」ではとんでもないシンガロングが起こったが、それだけは満足できないと言わんばかりにロックバンドの勢いむき出しで「after」「soak」と一気に駆け抜けていく。想いが溢れ出して止まらなくなるのがロックバンドだ。最後の最後まで強烈な一撃を繰り出して本編を見事に締めくくった。
軽妙なMCを挟んだアンコールでも会場の温度は下がることなく、ラストナンバーとしてセレクトした「Shunari」も大盛況。シンガロングも響き渡り、平部が「最高や」と口にするような光景が隅々まで広がっていた。
初対バンながら、お互いをリスペクトしつつ意地を張りつつ、バッチバチに向かい合った格別な夜。時速36kmは7月11日に渋谷Spotify O-EASTにて自主企画「Super Ordinary vol.3」を、reGretGirlは8月11日に大阪城野外音楽堂、8月29日に昭和女子大学 人見記念講堂でワンマンを予定しているように、それぞれの道を猛進していくが、近い将来にこの両雄が対峙するステージをまた観たいと思わせてくれる内容だった。
<公演情報>
『FREAKY & GROOVY vol.4 ~FEVER 15th ANNIVERSARY~』
2024年6月19日(水) 新代田FEVER
■時速36km
01 七月七日通り
02 動物的な暮らし
03 アトム
04 ラブソング
05 ウルトラマリン
06 花束
07 ブルー
08 ハロー
09 銀河鉄道の夜明け
■reGretGirl
01 best answer
02 ルート26
03 バブルス
04 ギブとテイク
05 グッドバイ
06 ワールド
07 黒鳥山公園
08 tear
09 ホワイトアウト
10 after
11 soak
EN Shunari
<ライブ情報>
時速36km
自主企画「Super Ordinary vol.3」
7月11日(木)18:00開場、19:00開演
会場:渋谷Spotify O-EAST
出演:時速36km、ズーカラデル、Helsinki Lambda Club
料金:4,000円(入場時ドリンク代が必要)
チケット情報:https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2451207
そのほかのライブ情報は公式サイトで確認を。
■時速36㎞公式サイト:https://www.36kmperhour.com/
reGretGirl
『reGretGirl presents SUMMER ONEMAN LIVE 2024 "どうにかなってしまいそうな野音編"』
8月11日(日) 16:30開場、17:30開演
会場:大阪城野外音楽堂
『reGretGirl presents SUMMER ONEMAN LIVE 2024 "ひとりだと思わないためのホール編"』
8月29日(木) 18:00開場、19:00開演
会場:昭和女子大学 人見記念講堂
料金:5,000円
チケット情報:https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2450116
そのほかのライブ情報は公式サイトで確認を。
■reGretGirl公式サイト:https://www.regretgirl.com/
フォトギャラリー(11件)
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