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忽那汐里が語る映画『デッドプール』の魅力。「普通のヒーロー映画と逆の感じが面白い」

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俳優の忽那汐里が24日(水)から世界最速で公開になる『デッドプール&ウルヴァリン』で再びユキオを演じている。

忽那は近年、『アウトサイダー』『マーダー・ミステリー』、ドラマ『インベージョン』など多くの海外作品に出演しているが、「デッドプール」シリーズは他の作品とは少し異なるプロセスで撮影が進んでいくようだ。

忽那は現在、アメリカの仕事に軸を置いており、2018年製作の映画『デッドプール2』では、デッドプールと行動を共にするキャラクターのひとり、ユキオを演じた。

「いまも一緒に仕事をしているアメリカのマネージメントの人たちと、いくつか映画のオーディションを受けた中のひとつが『デッドプール2』でした。規模の大きな作品だからタイトルもコードネームになっていましたし、それまでに受けたオーディションの中でもいちばんオーディションの工程が長かったです。セリフも読みましたし、キャスティング担当の人とZoomもして、初めての経験だったんですけどアクターズプロフィールも提出して……返事がなかなか来なくて、これはもう落ちたかな、と思ってきた時に役が決まった、と連絡が来たのを覚えています。

私はインディーズ作品から大作までいろいろオーディションを受けていますし、この作品には出たい!って気合が入ることはありますけど(笑)、作品の大きい/小さいでアプローチを変えることはないです。だから、マーベル・スタジオの作品だと知ったことでプレッシャーを感じるということはなかったです。

でも、この役が現在のマネージャーたちと仕事をはじめて最初に決まった役だったんですよ。だから、その後もいろんなオーデイションを受けてますけど、この役がいろんな“きっかけ”を作ってくれたと思ってます。『デッドプール2』は誰が聞いても知ってる作品なので、それはもう本当にラッキーですね(笑)。めっちゃラッキーだったと思います(笑)」

『デッドプール2』に登場したユキオは、ウェイド・ウィルソン=デッドプールと行動を共にする“X-MEN”のメンバーのひとり。明るくて、パワフルで、いつも笑顔。しかし、帯電能力を持ち、鎖に電気を流して敵と戦うパワフルな人物でもある。

「私はどの作品であっても、役を客観的な目線で分析したり、頭脳ですべてを考えて演じるような器用なタイプではないんですよ。この作品では自分の出ているシーンしか脚本も渡されないので、自分が出ているシーン以外に何が起こっているのかも断片的にしかわからない。だから、そもそも客観的に役を見ることができる素材もないんです。

だからユキオは直感的にいろいろやってみようと思った役でした。脚本を読むと今回のユキオは確実にこれまでのユキオとは違う。ユキオは色々なアプローチができるというか、最大限に試してみることができる役なんです」

彼女が語る通り、忽那が演じるユキオは、これまでの映画に登場したユキオとは違う新しいキャラクターだった。親しみやすさと、“次に何をするかわからない”予測不能なムードが混在している新しいユキオだ。

『デッドプール』は主人公からして“定番のヒーロー”には当てはまらないキャラクター。不死身の身体をもつヒーローだが、おしゃべり大好きで、どんな窮地でもジョークを飛ばし、大切な人を失って落ち込んだり、カメラに向かって放送禁止スレスレのギャグを飛ばしたりと忙しい。

「マーベル・スタジオの映画は観てますけど、登場するヒーローは基本的にすごく真面目だし、みんなから“崇められる”じゃないですけど、どこか異次元の存在ですよね。その中で彼らのキャラクターだったり葛藤が描かれる。

でも、ウェイド=デッドプールはすごく人間っぽいというか、コンディションの差が激しいんです(笑)。自分とそんなにかけ離れていないヒーローで、周囲にいるキャラクターが、そんなウェイドの存在を引き立てている。そういう意味で、周囲のキャラクターはファミリーのようであり、友達であり、でも時に厳しかったりもする。そんな作品に自分が出ることができて本当によかったと思います。

ユキオもそうで、みんなといる時はすごく普通ですごい楽しそうなのに、いざ戦うとなったらめっちゃ強い(笑)。たまに弟とか周りの友達に『え? シオリってX-MENなの?』って聞かれるから『そうだよー』って答えるんですけど(笑)、ユキオも一見、あまりにも普通に見えるから、スーパーヒーローであることを忘れちゃうんですよ(笑)。ヒーローの中に日常があるんじゃなくて、日常がまずある。そんな普通のヒーロー映画と逆の感じが面白いと思っています」

『デッドプール』の魅力はどこから生まれるのか?

最新作『デッドプール&ウルヴァリン』でユキオがどのシーンに登場するのかは公開までのお楽しみだが、今回の作品も、凡庸なヒーロー映画にはならないだろう。必ず観客の想像もしなかった展開と、爆笑必至の掛け合いが楽しめるはずだ。

にしてもなぜ『デッドプール』シリーズはここまで他の作品にはない唯一無二の魅力を備えているのだろうか? 筆者は個人的に、主演も務めるライアン・レイノルズが最大のポイントではないかと考えている。彼は本シリーズで製作を務め、前作と最新作では脚本も担当。本シリーズはすべての作品で監督が違うが、レイノルズがドラマシリーズの“ショウランナー”のような役割を果たしていることで、シリーズの一貫性や魅力が保たれているのではないだろうか?

「確実にそうですね。ライアンはショウランナーみたいな立ち位置で、今回の映画はライアンとずっと仲のいいショーン(・レヴィ)が監督なので、よりそういう感じがあると思います。ショーンとライアンは兄弟みたいで、どっちもすごい勢いで喋るから、エネルギーとテンションがすごいし、とにかく物事が動くのが速い!(笑)

普通の海外作品だと、セリフをひとつ変えるにしても、脚本家がその場に立ち会って、何工程かしてからでないと変わらないんですけど、このシリーズだとライアンが中心になっているから、現場で”このセリフはない方がスムーズだよね”ってなったら、その場でカットしたり、変更したりできる。

今回の映画でうれしかったのは、最初は少ないやりとりだった場面でライアンが『わざわざ(撮影場所の)ロンドンまで来てもらったのに、こんなやりとりだとつまらないし申し訳ないから、ちょっと待ってて』って言ってくれて、撮影のセッティング中に手書きでセリフを書いて渡してくれたことがありました。そんなことがカジュアルにできるのも、ライアンあってのことですよね。

ハリウッドだと現場にいる人数が多いので、細かい決まり事が多かったりするんですけど、ああいうふうにオーガニックにコミュニケーションをとってひとつの作品をつくりたいと思うので、ライアンとかショーンのやり方を見ていると信頼できますし、ああやってコミュニケーションをとりながらつくっていっているから、パーソナルな作品ができるのかな、と思います。

だから、本当はもっとライアンと一緒に仕事がしたいんですよね。可能なら何ヶ月間か彼と仕事をしてみたいと思います。ユキオを演じたことで少しだけではあるけど、彼との現場に立ち会えて、すごくいい経験ができたと思っています」

時間をかけて脚本を練り、さらに俳優が撮影現場に入った段階でさらにやりとりを重ねて、展開やセリフを改善していく。『デッドプール』シリーズのセリフがテンション高く、イキイキしている理由はそこにあったようだ。

「演じる上でみんながライアンのことを慕っているし、彼のことを信頼して委ねている。だからこそ、このやり方で進めても成立するんだと思います」

『デッドプール&ウルヴァリン』
7月24日(水) 世界最速公開

(C)2024 20th Century Studios / (C) and TM 2024 MARVEL.

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