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答えのない問いを考える「GOTT 神」に向け岡本圭人「“参加”する気持ちで来てもらえたら」

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岡本圭人

「リーディングシアター『GOTT 神』」に出演する岡本圭人の取材会が、本日7月12日に東京都内で行われた。

これは、ドイツの劇作家フェルディナント・フォン・シーラッハの戯曲「GOTT 神」を、石丸さち子の演出でリーディングシアターとして立ち上げるもの。作中では、自死を願う78歳の元建築家ゲルトナーを巡る物語が展開。愛妻を亡くし、生きる意味はないと考えるゲルトナーは、医師に薬剤を用いた自死の幇助を求める。そこで、ドイツの倫理委員会主催の討論会では、死を望むゲルトナーの意志を尊重し、致死薬を与えるべきか否かが話し合われることに。法学、医学、神学の各分野の参考人、ゲルトナーの主治医や弁護士が意見を述べ合い、活発な議論が展開されるが……。

出演者にはゲルトナーの弁護人ビーグラー役の橋爪功、ゲルトナー役の山路和弘のほか、三浦涼介、岡本、浅野雅博、石井一彰、玉置孝匡、瑞木健太郎が名を連ねた。岡本が演じるのは、自死の幇助に反対する立場の、若き倫理委員会委員ケラー。作品に関するメモがびっしりと書き込まれたノートを持参して現れた岡本は、本作について「気付いたら台本を読み終わっていた。それほどまでに、受け手の心にダイレクトに訴えかける作品だと思う」と話す。岡本は作品に挑むにあたって、各国の法制度を調べたり、インタビューやドキュメンタリー、論文などに触れたりして、世界や日本で安楽死がどのように扱われているかを学んでいることを明かし、「生と死の問題について非常に考えさせられる作品です。ケラーのセリフを通じて、ケラー自身の考えや作品のテーマを届ける役割があるので、責任感、緊張感を持ちつつ、たくさん勉強してしっかり向き合いたい」と意気込みを述べた。

シーラッハの別作品で、裁判劇の「テロ」では、観客から有罪か無罪の投票を募ったが、今作でも1幕と2幕の間で観客による投票が行われる。これについて岡本は「僕はこの作品を舞台作品というより、本当に討論会だと思っている部分があるんです。舞台と客席の間の第四の壁を取っ払って、お客様と一緒にその場を作り上げ、結論を探っていく。公演ごとに、その日にみんなで作り上げた答えが出る舞台です。お客様にも“観劇”というより“参加”する気持ちで来ていただけたらうれしい」と思いを語る。

岡本は、コロナ禍の間に自身の祖父が体調を崩したことで、アメリカ留学から帰国したことを明かしつつ、「僕は今まで身近な人の死に直面したことがなかった。面会もできない中、延命治療の有無について家族でたくさん話し合いましたが、やはり『これが正解』ということは絶対にない」と語る。続けて岡本は「誰にでも、自分や身近な人の死に向き合うときが来る。この作品を届けることで、お客様にとっても尊厳死や安楽死について知り、考えるきっかけになると思うので、僕より若い方にも観てもらいたい」と言葉に力を込めた。

また取材会では岡本が、座組の面々について語る場面も。中高生の頃に故・蜷川幸雄の稽古場をたびたび訪れていたという岡本は「稽古場で蜷川さんの舞台への熱や愛を感じていたし、蜷川さんの演出助手だった石丸さんもきっと同じ情熱を持っていらっしゃると思う。お会いするのが楽しみ」と、演出の石丸との対面への期待を語る。また橋爪らとの共演については「僕は一番年下ですが、それぞれが意見を戦わせるこの舞台で、皆さんがどれほどの熱量で役に向き合って言葉を紡ぐのかワクワクしています」と瞳を輝かせ、「ケラーの発言に説得力を持たせるために、学者になるつもりでこの役に飛び込みたい。お客様はもちろん、ケラーとして実力ある先輩俳優の皆さんにも影響を与えるために、ムンッ!という感じでがんばります」とガッツポーズをしてみせ、記者たちを和ませた。

リーディングシアター「GOTT 神」の公演は10月11日から14日まで、東京・パルテノン多摩 大ホールで行われる。

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