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超能力戦士ドリアンインタビュー「『おおぞらクルージング』は自分たちで聴いても作った意味のある盤になった」

音楽

インタビュー

やっさん(vo/g) おーちくん(vo/dance) けつぷり(g/cho)

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Text:小川智宏 Photo:石原敦志

2年前にリリースした1stミニアルバム『でっかいワンちゃん』に収録されていた「カフェかと思ったら美容院だった」がSNSで大ブレイク、それまで知る人ぞ知る超絶おもしろバンドだった超能力戦士ドリアンがTikTokをやっているギャルやボーイに大人気……という今の世界線、果たして予想していた人はいるのだろうか? しかしそんな追い風を味方につけ、彼らはさらに飛翔する。こだわりまくった全8曲を詰め込んだ新作ミニアルバム『おおぞらクルージング』は、そんな彼らにとって勝負の1作になるはずだ。そんな新作のこと、11月に予定されている対バンツアーのこと、そしてその先の未来のこと。確実に手応えを感じている今の3人に話を聞いた。

(おーちくんとけつぷり、写真撮影を終えたところでおもむろに髭を剃り始める)

やっさん 今!?

――(笑)。今回2年ぶりのリリースですが、その間ライブもコンスタントにやってきていて。現在のバンドのコンディションはどんな感じなんですか?

やっさん それは過去最高にいいですね。

――おお。

やっさん コロナ禍前が最高だったんですよ。大阪で800人くらいのキャパをソールドアートできるようになったんですけど、コロナ禍に入ってライブが楽しいっていうタイプのバンドはみんな結構苦しんで。僕たちもそれで一度動員が落ちたんです。一時は「もうこれ、ツアー回る意味あるんかな」みたいな状態だったんですけど、諦めずに種まきをし続けていたらやっと花が咲き始めた。SNS的にもライブの動員的にも今まででいちばん水準が高い状態になってます。

やっさん(vo/g) おーちくん(vo/dance) けつぷり(g/cho)

――ワンマンツアー「とびきり!にっこり!レストラン」のファイナルシリーズもソールドアウト続出ということで。

やっさん (渋谷クラブ)クアトロも即完してもうて(笑)! いやー、びっくりしました。

――いい感じでやれているということですね。

やっさん 2年前に出したミニ・アルバムの「カフェかと思ったら美容院だった」っていう曲がTikTokやInstagramのリール動画で、バズったって言っていいのかはわからないんですけど、500万回再生ぐらいされて。そこから結構声かけられるようになったり、SNSで話題になったり、そういうことめちゃくちゃ増えましたね。なんか女子高校生とかに広まってるらしいです。「カフェのバンドでしょ?」みたいな。ファンの人が、今まではドリアンの話をしても全然伝わらなかったのに「TikTokで見たことある」とか「カフェの曲聴いたことあるよ」とか言われるようになったって言っていて、「広まってるな」と思いました。YOSHIKIさんにも広まったしな。

けつぷり まあまあ、間接的にな。

――YOSHIKIさんがYouTubeでドリアンを「Xに通ずるものがある」と紹介したという。

やっさん 何がやねん!って(笑)。

けつぷり さすがに思いました。でもうれしかったな。

――おーちくんはそういう状況の変化は感じていますか?

おーちくん ライブでも、お客さんの年齢層が老若男女、家族連れやったり、いろんな層がいっぱい来てくれるようになったなっていうのがあって。

けつぷり バンドって、異性のファンがどうしても多いと思うんです。でも今は半分くらい男性ファンになって。SNSで伸びてからやと思うんですけど、男の人が入ってきてくれて、それがうれしいですね。

――最高じゃないですか。一方では女子高校生に人気があり、でもライブでは男のファンもちゃんとついていて。

やっさん 今まで行ってないところに広まってる感じがしますね。

――そんな中で、そういう新しいファンにぶっ刺す新作がついに完成したわけですが、手応えはどうですか?

やっさん じつは盤を出すこと自体を結構3人で話し合ったんです。時代の流れとして単曲を配信でリリースするほうがいいんじゃないか、盤で出す意味はないんじゃないか、とか。でもいろいろな人に「今年は勝負の年だね」って言われ続けていたし、こうやって取材とかをしてもらう上でも盤を出すっていう理由というか意味はあるよなということになりまして。それで、3人の総意としてリリース自体をやっと決められたんです。2年かかっちゃったんですけど、結果、自分たちで聴いても作った意味のある盤になったなと思います。テーマも曲調も幅をちゃんと持たせられたし、ライブでどうするかというのも考えたし、どういうタイトルだったら引っかかりやすいかなとかも考えられたし。これが広まるかどうかは運の部分もありますけど、下準備をしっかりできたから、仮に伸びなくても「運が悪かったな」って思えるぐらいやることをしっかりやれた。後悔の残らない盤になりました。

――おーちくんは今作、どうですか?

おーちくん 僕らの曲作りって、やっさんが原案や歌詞を書いて、けつぷりさんが打ち込みとかもやってくれて曲を作っていくんですけど、そういう能力もバンドの勢いと一緒で今がいちばん最高に達してるのかなっていう感じが歌っていてもするんです。楽曲的に、ほんまいちばんいいバンドになってるなって。

やっさん その結果、それに比例して曲がムズくなってきて、レコーディングはしんどそうやったな(笑)。

けつぷり 時間かかったな。ブースにたぶん1曲で4時間くらい入ってたもんな。

おーちくん 1行歌うのに1時間かかったりしてた。でも苦労した甲斐はあったかなっていう。

――けつぷりさんは今回の制作、どうでしたか?

けつぷり 曲作り的な部分でいうと、さっきSNSで「カフェかと思ったら美容院だった」がバズったという話がありましたけど、それって当時出した時はいわゆるリード曲じゃなかったんですよ。僕たちには別の曲を推していたんです。そういう曲が2年後に流行るって、もう到底予測できないじゃないですか。もちろん本気で作ったし、ポテンシャルはあったのかもしれないけど、こっちで操作したものじゃまったくないので。でもそっちのほうが流行るんや、カフェのバンドになるんやって。

――カフェのバンド(笑)。あの、さっきから「カフェの歌」とか「カフェのバンド」とか言ってますけど、あれ、カフェの歌じゃないですからね。

やっさん 「カフェかと思ったら美容院だった」だから、「カフェじゃないバンド」ですね(笑)。

けつぷり まあ、それがよくも悪く読めないなって。だから今回作るときも、いったん曲調に関しては考えないじゃないけど、インスピレーションでやろうみたいな感じで作ったんです。湧いてきたやつをそのまま作ったので、自由度が上がったというか。時間はかかったんですけど、何も考えなしにできた。

やっさん だからいいテーマでも、逆にインスピレーションが湧いてこなかったから「次に回そう」ってなった曲もあります。「グループLINEで僕が返事したら返信が止まる」っていうテーマは1回ボツになりました。みんなわかるいいテーマだけどインスピレーションが湧かないから次に回そう、みたいな。どの曲が流行るかわからないし、中途半端に雑に作ってしまってライブでやりにくくなったりしたら後悔するから。

――それで「ドラゴンの裁縫セット(笑)」みたいな曲が採用されていった。

やっさん そういうことです。

――「ドラゴンの裁縫セット(笑)」はすごくポップな曲でいいですよね。

やっさん めちゃくちゃいいんですよ。これは、「カフェ〜」のせいというかおかげで、リードっていうものを基本的には決めずに全部推そうみたいな感じだったけど、形式上は決めないといけなくて。そうなった時に「一応ドラゴンを推すか」ってなって、リード曲になりました(笑)。「そんなことテーマにすんなよ」って思ってもらえるようにタイトルもめちゃくちゃいろいろ考えましたね。

――これ、僕の世代だとよくわからないんですよ。

やっさん 僕らより下の世代だとわかるんですけど、ドラゴンの裁縫セットがカタログの中で一際輝いていたんですよ。

おーちくん 男子小学生はそれに夢中やった。

やっさん その裁縫セットがいまだに定期的にSNSでバズったりするんですよ。「当時なんでそれ選んだの?」みたいな。そのテーマで作りたいって思ったけど、表現が難しくて。本当は2年前くらいに出そうとしたんですけど、そのときに繰り越しになった曲なんですよ。それがやっと形になった。タイトルももともと「ドラゴンの裁縫セット†」ってダガーをつけてたんですけど、意味が伝わりにくいし、ちょっと小バカにしてる感じが伝わった方がいいよなってなって、ギリギリで「(笑)」をつけようということになりました。

――そして「ヤバイTシャツ屋さんと同じ人数」もファンにとっては待望の音源化です。

やっさん これはもともと「3人組の歌」というタイトルで1回リリースしてるんですけど、ヤバTのツアーに去年初めて呼んでいただいて、その時にMCで曲振りの時に「今日から『ヤバイTシャツ屋さんと同じ人数』に変えます!」って言ってこの曲をやったんです。その後ヤバTが出てきて、MCで「ほんまにそのタイトルで録り直してJASRAC登録してくれな許さん」みたいなMCの掛け合いをやって。そしたら(ATフィールド)青木さんが「本当にやったら?」って言うので、僕たちからご本人に連絡をして、青木さんもレコード会社とかに話を通してくれて。アレンジもけつぷりががんばってくれて、前とは結構別の曲になりましたね。ギターがめっちゃ変わりました。

――かっこいいですよね。すごくシンプルなロックだし。

やっさん で、〈1 ! 2 !!3人組!!!〉って数える声のところに女性の声を入れてヤバT感を出そうと。そうすると聴いたときにタイトルとリンクするなってなって、今のアレンジに変わったんです。

――あの声の主は誰なんですか?

やっさん れは大阪のイベンターで清水音泉というのがあるんですけど、その会社に「声の高い事務の方いませんか?」って聞いて(笑)。ひとりいますっていうので、レコーディング当日に急遽仕事終わりに来てもらったんです。

けつぷり 普段デスクでパソコン叩いてはる人に。

やっさん 足震えてました。マイクの前立つのが初めて過ぎて(笑)。

――これ、あれですよね。5年後とかにはまた違う、そのとき売れている3ピースバンドの名前で出し直すんですよね。

おーちくん それは不義理すぎる(笑)。

やっさん ヤバTが大きな不祥事を起こさないかぎりはこのまま行かせていただきたいなと思います。

――あと、僕は「寝るまでは今日」がいちばん好きです。いいですよね。笑えるくらいオシャレっていう。

やっさん こういう、「曲かっこいいのに歌詞なんやねん」みたいなのに一時期飽きてたんですよ。「その笑いってベタよな」って思ってたんですけど、結局それなんやってなって。もう1回新鮮にやれるようになったから、こういうのもできるようになった。

けつぷり これは結構後の方に作ったんです。ロック調でテンポの速い曲が続いてたので、なんか変わり種にしたいなというのはあって。それと、やっさんが歌詞と一緒にこういう曲のイメージで、みたいなのを教えてくれるときがあって、そのリファレンスが結構……なんていうの?

やっさん まあ、夜っぽいというか。

けつぷり そうそう、「夜っぽい曲にしてほしい」っていうイメージを言われたので、僕の中でそれを広げて、メロディーもアレンジも決めてっていう感じで作っていったら、やっぱりオシャレになりますよね。夜とか言われると。

やっさん 曲後半に「カッコよく音楽にのるゾーン」というのがあるんですけど、これだけは歌詞を送る段階で「お客さん全員でポケットに手を入れて肩でリズム取りたい」っていうのがあったんです。「この曲はここがやりたくて作りたいねん」みたいな。

けつぷり そこに行くまでに飽きさせたらあかんからっていうので、展開的には意外とややこしいというか、1番と2番が違ったりしていて。テンポは遅めなんですけど、聴けるようにはしました。これ、最初は他のタイトルやったよね。

やっさん 「僕の日付変更線」ってタイトルだったんです(笑)。でもちょっとオシャレすぎるかって。切り抜いた時に意味が伝わりにくくなるというか、本当におもしろい部分がブレるなと思って。「そのお笑いはちゃうな」って結構冷静に判断してこうなりました。タイトルで意味分かった上でオシャレなんがわろてまうよなって。

けつぷり その内容を無理やり引き伸ばして1曲にしたっていう。

やっさん ちっちゃいワンテーマで。

――今作、ちっちゃいワンテーマが多いですよね。なんか、よりちっちゃいものにいってる感じがするなと思うんですけど。

やっさん なんかね、大きいテーマで作ってた曲も結構あるんですよ、過去に。でもそういうのって軒並み「この中のこの部分を広げた方がよかった」っていう後悔が大きくて。ヒットを狙う上で浅く広く投げる方がいいって思ってたんですけど、狭く深く刺す方がもしかして意味あるんじゃないかっていう。じゃないと「裁縫セット」はたぶん選べなかった。

――しかし、よくこんなに「それがあったか」っていうテーマを見つけてきますね。

やっさん でもね、意外と「このテーマおもろいんちゃうか」は尽きないんですよね。ずっと思いますもん。眼科行って、眼科で見る気球あるじゃないですか。あれに乗って旅に出たい、っていう曲を作りたいとか(笑)。そういうときはネタを取られへんようにSNSに書くようにしてるんです。0から0.1ぐらいが生まれた時にSNSに書いて足跡をつけて置くっていう。「この雪、新雪やな」と思ったら踏むようにしてる。

――今作もその努力の結晶ですね。本当にいいミニ・アルバムになったと思います。

やっさん はい。バコンって伸びるのは再現性のないものというか、交通事故みたいなものだってよくいわれるので。道路に出ていかないと起こり得ないけど、それが衝突するかどうかは本当に運の要素ももちろんあるんですけど、その確率を上げるためにやれることをやり切ったし、あとはライブでのおーちくんの体力が心配ですね。

けつぷり 激しいですから。

やっさん 振り付けも全部決めてライブでやる想定を全部作ったんですけど、どの曲の初披露の後もめっちゃ汗かいてて(笑)。いつもなんですけど、このアルバムは特に運動量がすごいですね。

おーちくん その辺、自分でブラッシュアップしながらやってます。

やっさん ちょっとずつうまいこと手を抜く練習をしていってくれてるんで(笑)。だいたい初披露の後は「無理や! この曲はもうやるのやめよう!」って言ってますけど。

おーちくん でも自分がどれだけ動くかでお客さんのわかりやすさが変わると思ってるんでね。

――わかりました。そんな中、秋に対バンツアー『お友達に興味あるー!ツアー2024』が決まっていて。これももう、即完ということでいいですかね?

やっさん そうですね。まあ、ワンマンツアーで東阪クアトロ、名古屋はダイヤモンドホールというクアトロより大きいところを即完してるんで、そうならないとおかしい。観たいっていう人がたくさんいてくれている状態だから、不安ではありつつ、そうなってくれんと困るなという。次の目標に向けて、いろんな人の力を借りて、いろんなライブを観せてもらって、いろんなファンの方にも観てもらってっていう、そのための一歩としてやらせてもらうので。

――対バン相手はまだ発表されていないですが。

やっさん メンツはね、出せないというかまだ決まってないんですよ(笑)。今オファー中です。

――ドリアンって対バンいっぱいやってますけど、誰とやったって浮くじゃないですか。その辺は今どう考えているんですか?

やっさん 確かに結成最初の頃ぐらいは本当に誰とやっても浮いてたんですけど、だんだんライブをすごく丁寧にやるようになって。「やりたい人もやりたくない人も、どっちでもいいんで」っていうこととか「やりたいけどわからない人のために今説明してます」とか、絶対言うようにしているんですけど、その結果「誰とでもやれる」に変わってきました。バンドとしてもフィジカルが強くやっとなってきたかも。

――ドリアン、もう8年目ですもんね。もうすぐ10周年。

やっさん そうです。一応10周年で武道館ワンマンをしたいっていうのを1個目標にしてがんばっているので。そこに向けて一歩一歩進んでいます。それができたらもう「バンドじゃない」って言われなくなると思うんで(笑)。まずはこの記事が週間アクセス数トップになるように宣伝がんばります。

<ツアー情報>
ツーマンライブツアー『お友達に興味ある!2024』

11月6日(水) 福岡・BEAT STATION
開場 18:15 / 開演 19:00
11月8日(金)愛知・名古屋CLUB QUATTRO
開場 18:00 / 開演 19:00
11月13日(水) 東京・渋谷CLUB QUATTRO
開場 18:00 / 開演 19:00
11月15日(金) 大阪・梅田CLUB QUATTRO
開場 18:00 / 開演 19:00

※全公演対バンゲストあり
【チケット】
前売:4,300円(税込・ドリンク代別)

チケット情報:
https://w.pia.jp/t/kyomiaru/

北海道ワンマンライブ『北の大地に興味あるー2024』

2024年10月20日(日) 北海道・札幌Sound lab mole
開場 17:30 / 開演 18:00
前売:3,800円(税込・ドリンク代別)

<リリース情報>
ミニ・アルバム『おおぞらクルージング』

7月3日(水) リリース
価格:2,200円(税込)

【収録曲】
1. ヤバイTシャツ屋さんと同じ人数
2. 恐竜博士は恐竜見たことないでしょ
3. ドラゴンの裁縫セット(笑)
4. ゾンビの噛ミニケーション
5. ムカつく奴は敵
6. 寝るまでは今日
7. 被りまくりタイムテーブル
8. 負けヒロインでも君がいい

オフィシャルサイト:https://www.durian.band/

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