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『ビリー・エリオット~リトル・ダンサー~』公開稽古レポートが到着!

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『ビリー・エリオット~リトル・ダンサー~』公開稽古より

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1980年代のイギリス北部にある炭鉱の町を舞台に、少年ビリーがバレエダンサーを目指す姿を描き大ヒットとなった映画『BILLY ELLIOT』(2000年、邦題は『リトル・ダンサー』)。映画と同じくスティーヴン・ダルドリーが演出を、あのエルトン・ジョンが音楽を担当して、ロンドンのウエストエンドで舞台化されたのが2005年。その後もブロードウェイをはじめ世界中で上演され、ローレンス・オリヴィエ賞で4部門、トニー賞では10部門を獲得するなどミュージカル界の新たな金字塔となっている。

その日本版も2017年の初演が絶賛を浴び、2020年に再演。今回が三度目の上演となるが、毎回話題になっているのが1年以上に及ぶビリー役のオーディションだ。今回1,375人の中から選ばれたビリー役は4人。6月25日、都内で行われた公開稽古に足を運んだ。

公開稽古は、5つのシーン(楽曲)のパフォーマンスと、海外クリエイティブスタッフのエド・バーンサイド氏(演出補)による解説とで進行。大勢の取材陣が見守る中、まずは「The Stars Look Down(星たちが見ている)」から。

物語はビリーの成長を縦糸に、ビリーの父親役の益岡徹・鶴見辰吾(Wキャスト)や、ビリーを導くウィルキンソン先生役の安蘭けい・濱田めぐみ(同)ら大人たちの想いを横糸にして展開する。このシーンは、ビリー(石黒瑛土)が揺れ動く心情を歌い、そこからビリーの父親(益岡)や兄のトニー(西川大貴)、炭鉱夫のジョージ(芋洗坂係長)らの力強いストライキへと繋がるシーンだ。石黒は夢と現実の間で葛藤する11歳の少年の心情を繊細に表現。たちまち物語に引き込まれた。

続いての「Shine!(輝け、今!)」は、ビリーがバレエ教室に迷い込んでしまい、ウィルキンソン先生(濱田)と出会う場面。タフでクールだが愛情たっぷりのウィルキンソン先生は、本作でも人気の登場人物だ。羽根扇を持ったバレエ教室の子どもたち(バレエガールズ)と歌い踊る濱田の姿はさすがの華やかさで、本作がミュージカルならではの楽しみも満載なのを改めて教えてくれる。

次は「Express Yourself(自分を表現しよう)」の場面。たくましく育ってほしいと願う父の願いと、バレエに惹かれている自分の気持ちとの間で葛藤するビリー(春山嘉夢一)を、親友のマイケル(髙橋維束)が励ますシーンだ。“自分を表現して何が悪いの?”と、ママのドレスを着せ合うふたり。迫力あるタップダンスと弾けるような彼らの笑顔に、早くも胸が熱くなった。

そして本作のクライマックスのひとつ、「Angry Dance(怒りのダンス)」へ。ウィルキンソン先生に才能を見出されたビリー(井上宇一郎)は、ロイヤル・バレエ・スクールのオーディションを受けようとするが、父親(益岡)は拒否。なりたい自分になるために、初めて激しい怒りを表すビリー。囲いの中で怒りを爆発させながら踊る姿は役と演者の姿が重なり、思わず息を飲んだ。

最後は、「Solidarity(団結を永遠に)」から「父さんにバレる」のシーンまで。ストライキはビリーの父(鶴見)やトニー(吉田広大、西川とWキャスト)ら炭鉱夫と、警官隊の間で一触即発の空気に。ウィルキンソン先生(安蘭)とバレエガールズも、その空気は無視できない。人々の想いが交差する中、凛として踊るビリー(浅田良舞)の姿が印象的だ。一方で、炭鉱夫として生き、息子を愛するがゆえにその希望を受け入れられない、リアルな父親の姿が切ない。

バーンサイド氏はビリー役について「こんなに難しい役はない」と説明。「優れたダンサーであるだけでなくタップ、演技、歌など、すべてが必要。オリジナル演出のスティーヴン・ダルドリーいわく“マラソンを走りながらハムレットを演じるようなものだ”とか」と笑わせながらも、「幸いにして素晴らしい4人を見つけることができました」と胸を張った。

公開稽古の後に行われた囲み取材では、初演から3回目の出演となる益岡が、「将来のある子役たちの“今”を見られることが素晴らしく、同時に、大人のアンサンブルの存在が子どもたちのためになっていることを改めて感じています」と語り、感慨深げ。初めての参加となる鶴見は「(本作の)魅力を語ると2時間くらいになっちゃう(笑)」と話しつつ、「イギリスから制作チームが来日して、キャストも6歳から何十歳まで、まさに多様性のある世界。稽古場に来るのが楽しいです」とチームワークの良さをアピールした。

再演に続き2度目のウィルキンソン先生役となる安蘭は、「前回はコロナ禍だったので、稽古以外は子どもたちとあまり会えなかったんです。でも今回は初めから一緒にいられるので、成長をより感じられて嬉しい」と手応えを語る。初参加となる濱田は「(海外スタッフは)人間の本質をすごく大切にされていて、役者にも余計なことはさせないという演出。それによってより作品のクリエイティブが見えてくるので、私も余計な部分はそぎ落として挑みたい」と意気込んだ。

取材・文/藤野さくら

<東京公演>
Daiwa House presents ミュージカル『ビリー・エリオット~リトル・ダンサー~』

オープニング公演:2024年7月27日(土)~8月1日(木)
本公演:2024年8月2日(金)~10月26日(土)
会場:東京建物Brillia HALL(豊島区立芸術文化劇場)

チケット情報:
https://w.pia.jp/t/billyelliot2024/

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