KENZOの創設者、髙田賢三の大規模個展が開幕 花柄やフォークロアなど色鮮やかな衣装が一堂に
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すべて見る国際的に活躍する日本人ファッションデザイナーの先駆けとして、華やかな独自のスタイルで世界中を魅了した髙田賢三。彼の没後初となる大規模個展『髙田賢三 夢をかける』が、7月6日(土)に東京オペラシティ アートギャラリーで開幕した。幼少期から晩年に至るまでの彼の活動を、衣装やデザイン画の展示をはじめ、さまざまな視点でたどっていく。
1939年兵庫県姫路市に生まれた髙田賢三は、1959年に文化服装学院デザイン科に入学。同期にはコシノジュンコや「PINK HOUSE」の金子功、「NICOLE」の松田光弘らがおり、後に「花の九期生」と呼ばれるようになる。1960年に制作したアンサンブルで第8回「装苑賞」を受賞し、これが仕事が舞い込むきっかけとなった。
展覧会の冒頭を飾るのは、キャリア最初期の作品や彼の代表作であるリボンを使ったウェディングドレスなど、デザイナー・髙田賢三を象徴する作品たちだ。
1982〜83年の秋冬コレクションとして発表したドレスは、髙田が約20年かけて集めた花の刺繍が施されたリボンが、のべ200メートル分使われている贅を尽くしたもの。本作は1999年に行われたラストショー「30ans」にも登場し、日本を代表するモデル、山口小夜子が着用している。
髙田は1965年に勤め先に6ヶ月の休暇を申請し渡仏、そのままパリにとどまり、現地で活動を開始、1970年に自らのブティックを立ち上げた。日本人としての表現を模索していた髙田は、日本の生地や着物の裁断を取り入れた作品や、人気のあったニット、大柄なシルエット「ビッグ・ルック」などで注目を集めるようになる。
続く展示室では、髙田賢三が自らのブティックを立ち上げ、たちまちのうちに世界的なデザイナーとなった1970年代の作品を取り上げる。
ツイードのジャケットやパンツを履くマネキンは、1989年に西武・有楽町アートフォーラムで開催された展覧会「Liberté KENZO」のために制作された、四谷シモンのデザインによるもの。手足を自由に動かせる球体関節のマネキンだ。
1970年代という、わずか10年間にフォーカスした展示空間にもかかわらず、彼の豊かな発想力から生まれた服はバラエティに富んでいる。
1970年代〜80年代の髙田は、世界各地の民族衣装にも着目し、フォークロア作品を次々と発表。単に意匠を取り入れるだけでなく、立体裁断と平面裁断を融合させた新しいパターンを作り出し、全くあたらしいシルエットの服を作り出していった。当時のファッション界は川久保玲や山本耀司など、いわゆる“黒の衝撃”が席巻していた時期でもあったが、髙田はビビッドな配色や重ね着などを組み合わせた自らのスタイルを貫き、提案しつづけていた。
同展ではこのフォークロアの作品をランダムに約40作展示。彼の尽きることのない創作意欲を体感できる空間が構成されている。
このほかにも、舞台衣装やオリンピック日本代表のユニフォームなど、髙田賢三は幅広く活動を繰り広げており、貴重な資料も数多く紹介されている。
細部まで繊細であり、さらに華やかで知的な髙田賢三のデザイン。彼が残したさまざまな服を通して、その世界をゆっくりと楽しみたい。
なお、同展は2025年4月12日(土)~7月21日(月・祝)、姫路市立美術館へ巡回する。
取材・文・撮影:浦島茂世
<開催概要>
『髙田賢三 夢をかける』
2024年7月6日(土)~9月16日(月・祝)、東京オペラシティ アートギャラリーで開催
公式サイト:
https://www.operacity.jp/ag/exh276/
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