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『佐々木亮介弾き語り興行“雷よ静かに轟け”』御徒町凧をゲストに迎えた第六夜をレポート

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『佐々木亮介弾き語り興行“雷よ静かに轟け”第六夜』6月22日(土) 浅草フランス座演芸場東洋館 (Photo:石井麻木)

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Text:森朋之 Photo:石井麻木

a flood of circleの佐々木亮介が主催する弾き語りツーマンシリーズ“雷よ静かに轟け”の第六夜が6月22日、東京・浅草フランス座演芸場東洋館で開催された。

映画「浅草キッド」の舞台になったこの会場で行われるツーマンシリーズ“雷よ静かに轟け”は2023年2月にスタート。3カ月に1度開催され、これまでに中田裕二、NakamuraEmi、奇妙礼太郎、古市コータロー、小山田壮平が出演している。第六夜のゲストは、詩人であり、森山直太朗の多くの楽曲の共作者としても知られる御徒町凧。以前から交流があるという佐々木と御徒町は、言葉と歌、声を共鳴させながら、この場所、この時間だけの奥深い舞台を繰り広げた。

梅雨入りが発表されたばかりの東京・浅草はこの季節らしい湿気がたっぷり。芸人の聖地である浅草フランス座演芸場東洋館はこの日も立ち見が出るほどの大入り満員で、“雷よ静かに轟け”に対する注目が高まっていることが伝わってくる。

開演時間の19時半になると、佐々木亮介がアコギを持って登場。舞台の上であぐらを組むと「月まで届くように叫んでる Honey Moon Song」(「Honey Moon Song」/a flood of circle)というフレーズを紡ぎ出す。マイクを通さない、生のギターと声の響きが心地いい。ステージの上に置かれた椅子に座り、「靴を履いてくるのを忘れました……」とつぶやいた後は、ブルース的なコード進行で「ようこそ、浅草フランス座演芸場東洋館へ」「そばも食ったし、お茶割飲んでるし、俺はすでにいい気持ちになってる」と即興で歌い上げる。さらに「御徒町さんを見に来た人からしたら、“へー”って感じですよね(笑)」というMCに導かれた「理由なき反抗(The Rebel Age)」(a flood of circle)では“シャラララ~”というシンガソングが発生。観客のオープンマインドぶりも楽しい。

「今の曲、少年ジャンプのマンガ(『ふつうの軽音部』)に出てきたらしいんですよ。すごい昔の曲が俺の知らないところで誰かが好きでいてくれることがゾッとするというか……もちろんうれしいんですけど」「“理由なき反抗”を作ったのは2012年くらいなんですけど。震災の後くらいで、俺は言葉に飢えてました。欲しい言葉がどこにもないから、(自分のなかから)言葉が出てきました。これから歌う歌は、“ラップでもなく、トーキングブルースでもなく”って説明してたんだけど、もしかしたら朗読がいちばん合ってるのかも」

そんなエピソードを挟んで届けられたのは、「Summertime Blues Ⅱ」。“搾取する奴より搾取される奴が悪いと言われる2024年夏”と新たな歌詞が加えられ、より強く引き付けられる。

「凧さん(御徒町)に“いいね”と言われた曲です……“サラダ記念日”みたいになっちゃった(笑)」と「くたばれマイダーリン」(a flood of circle)を歌い、御徒町と交流がはじまった経緯を話しているところに御徒町本人が舞台に姿を現す(クビにタオルをかけ、手にはなぜかリュック、そして“緑茶割り”)。

「このイベントに誘われて、“2、3篇、詩を読む感じでいいかな?”と言ったら、“俺のなかでは対バンなんですよね”って言われて」「自分の足跡のような詩を読みますね」(御徒町)という話を挟み、彼の最初の詩集「人間ごっこ」から「梅雨入り」、そして、詩集「人に優しく」から「生きてることが辛いなら」を朗読。「生きてることが辛いなら」は森山直太朗の代表曲として知られるが、御徒町の声を通して聴くと、歌とは違った佇まいと感情が立ち上がる。

さらに「最近、よく北海道に出入りしていて。そこで勃殺戒洞(中村達也×中尾憲太郎)のライブを観ながら書いた詩です。佐々木亮介のイメージにも合うかなと思って」と「紫色の狼」、そして、詩集「いつも、ミシン」収録の「いつも」を読んだ。「いつも」は父親がいつも口にしていた“気をつけなさい”という言葉を巡る詩。父と子のあやふやで切ない愛情が滲む。

「今に立つ」と題された新作の詩が披露された後、再び佐々木が合流。ここからはふたりのコラボレーションが繰り広げられた。

まずは御徒町が佐々木をイメージして書いた歌詞を佐々木が曲にした「歌うたいのブルース」を朗読→弾き語りの順番で披露。「中央線の車両の間で 浮かんだ言葉をハミングする ギターケースが今日はないから 傍から見たらヘンな奴かも」というラインからはじまる詩、そして、アコギの響きとメロディを伴った歌。言葉と旋律、声がぶつかり合い、一つの表現になっていくプロセスを共有できる、きわめて貴重なパフォーミング・アートだ。

その後も、二―ル・ヤングの作詞・作曲による「ヘルプレス」(クロスビー、スティルス、ナッシュ&ヤングの名盤「デジャ・ヴ」収録)に御徒町が日本語の詩を付けて佐々木が歌ったり(タイトルは「平熱」。本気で素晴らしい出来だったので、できれば音源にしてほしい)、森山直太朗の名曲「どこもかしこも駐車場」をカバーしたりと、“これはもう2度と見られないな”という場面が続いた。もっとも印象的だったのは、この日のために紡がれたもうひとつの曲「君にI LOVE YOU」。シンプルで奥深い、それ以上でもそれ以下でもないピュアなラブソングだ。

最後は佐々木がひとりで「テンペスト」(a flood of circle)の歌詞を読み、弾き語りを披露……アンコールで再び登場し、「世界はきみのもの」を演奏したと思いきや、途中で歌詞が飛んでしまい、イベントはそのまま終了。佐々木は「8月12日、日比谷野音で!」([a flood of circleデビュー15周年記念公演 "LIVE AT 日比谷野外大音楽堂"])と笑顔で手を振り、舞台を下りた。言葉と歌の無限の可能性を実感できる、本当に素晴らしい公演だった。“雷よ静かに轟け”第七夜は10月27日(日)。ぜひ期待してほしい。

<公演情報>
佐々木亮介弾き語り興行“雷よ静かに轟け”第六夜

2024年6月22日(土) 浅草フランス座演芸場東洋館

セットリスト

■佐々木亮介
01. Honey Moon Song(a flood of circle)
02. 浅草フランス座演芸場東洋館 Blues
03. 理由なき反抗(The Rebel Age)(a flood of circle)
04. Summertime Blues II(a flood of circle)
05. くたばれマイダーリン(a flood of circle)

■御徒町凧
詩集「人間ごっこ」より「梅雨入り」
詩集「人に優しく」より「生きてることが辛いなら」
「紫色の狼」
詩集「いつも、ミシン」より「いつも」
「今に立つ」
「ポエトリーカラス14」
「メッシが伝説になった次の日」

■佐々木亮介&御徒町凧
06. 歌うたいのブルース
07. Helpless(Neil Young)
08. どこもかしこも駐車場(森山直太朗)
09. 君にI LOVE YOU

■佐々木亮介
10. テンペスト(a flood of circle)
EN. 世界は君のもの(a flood of circle)

<ライブ情報>
デビュー15周年記念公演"LIVE AT 日比谷野外大音楽堂"

日程:2024年8月12日(月・祝) 開場16:00/17:00開演
会場:日比谷野外大音楽堂
出演:a flood of circle

チケット料金:全席指定5,000円、U22割全席指定2,500円
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2448512

佐々木亮介弾き語り興行“雷よ静かに轟け”第七夜

日程:2024年10月27日(日) 開場19:00/開演19:30
会場:浅草フランス座演芸場東洋館演

チケット料金:全席指定4,800円、後方立ち位置指定(立見)4,800円
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2452289

a flood of circle公式サイト:
http://www.afloodofcircle.com/

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