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愛にあふれた舞台版『マッシュル』で、伊藤今人・赤澤遼太郎が闘志を燃やす

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マッシュ・バーンデッド役:赤澤遼太郎

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甲本 一による大人気コミック「マッシュル-MASHLE-」(集英社ジャンプ コミックス刊)を原作に、歌とダンスを駆使した舞台ならではの表現法が大好評だった昨年の第1弾公演。続く第2弾は「2よりちょっと先=2.5」と銘打って、今年1月から放送されたTVアニメ第2期の「神覚者候補選抜試験編」の先の「三魔対争神覚者試験」の一部も含む密度の濃い内容となっている。マッシュ・バーンデッド役の赤澤遼太郎をはじめ濃いキャラクター・濃いキャストのオンパレードで、演出・伊藤今人(梅棒)の采配にも期待が高まる。伊藤と赤澤が語る、“マシュステ”への想いとは!?

ポジティブな稽古場で磨き上げられたマッシュの筋肉=「マッスルズ」

――まず、第1弾公演で印象的だったことから伺えますか?

赤澤 初日が終わった時、お客さんの熱狂や反応がダイレクトに伝わってきたんです。エゴサーチしてみてもすごく好評だったし、たくさんの方から「楽しい気持ちになれる」っていう感想をいただきました。それがすごく嬉しくて、自分たちのやってきたことが間違ってなかった、マシュステが受け入れられたんだ、って思ったことを覚えています。

伊藤 他の魔法や超能力的なことを扱った作品との表現の違いを見せるために、苦労したシーンがたくさんありました。でも大勢のクリエイターの方々の力を借りて、(総合演出の)松崎史也さんに見守ってもらいながら、好きなようにやらせてもらいました。初日の第1幕が終った時、お客さんがめちゃくちゃ楽しそうに休憩に入ったのを見て「うまくいきそうだ」って思ったんですよ。

――おそらく歌やダンスの使い方が想像を超えた、「マッシュル-MASHLE-」の世界をこう表現するのか!」という驚きがあったのではないかと。

伊藤 踊りと演劇をかけ合わせるのが、僕の演出の強み。それと、劇団壱劇屋・竹村晋太朗さんの人力と物体を使ったアクション表現を活かそうと思っていました。そこに脚本の亀田真二郎さんが「今人くんが演出するならこれだ」と提案してくださったものが歌だったんです。まさか、あれだけの分量の歌で進行することになるとは。でも「魔力の強さ=歌の上手さ」っていう方程式ができたことが、第2弾にも影響を及ぼしましたね。

――そして最大の功績と言うべきは、マッシュの筋力(パワー)を表現するダンサーたち「マッスルズ」ではないかと。

赤澤 本当に、天才的な発想でしたね。

伊藤 亀田さんが「筋肉を具現化した『マッスルズ』のダンスで表現したい」って言ってくださって、「それなら」とFULLCAST RAISERZ、FULLCAST RAISERZ A.R.M.Yのメンバーを連れてきました。「マッシュル-MASHLE-」の作品性にフィットした、いい感じにばかばかしい表現ですよね。

赤澤 それぞれにプロ意識を持ったいい人たちで、マッシュの筋力(パワー)についてディスカッションしながら一緒に創ることができました。あと、稽古場でのことで印象に残ってるのは、最終の通し稽古が終わった後に今人さんが「みんな、めっちゃ良かった。ただ、俺もうひとつやりたいことあるんだ」って言って、カーテンコールに(TVアニメEDの)「シュークリーム・ファンク」が追加になったんですよ。

――そこまで来た段階での追加だったんですか!

赤澤 普通なら「マジか!?」ってなりそうなものなのに、みんな全然嫌な気持ちにならなくて「やります!」と(笑)。めっちゃ明るい稽古場だったのは、役者をやる気にさせる、みんなの士気が上がる言葉をくれる今人さんの現場づくりとカリスマ性のおかげだなって。

――それって、現場リーダーである演出家さんとしてはすごく嬉しい言葉じゃないですか?

伊藤 嬉しいですよ……(喜)! ポジティブな、役者がチャレンジしやすい環境をつくりたいので、稽古場ではポジティブな空気づくりを第一に考えています。

――赤澤さんが演じるマッシュは、どういうところから自分なりの人物像を創っていったのでしょうか。

赤澤 第1弾の時、マッシュの筋肉の説得力が大事だと思ったんです。みんなは歌やダンスでいろいろ表現するけれど、マッシュはそうではない。じゃあどうやって戦っていくのか、それは肉体で勝つことだ、ってなった時に、自分で言うのも恥ずかしいですけど、逆三角形の体格がうまく作用して説得力が出たんじゃないかって。

伊藤 第1弾のビジュアル撮影をする時に、めちゃくちゃ鍛えて身体をつくってきてくれました。その後は別作品の女性役で筋肉を落として、その舞台が終わったら「マッシュル-MASHLE-」のために鍛えて……と、激しく筋肉を増減させる役者根性がすごい。それに歌、ダンス、自分の魅力の見せ方とか、各所で遼太郎を上回る役者はたくさんいるけど、こんなに素直に、誰に対しても分け隔てなく、リスペクトを持ってお芝居する役者は見たことがない。そういうところが「マッシュル-MASHLE-」の世界でのマッシュの居方と重なって、すごく良かったんじゃないかな。

赤澤 そんなふうに言ってもらえて嬉しいです……! あまり笑わないマッシュと結構笑うタイプの僕では全然違うけど、マッシュの持っている家族愛や友人に対して思う気持ち、自分の大切なものが傷つけられた時に起こる感情とか、本質的な部分は似ていると思う。そういうところからヒントをつかんでいきました。

存在感あふれるキャラクターとキャスト陣で舞台ならではの面白さを

――第2弾では、さらなるパワーアップが求められますよね。

伊藤 まず、前回と今回では劇場が違うので、劇場にフィットした表現をしたくて、美術家さんをはじめスタッフで技術面について話し合いながら進めています。それに出演者も増えて、素敵な役者さんが揃いました。我々としては、原作をどう再現するのかを第一に考えてしまっていたけれど、集英社の方々が「改変を恐れないでいきましょう」と。原作をそのままなぞるのではなく舞台版として面白くするならこうだろう、という提案をしてくださいました。例えばアニメ第2期の「神覚者候補選抜試験編」ではまだ出てこないドミナ・ブローライブも出てきますし、原作と明らかに違う流れになっています。

赤澤 ここでカットしたことはこっちの戦いに持ってきて、とか再構成が本当に素晴らしいんですよね。

伊藤 「こういう方向性もあったのか!」って、舞台なりの面白さを感じていただけるように創りたいと思います。「マッシュル-MASHLE-」って「舞台でどう表現するねん!」っていう決着のつけ方を度々するので、演出家としてはそういった場面こそが腕の見せ所みたいな部分がありまして。

赤澤 台本を読んでいても「マッシュ、壁を走る」とか「マッスルズの力を借りてバタフライする」とか、どういうことだかわからないト書きが……(苦笑)。でも、普通だったら見られないようなものを見せてしまうのがマシュステの魅力。アイディアと肉体でどう表現していくのか、今回もめちゃめちゃ楽しみです。

――まさにステージパフォーマンス、エンターテイメント演劇のパワーそのものですね。

伊藤 テクノロジーに頼りきることなくフィジカル、小道具などで表現して「そういうものだ」って思わせることが演劇の面白さ。第1弾で創りあげたものは失わず、さらに進化した表現を見せたいですね。

――新登場のキャラクターも大勢いますが、特におふたりが注目しているのは誰でしょうか。

赤澤 マッシュと戦う場面も多いマーガレット・マカロン役で、spiさんとご一緒できるのが嬉しい。公式TikTokのspiさんのコメント動画を見たんですけど、稽古が始まるよりずっと前に行われるビジュアル撮影の時点で、もうマカロンにしか見えない。

伊藤 自分で役作りして、仕上げていたよね。

赤澤 原作を好きな方が「どんな人が演じるんだろう」って思った時に、あそこまで圧倒的なものを動画ひとつで見せられるなんて。もちろん人によって考え方は違うでしょうけど、僕はすべての2.5次元舞台の役者はそうあるべきじゃないかと思う。そのspiさんと舞台上でやり合えることがすごく楽しみですね。

―― spiさんの解釈力の勝利ですね。伊藤さんはいかがですか?

伊藤 全員が本当に素晴らしいし、注目していただきたいけれど、あえて挙げるなら今回の物語の山場はマーガレット・マカロンとドミナ・ブローライブ。spiさんと田村升吾さんがぴったりはまっていると思います。それと、第1弾で石川凌雅くんがめちゃくちゃ素敵なランス・クラウンを創ってくれたので、それを誰に託すのかはオーディションの段階から大きな課題でした。中山清太郎くんは、あふれ出る人間性やオーディションの時のパフォーマンスを見て、「彼に賭けてみたい」と思いました。そうしたら、ビジュアル撮影の時にもうランスを仕上げて来てくれて。彼を信じて良かったし、稽古、そして本番でも期待しています。

赤澤 これまでは(フィン・エイムズ役の)広井雄士が最年少だったんですけど、今回は清太郎くんが最年少。アドラ寮メンバーで彼を迎え入れて、良いチームをつくり上げられたらと思います。

伊藤 第1弾から出ているレグロ・バーンデッド(ウチクリ内倉)とブラッド・コールマン(澤田拓郎)に関しては、どうしてもいてほしかったんです。コミカルさというか、舞台の「マッシュル-MASHLE-」らしさを担保してくれたのはこのふたりだったと思うし。

赤澤 お客様のオアシスになる存在ですよね。

伊藤 レグロとブラッドを飛び越えて、いろいろな活躍をしてもらおうと思います。

――そしてイノセント・ゼロ役は丘山晴己さんです。

赤澤 僕、少し前の舞台(『HIGH CARD the STAGE-CRACK A HAND』)では晴ちゃんのバディだったんです。晴ちゃんの魅力は唯一無二感で、イノセント・ゼロも吸引力のあるカリスマになるだろうし、楽しみですね。

伊藤 第1弾で歌唱力・存在感とも最強だったウォールバーグ・バイガン(岡 幸二郎)の宿敵なので、イノセント・ゼロを誰にするかというのは大きなテーマでした。丘山さんのキャラクターと存在感、芝居と歌とダンスの完全無欠な感じで、ゼロの強さが担保できました。岡さんと仲が良くてナイス・コンビネーションが見られることも大きいですね。本当に、快諾してくださって良かった!

――話は変わりますが、ストーリーとかテーマといった部分ではどういう魅力を感じていますか?

伊藤 この前、映画『マッドマックス:フュリオサ』を観に行ったんですけど、横道にそれたりしても「母親を殺された恨みを晴らし故郷に帰る」っていう本筋は一貫していて、わかりやすい。「マッシュル-MASHLE-」もそうで、マッシュにとっては「おじいちゃんと平和に暮らせればいい」。それがだんだん、「仲間と」に変わってくるんですけど。そのためには神覚者になって魔法界に認めさせなきゃいけない、っていう筋が1本通っているし、今回はマッシュの出自も明らかになる。いっぱい寄り道したりバカみたいなことをやったりもしつつ、でもわかりやすいことが「マッシュル-MASHLE-」の良さだと思います。

――最後に、あらためて今回の公演で伝えたい・見せたいことを伺えますか。

伊藤 原作サイドの方々と力を合わせ、舞台版ならではの面白い展開になるように検討に検討を重ねて、ベストな形を追い求めています。「こういう形の『マッシュル-MASHLE-』THE STAGEもあるのか、よくやってくれた」って思っていただけるように全力を尽くしますので、ぜひ劇場に足を運んでほしいです。よろしくお願いします。

赤澤 アニメの2期「神覚者候補選抜試験編」が絶好調で、舞台第2弾が発表になった時もびっくりするくらいの反響があったし、公式TikTokで公開している前回公演の切り抜き動画にもたくさんのコメントをいただいたり、「いいね!」が何万もつくようになりました。それだけいろいろな人に「マッシュル-MASHLE-」っていう作品が伝わったことが嬉しいし、その期待を超える舞台になると思います。台本を読んだ時、舞台版ならではのつかみに始まって、「こういう「マッシュル-MASHLE-」もいいよね」っていう愛にあふれた、演劇的にも面白い作品だと思いましたから。この作品でたくさんの方に2.5次元舞台の良さを知っていただきたいので、ぜひ劇場にお越しください。

東京公演は8月2日(金)~12日(月・祝) 天王洲 銀河劇場、8月17日(土)~19日(月) に兵庫公演あり。

取材・文:金井まゆみ

<公演情報>
「マッシュル-MASHLE-」THE STAGE 2.5

【東京公演】2024年8月2日(金) ~8月12日(月・祝) 天王洲 銀河劇場
【兵庫公演】2024年8月17日(土)~8月19日(月) AiiA 2.5 Theater Kobe

『「マッシュル-MASHLE-」THE STAGE 2.5』メインビジュアル

チケット情報:
https://w.pia.jp/t/mashle-stage/

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