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アートを通して美術館の謎に迫る『レイクサイドスペシフィック!―夏休みの美術館観察』市原湖畔美術館で

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森洋樹《 lake side 》2019 年 (参考図版)

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東京から車で約1時間の千葉県市原市にある市原湖畔美術館は、2013年、人工湖の高滝湖のほとりに誕生した美術館だ。この美術館を5名のアーティストとともに「よ〜く観察する」というコンセプトで企画された興味深い展覧会が、7月20日(土)から9月23日(月・祝)まで同館で開催される。

実はこの館の建物は、美術館として建設されたものではない。1990年代のバブル経済のただ中に設計され、バブル崩壊後に竣工した観光・文化施設「水と彫刻の丘」をリノベーションしたもので、建物内には数々の謎が残されているそうだ。例えば、カーブを描いて重なり合うコンクリート壁、行き止まりの道など……。同展では、5名の作家がその謎と戯れながら館を観察し、作品をつくっていく。特定の場所ならではの美術作品や手法を「サイト・スペシフィック」と呼ぶが、同展ではこれをもじり、湖畔の美術館の建築空間や環境から着想を得た作品や展開方法を「レイクサイドスペシフィック」と名付け、展覧会名としたという。

左:「市原市水と彫刻の丘」竣工写真( 1995 年撮影) Ⓒ市原湖畔美術館 右:「市原湖畔美術館」( 2013 年撮影)Ⓒ Tadashi Endo

5名の取り組み方は様々だ。森洋樹は、美術館までの道のりで目にした山や川、湖、ダム、ビル、家などをモチーフに、館までの風景を木彫で表現する。館にふり注ぐ光ゆえに、建物や周辺環境の表情が変わることに注目した石田真澄は、撮り下ろし写真でインスタレーションを制作。光岡幸一は、文字を書いたテープを建物に貼る手法を用いて「新たな導線」をつくり、美術館で過ごす人々の認識や動きを変えていく。

一方、トモトシは、引っ越し業者が壁や床に傷をつけないように養生する技術を応用し、建物の鋭角な部分を「やわらかく」、つまり「ほんわか」させていく試みを展開。また、BIENは、約9メートルの吹き抜けに建物の骨組みを現出させることで、リノベーションの痕跡を可視化する。

トモトシ《停滞のトレーニング》2021 年 Ⓒ YAKUSHI Kunihiro(参考図版)

美術館の謎に真っ向から迫るのは館の学芸員だ。30 年前の建築計画には、空中デッキや湖上の回廊など、バブル期らしい案が存在していたとか。当時の資料から時代性をとらえ、建築としての館の魅力に改めて迫る試みは、関連展示『学芸員の美術館観察』に結実した。会場には、来館者が自らの発見を絵や言葉で表現できる「絵日記コーナー」も設置される予定だ。「観察」や「絵日記」など、夏休みらしいキーワードとともに、市原湖畔美術館で夏のひとときをゆったり楽しく過ごしてはいかがだろう。

<開催概要>
『レイクサイドスペシフィック!―夏休みの美術館観察』

会期:2024年7月20日(土)~9月23日(月・祝)
会場:市原湖畔美術館
時間:10:00〜17:00、土曜・祝前日は9:30 〜 19:00、日祝は9:30〜18:00(入館は閉館時間 30 分前まで)
休館日:月曜(祝日の場合翌平日休)
料金:一般1,000円、大高・65 歳以上800円
公式サイト:
https://lsm-ichihara.jp/exhibition/lakesidespecific/

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