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前代未聞のお坊さんミュージカル!難解原作をエンタメに昇華した京極夏彦「百鬼夜行」ミュージカル『鉄鼠の檻』大阪公演開幕

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京極夏彦による人気小説「百鬼夜行」シリーズのミュージカル化第2弾となる、ミュージカル『鉄鼠の檻』が6月28日(金)より大阪・サンケイホールブリーゼにて上演される。

京極夏彦による「百鬼夜行」シリーズは、陰陽師にして古本屋の“京極堂”こと中禅寺秋彦が、妖怪に見立てられた奇怪な事件を「憑き物落とし」として解決していく人気小説。『鉄鼠の檻』はシリーズ第4弾として刊行され、2017年にはコミック化もされた長編推理小説で、未だ舞台化、映像化もされていなかった大人気ミステリーを今回初めてミュージカル化する。

物語の舞台は禅寺の明慧寺。僧侶たちが次々と殺される「箱根山連続僧侶殺害事件」が起こり、京極堂や妹の中禅寺 敦子、小説家の関口巽、医師の久遠寺嘉親、探偵の榎木津礼二郎らお馴染みのメンバーが、その怪事件に巻き込まれていく。禅寺で修行し、悟りを求める存在の僧侶たちが、煩悩に惑わされるドロドロの欲望劇だ。

主人公・中禅寺秋彦役を前作ミュージカル『魍魎の匣』に引き続き続投した小西遼生は「ミュージカルでこんな作品は観たことない、と僕は思います。きっとお客さんもないと思います」と手応えを口する。

そして、クセの強いコミカルなキャラクターで緩和剤となる、探偵の榎木津礼二郎役は前作から引き続き北村諒と新たに横田龍儀がWキャストで出演、小説家の関口巽役も前作と同じく神澤直也が演じるが、彼は今回ストーリーテラーとして膨大な説明をセリフや歌で届け、全編通して大活躍を見せる。

禅寺が舞台ということで、仏教や宗派にまつわる情報など、普段は俗世に生きている我々には馴染みのない難解な言葉が多数登場する。さらに、関わる僧侶たちも複数おり、冒頭からその情報量の多さについていけるのか不安がよぎるが、舞台上には言葉が次々と映し出され、視覚でもわかりやすく情報を補ってくれるため、むしろミュージカル初心者にも見やすい演出だ。

また、“言葉では伝わらない”という「禅」の世界や思想がこの物語を巡る根底にあり、単純に誰がどうやって殺したのか、という殺人事件の謎に迫るミステリー作品以上の難解さも併せ持っているところがこの作品の面白さだろう。

上演台本・作詞・演出を手掛けた板垣恭一は、「僕が一番やりたかった部分は『悟りとは何か』ということと『禅とは何なのか』」、「京極先生がおっしゃっていた、『伝わってもわからない』という世界を舞台上に出現させたい、そのことだけをありとあらゆる演劇の技を使って創り上げた」と語り、これほどまでに難解で1000ページを超える原作を、軽快な歌とテキスト表示でテンポよく進ませ、観客に考えるストレスを与えず、見事なエンタメに昇華させた。

作品を彩る音楽は、演劇『ハイキュー!!』、『僕のヒーローアカデミアThe“Ultra”Stage』、舞台『鬼滅の刃』ほか数多くの舞台音楽を手掛ける和田俊輔が担当。今作でも胸を震わす素晴らしい楽曲たちにより、観客を作品世界へ惹き込む。

小西遼生の艷やかな京極堂が、欲望渦巻く閉鎖社会と化した禅寺の「憑き物落とし」を行うクライマックスの盛り上がりは必見。本当の檻とは何か、本当の鼠とは誰なのか、ぜひ目の前で生身の人間が演じるからこそ滲み出る、禅寺に巣食う様々な欲望の姿を感じるとともに、「禅」や「悟り」への興味を持つきっかけにしてほしい。

なお、大阪公演の榎木津礼二郎役は横田龍儀が務める。

【コメント】

[原作] 京極夏彦
ゲネプロを大変楽しく拝見させていただきました。上演時間が長くてごめんなさい……台詞が多くてごめんなさい……漢字が多くてごめんなさい。わかりにくい言葉ばかりで謝る事ばかりですが、ちゃんと伝わりました。基本的にお経というものは全て意味がありますが、聞いている私たちには全く分かりません。漢字を見てもわかりません。でも、ありがたいという事はわかりますよね? ですから、伝わらない言葉を伝えようとするのではなく、これは伝わるんだ!と思って演じていただくのが一番かと思います。自信をもって、間違えたって誰もわかりません(笑)。禅は言葉では伝わらないのです。言葉を捨てたところに神秘があるという事を、言葉をたくさん言う事で表していただいてありがとうございました。前回も歌はありましたが、今回の方が歌多くないですか? わけのわからない言葉は、しゃべるより歌う方がわかりやすいかもと思いました。
みどころはたっぷりあるので、初めて観る人もびっくりして喜ぶと思いますし、二度目の方にもしっかり楽しんでもらえると思います。自信を持って気楽にやっていただければと思います。

[演出] 板垣恭一
前代未聞のお坊さんミュージカル!というところが見どころで、自分で脚本も組ませていただいたのに、あまりの情報量の多さに稽古をしていてクラクラしてくるという……。でも、僕が思う“原作の大切な部分”は落としたくなかったんです。悟りとは何か?禅とはなんなのか?を舞台上にのせてみたい、伝わってもわからないという「禅」の世界を舞台上に出現させたかったので、なんとか圧縮しながら時間を拡大して内容を伝えられないかと、映像を入れたり、関口(神澤直也演じる関口巽)を語り部に起用することで話が進む速度を早くさせるなど、演劇の使える技を使った次第です。
先生にもお話しいただきましたが、難しい言葉は歌ったほうが意外といける。(舞台上に)字も出させていただいておりますので、決して難しい話ではありません。禅の話だと考えると難しく感じますが、素敵なエンタメですので犯人探しなど楽しんでいただければと思います。

中禅寺秋彦 役 小西遼生
“禅には言葉が通じない“そういった作品をミュージカル化するというのは本当に覚悟がいることでした。お客様にどう楽しんでいただこうかと稽古を通じて試行錯誤してきましたし、新しい作品が出来上がったと思います。
ミュージカルでこんな作品は観たことない、と僕は思います。きっとお客さんもないと思います。
今回の『鉄鼠の檻』を舞台化する聞いたときにはゾッとしました(笑)。前作の『魍魎の匣』はレンガ、『鉄鼠の檻』は隕石と呼ばれるくらい原作が分厚くて重量感があるんです。その隕石(原作)を読みまくり、言葉を吐いたときに説得力が出るようにするために原作と台本を照らし合わせながら、そこには書かれていない情報を勉強するなど準備をたくさんしてきました。
京極先生の言葉はすごくかっこいいな、と思うことがたくさんありますが、言葉そのものの意味というだけではなく、言葉の響きなどがメロディに乗ったときに二乗でかっこよく、作品が大きくなるという手ごたえがあります。
きっとこの作品は、ミュージカルや役者が好きな人、京極先生の作品のファンの方など色々なお客様が来てくださると思いますが、それぞれが違う一面で楽しんでいただけるような“多重の結界”が張られている作品です。難しいものを簡単にするのではなく、難しいままお届けしますが、その難しいものが面白くなるような工夫をしていますので、身体と感覚で受け止めて楽しんでいただければと思います。そして、お坊さんがたくさん並んで舞台上にひしめき合っているミュージカルは初だと思います。ツルツルしています(笑)。ぜひご期待いただきたいです。

榎木津礼二郎 役 北村諒(Wキャスト) ※東京公演のみ出演
前作『魍魎の匣』でも榎木津を演じさせていただいたのですが、今回の稽古に臨むにあたって、特に理由はないんですけど、前回の稽古の動画を見返してどんな感じで稽古をしていたか、歌の雰囲気など、なんとなく前回の記憶を呼び覚ましていました。(小西)遼生さんのこの歌声に惹かれたな、と思い出すこともあって楽しかったです。
情報量の多い作品ですが、榎木津という軽快な男が一人、紛れておりますので皆さんがパンクする前の癒しになればいいなと思って挑んでおります。ぜひ楽しんでください。

榎木津礼二郎 役 横田龍儀(Wキャスト)
この作品を初めて読ませてもらったときに人間の欲について描かれていて、すごく面白いなと思いましたし、禅にも興味が湧きました。今回初参加となり、稽古に入る前は“怖い人がいたらどうしよう……”と思っていたのですが、優しい方ばかりでしたし、大先輩の北村諒くんとWキャストで演じさせてもらうということで緊張感もあります。
前作をご覧になられたお客様からしたら諒くんの榎木津礼二郎のイメージがついていると思うのですが、諒くんと同じように演じていても面白くないなと思い、僕が率直に読んでイメージした榎木津礼二郎を演じようと思って稽古に臨んでいました。
僕は明日が初日なので、舞台の上に立った時のお客様の反応が楽しみですし、榎木津礼二郎は一般の方からしたら変人に見られがちなので、変人だと思われれたら正解なのかな、とも思ってます。
ご覧いただくお客様には言葉の難しさはあるかもしれませんがその奥深くにある部分を楽しんでもらえたらなと思います。

関口巽 役 神澤直也
僕は今回ありがたいことに出ている場面が多くて……演出の板垣さんと同じくクラクラしています(笑)。
僕はあえて前回の『魍魎の匣』を振り返らず、もう一度新しく関口巽というキャラクターを作り直そうと思いました。今回はストーリーテラーとして物語を語る部分が多いですし、やはり新シリーズという期待もあったので前回を超えていかなければいけないということで、今回は新しい関口巽として、それを愛していただけるような作り方をしてきました。情報量も伝えなければいけないので、お客さんもですが、まずは僕自身がパンクしないように頑張りたいと思います。

【『鉄鼠の檻』あらすじ】
舞台は昭和28年初春。古物商を営む今川雅澄は、明慧寺の僧侶、小坂了稔から〈世に出ることはあるまじき神品〉を買い取って欲しい、との依頼を受け、箱根山中の「仙石楼」に投宿する。食客として逗留していた老医師、久遠寺嘉親と碁を打つ日々を送りつつ、了稔からの続報を待つ今川。
しかし、そんな彼の前に突如現れたのは、座禅を組んだような姿勢のまま死んでいる、小坂了稔の遺体であった。周りに足跡はなく、不可解な現場に旅館は騒然となる。
一方、時を同じくして箱根を訪れていた憑物落としの古本屋、「京極堂」こと中禅寺秋彦と、その友人で陰気な作家、関口巽も事件に巻き込まれてしまう。更に、神奈川県警の横暴な捜査に業を煮やした久遠寺が、探偵の榎木津礼二郎を呼んでしまったことにより、榎木津も事件に関わることに。やがて一行は、仏弟子たちが次々と無惨に殺される謎の巨刹・明慧寺を舞台にした「箱根山連続僧侶殺害事件」の只中に飛び込んでいくこととなるのだった。

<公演情報>
ミュージカル『鉄鼠の檻』
【大阪公演】
6月28日(金)・29日(土) (金)18:00 (土)12:00/17:00
サンケイホールブリーゼ

公式サイト:
https://www.tessonoori-musical.com/

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