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電気グルーヴ35周年&リキッドルーム20周年記念ライブ、その一部始終をレポート

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電気グルーヴ『LIQUIDROOM 20th ANNIVERSARY』2024年7月14日(日) 東京・LIQUIDROOM (Photo:小境勝巳)

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Text:兵庫慎司 Photo:小境勝巳

2024年7月14日(日)、リキッドルームの20周年を祝うライブの1本である、電気グルーヴのワンマン。リキッドルームは毎年7月に、周年を祝うライブ・シリーズを催していて、リキッドと縁が深い豪華アーティストたちが出演する。電気もそのレギュラーで、毎年出演するのが恒例になっている……と思ったが、去年は出演がなくて2年ぶりだったことが、本番中のふたりのMCでわかった。

そうか。毎年必ず観ている気になっていました、勝手に。なお、開店20周年ではなく、リキッドが新宿から恵比寿に移ってから20周年です。

さて。電気にとって毎年7月は、各地の夏フェスへの出演を控えている時期である(それより前に開催されるフェスに出ることもあるが)。で、このリキッドには、夏フェスの予行演習的なセットリストで臨むのではなく、逆に、フェスではまずやらない、レアな曲多めのセットリストを組むのが常である。

この日のセットリストはこうでした。

1. アルペジ夫とオシ礼太
2. トロピカル・ラヴ
3. ガリガリ君
4. ア.キ.メ.フ.ラ.イ.
5. DISCO UNION
6. ポケットカウボーイ
7. 東京チンギスハーン
8. SHAME
9. ズーディザイア
10. 少年ヤング
11. 猫夏
12. 電気グルーヴ35周年の歌
13. 湘南アシッド
14. 新幹線
15. MAN HUMAN
16. スコーピオン2001
17. Fake It!
18. バロンダンス
19. ジャンボタニシ
アンコール
20. 有楽町で溶けましょう
21. Stereo Nights

ピエール瀧の復帰以降に行って来たライブの中で(二度の無観客配信ライブも含む)、「なかなかやらない」もしくは「まったくやらない」レアな部類に入るのは、1、6、13、14、18、20、21、あたりだろうか。ただし、14は、2022年のリキッドルームでもやっている。

あと、21は石野卓球のソロ曲だが、わりと最近ライブで聴いた気がする。「あ、ソロのこの曲やるんだ?」と思ったので、印象に残っている……調べたら、2015年7月13日のリキッドルームだった。

あと、12曲目の「電気グルーヴ35周年の歌」は、今年の5月2日にリリースされた、ライブではこの日が初披露の新曲である。今年2024年は、この「35周年の歌」のほかに、「32周年の歌」と「34周年の歌」もリリースされた。ちなみに、最初に作られたのは20周年の時で、それより後に「30周年」と「10周年」(なんで?)も作られている。

というわけで。「アルペジ夫とオシ礼太」〜「トロピカル・ラヴ」という、叙情的な響きの2曲でライブがスタート。続く「ガリガリ君」の「怪我人だ、先生を呼んで来い!」のサンプルボイスに応えて、フロアから「ヒャー!」と歓声が上がるあたり、筋金入りの電気カスタマーズが集まっていることがよくわかる。

DEVICE GIRLSこと和田一基による効果映像は、ステージ後方の壁全面に照射する形で、メンバーの身体にもグラフィックの一部が映る。動画生成AI・Kaiberを使った「35周年の歌」「32周年の歌」「34周年の歌」のMVと同じく、石野卓球とピエール瀧の姿が、どんどん変化していく映像も使われた。「ア.キ.メ.フ.ラ.イ.」「DISCO UNION」までの5曲をノンストップで終え、瀧が挨拶をし、サポートメンバーのふたり(吉田サトシと牛尾憲輔)を紹介。

「では行きましょう、憲輔氏、どうぞ」という言葉で入った「ポケットカウボーイ」が終わり、ギターウルフ・セイジのボイスサンプルで「1、2、3、4!」とカウントして「東京チンギスハーン」につながるところでも、フロアから歓声が上がる。曲中のブレイクではまりん(砂原良徳)の「ケラさん逃げて!」、後半では瀧の「最高!」の、ボイスサンプルが鳴り響いた。

次は、「SHAME」「ズーディザイア」と、リキッドをがビリビリ震える低音の2曲が続くゾーンへ。後者では、石野卓球お気に入りのフレーズ「うーん、ビニール本!」を、ふたりが連呼する。「少年ヤング」では、数ある電気の傑作の中でも特に屈指である、この曲のMVがコラージュ的に使われた。次の「猫夏」で盛大にハンドクラップを起こしてからは、長めのMCタイム。リキッドルームが20年前に恵比寿で再オープンした日は今日7月14日である、そもそも新宿のリキッドルームの杮落し公演も石野卓球だった(UNDERWORLD、DRUM CLUBと共演)、という話から始まって、「うーん、ビニール本!」とは何なのかの説明も入れたりしつつ、延々と脱線に脱線を重ねながら──卓球自ら「どうでもいい話以外、聴きたくないじゃないですか?」と言うほどの──どうでもいい話を、延々とくり広げる。まだライブ中盤なのに、フロア全員、笑いすぎてちょっと疲れる。

ただし、唯一どうでもよくなかったのは、瀧が出演した、大根仁監督のネットフリックスのドラマ『地面師たち』についての話。瀧、7月25日から配信が始まることを伝え、「それに関してもうひとつニュースがあるんですけども、言うなって言われてて」。そして卓球、「僕たちも今年35周年なんで、曲を作ったんです。瀧くんも寝ずに作りました」と、「電気グルーヴ35周年の歌」を披露する。以降、「湘南アシッド」から「バロンダンス」までの6曲で、フロアをトップギアに入りっぱなし状態にした末に、本編ラストに持って来たのは「ジャンボタニシ」。卓球、己の声の最高音域で、瀧とツインボーカルを聴かせる。アンコールで再登場したふたりは、卓球がこの間見た夢の話や、「怒りながら言う『うーん、ビニール本!』もおもしろい」という話など、またもやさんざん脱線した末に、「さっき言い忘れたんだけど」と、『地面師たち』の話に戻る。

ここで卓球「明日の朝、いいニュースがあるんです。8時に発表なのよ。あずさ2号と同じ時間に」と、お知らせする(で、翌朝8時、ネットフリックスで7月25日から配信が始まる、大根仁が監督でピエール瀧も出演しているドラマ『地面師たち』の劇伴を石野卓球が手掛けていることが、本人のコメントと共に発表になった)。で、「ライブで初めてやる曲なんです」と始まったのは、「有楽町で溶けましょう」。2008年のアニメ『墓場鬼太郎』で、ピエール瀧が声優を務めたキャラクター、トランプ重井が歌った劇中歌である。同アニメのオープニング主題歌『モノノケダンス』のカップリングに収録されている。

そして、この日最後の曲に選ばれたのは、先にも書いた「Stereo Nights」。前半のインスト+ボイスサンプル部分も、後半の石野卓球が歌う部分も含めて、リキッドルームが多幸感でいっぱいになり、21曲・2時間2分のライブは終了した。次の電気グルーヴのライブは、7月26日(金) フジロック・フェスティバル、レッドマーキー深夜の部「PLANET GROOVE」のトップ、23時45分からである。石野卓球は、翌日深夜の27時30分から、GANBAN SQUAREでDJもあり。

<イベント情報>
『FUJI ROCK FESTIVAL '24』

7月26日(金)~28日(日)
新潟・苗場スキー場

チケット情報:
https://t.pia.jp/pia/events/frf/

公式サイト:
https://www.fujirockfestival.com/

<電気グルーヴライブ情報>
『35周年ツアー “3594”』

9月14日(土) 大阪・Zepp Osaka Bayside ほか
詳細はこちら

電気グルーヴ公式サイト:
https://www.denkigroove.com/

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