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平田晃久の展覧会が練馬区立美術館で開催 同館の改築を手掛ける建築家の仕事をテーマごとに展観

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太田市美術館・図書館 (2017) (C) Daici Ano

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建物の老朽化などによる改築工事のため、2025年度に休館予定の練馬区立美術館で、その改築を手がける建築家・平田晃久(ひらた あきひさ)の建築世界を紹介する展覧会が、7月28日(日)から9月23日(月・祝)まで開催される。

1971年に大阪府で生まれ、伊東豊雄建築設計事務所勤務の後、2005年に独立した平田は、これまで自身の建築に対する思想を説明する際に「からまりしろ」という言葉を使ってきた。「からまりしろ」とは、人間によってくっきりと形づくられる空間領域とは異なり、植物や動物、異なる時空の文化なども含んだ広義の生命体が偶然にくっつき、絡み合う自然の情景、いわば「ふわふわとした隙間の錯綜」を示唆する言葉だという。様々に区切られた空間や内外が絡まり合う空間が多くの市民に愛されている群馬県にある「太田市美術館・図書館」(2017年)は、この「からまりしろ」を実現した代表作のひとつだ。

太田市美術館・図書館 (2017) (C) Daici Ano

今回の展覧会は、この「からまりしろ」の建築は人間と動物の波打ちぎわに現れるとする視点から、「波打ちぎわ」という新しい言葉を軸に構成されている。その際のテーマとなるのが「響き」。無数の人々の思いの共鳴、過ぎ去った時間と現在との共鳴、あるいは今こことどこか遠くの場所との共鳴をもった建築は、私たちがかつて知っていた「人間」の意識を広げていくのではないか——そうした思いが「人間の波打ちぎわ」という言葉に込められているようだ。

同展では、公共施設や集合住宅、個人住宅、商業施設など、20 件以上に及ぶ平田の建築がテーマごとに紹介される。大きな見どころは、建築のプロセスがうかがえるスケッチや模型、そして展示室同士をつなぐインスタレーションを中心に、「波打ちぎわ」を体験的に理解できる空間づくりが行われていること。建築を体験することで、平田の脳内イメージにアプローチする展覧会となっているのだ。

ちなみに、練馬区立美術館と貫井図書館を融合する新たな文化複合施設は、2028年度に開館予定だ。建築コンセプトは、「21世紀の富士塚/アートの雲/本の山」。練馬に古くから存在する「富士塚」をテーマに、「美術と本」を街や人々とつなぐ場として構想されており、周囲の「美術の森緑地」の改修なども構想に含まれている。こうした具体的な建築作品を通して、平田の建築が内包する未来への展望にも注目したい。

練馬区立美術館・貫井図書館 模型 (C) 平田晃久建築設計事務所

<開催概要>
『平田晃久―人間の波打ちぎわ』

会期:2024年7月28日(日)~9月23日(月・祝)
会場:練馬区立美術館
時間:10:00~18:00(入館は17:30まで)
休館日:月曜(8月12日、9月16日は開館)、8月13日(火)、9月17日(火)
料金:一般1,000円、大高・65~74歳800円

公式サイト:
https://www.neribun.or.jp/event/detail_m.cgi?id=202402101707551005

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