ブロードウェイ・ミュージカル『天使にラブ・ソングを…』3度目の来日公演が開幕 新演出&新たな舞台美術で観客を魅了
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ブロードウェイ・ミュージカル『天使にラブ・ソングを…(シスター・アクト)』2024年7月3日 東京・東急シアターオーブ (撮影:渡部孝弘)
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すべて見るブロードウェイ・ミュージカル『天使にラブ・ソングを…(シスター・アクト)』が、2024年7月3日に東京・東急シアターオーブで開幕した。
本作は、『天使にラブ・ソングを…』(1992年)の邦題で愛されているコメディ映画『Sister Act(シスター・アクト)』を原作に、映画で主演を務めたウーピー・ゴールドバーグ自身がプロデュースし、2009年にミュージカル化が実現。ロンドン・バレイディアム劇場で初演となったワールドプレミアは、連日スタンディング・オベーションの大ヒット公演となった。
翌年にはローレンス・オリヴィエ賞4部門にノミネートされ、2011年にブロードウェイで開幕するとトニー賞5部門にノミネート。その後は世界7言語で上演され、ヨーロッパやアジアなど世界で600万人を超える観客を動員している。
3度目の来日となる今回の公演は、過去2回の来日公演とは異なる新演出と、豪華にグレードアップした新しい舞台美術が特徴で、客席も総立ちの大盛り上がりとなった。本稿では開幕公演のオフィシャルレポートを紹介する。
7年ぶり、3度目の来日公演。7月3日の初日のカーテンコールの後、東急シアターオーブの客席は高揚感と多幸感にあふれていた。「楽しかった〜!」「最高すぎた」という声が聞こえてくる。日本でも上演されるたび、興奮が広がって連日満員の人気作だが、今回の新演出版は、あらためてこの作品のパワーを感じさせる仕上がりだ。
「豪華にショーアップした来日版史上最大のスケール」というのは今公演の謳い文句だが、幕開けからまさにそう。前奏とともに“SISTER ACT”のタイトルが描かれた大きな額縁が開くと、1977年のフィラデルフィアのナイトクラブに様変わり。コーラスを従えて歌うのはスターを夢見るクラブ歌手のデロリスだ。当時のナイトクラブの雰囲気を醸し出す電飾、ショーアップされたステージによって一気に物語に引き込まれる。
デロリスが「何もかも手に入れる」という強気を全面に押し出した「Fabulous ,Baby!」のかっこよさに惚れ惚れしているうちに場面は変わり、彼女が愛人でギャングの親分カーティスの殺人現場を目撃し、子分たちに追われて警察へ。そこで同級生の「汗っかきエディ」と再会し、修道院に逃げ込むまでの流れ、場面転換の鮮やかさに驚かされるばかりだ。
そして照明の豪華さ! 歌われる曲に合わせ、吐露される心情に寄り添いながら、踊るように変化する光の使い方が斬新。グレードアップした舞台美術と映像を融合させた演出が、物語をわかりやすく届けてくれるだけでなく、デロリスとシスターたちの世界に「没入」させてくれる。
遊び心のある演出もあちこちに散りばめられている。中でも注目はシスター・メアリー・クラレンスとして修道院で暮らし始めたデロリスが、シスターたちと初めて食事をともにするシーン。ステージ上のパネルには世界的に有名なあの絵で、そこに「ええ!!」という仕掛けがあるのだが、ネタバレになるのでこれはぜひ劇場で目撃してほしい。また、エディのソロ「I Could Be That Guy」はどこか間抜けなエディが鮮やかに変身。劇場全体を照らすミラーボールとディスコサウンドな楽曲に、ミュージカルならではの高揚感を味わえるショーシーンだ。
オーディションを経て役を掴んだキャストはそれぞれの役にハマっている。日本にもルーツを持つニコール・ヴァネッサ・オーティスは、シスターたちと出会って変化していくデロリスの気持ちを丁寧に演じて魅力的。パンチがある歌声の中に、優しさが垣間見えて誰もが共感したくなる。
シスターたち全員が個性的でチャーミング。彼女たちがデロリスのリードで音楽の楽しさに目覚め、デロリスもまた仲間たちと歌う歓びに魅せられていくのが「Raise Your Voice」から「Take Me to Heaven」へと続く1幕のクライマックス。自分を解放していくシスターたちの歌と踊りの楽しさに、舞台上と客席の一体感が増す。さらに2幕では、シスターたちのショーシーンの衣裳にも注目を。カラフルな衣裳とともに照明も踊り出すのだから。
ディズニー作品で人気の高いアラン・メンケンによる楽曲は、ディスコやゴスペルのサウンドを取り入れながら、ブロードウェイミュージカルらしさもあり実に多彩。その楽曲の良さを舞台美術、照明、新たな衣裳でより際立たせているのが今回の新演出版だと言えるかもしれない。
デロリスとシスターたちの友情、成長を描いた物語のあたたかさはそのまま、新鮮な印象を与えてくれる『天使にラブ・ソングを…(シスター・アクト)』の上演中、客席から手拍子が、歌い終わるとヒューという掛け声が湧き上がる。カーテンコールでは一斉に客席が立ち上がり、幕が下りた後も拍手は鳴り止まずデロリスと修道院長が飛び出してきては拍手に応えていた。何より子どもから大人まで幅広い客層が、みんな満たされた笑顔だというのが、この作品の力を証明している。
ミュージカル初心者にも入りやすいだけでなく、ファンにとっても驚きがたくさんの新バージョン。最高にハッピーなミュージカルが暑さを吹き飛ばしてくれて、劇場を出る時に心は熱く、足取りは軽くなっていること間違いなしだ。
文:宇田夏苗 撮影:渡部孝弘
<公演情報>
ブロードウェイ・ミュージカル『天使にラブ・ソングを…(シスター・アクト)』
オリジナルプロデュース:ウーピー・ゴールドバーグ
作曲:アラン・メンケン
演出:ロバート・ヨハンソン
出演:来日カンパニー
【東京公演】
日程:2024年7月3日(水)~21日(日)
会場:東急シアターオーブ
公式サイト:
https://theatre-orb.com/lineup/24_sisteract/top.html
【大阪公演】
日程:2024年7月24日(水)~28日(日)
会場:オリックス劇場
公式サイト:
https://kyodo-osaka.co.jp/search/detail/7886
チケット情報:
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2449487
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