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石丸幹二が老芸人に! チャップリンの名作の舞台版が5年ぶりの上演

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音楽劇『ライムライト』公開稽古より (撮影:五月女菜穂)

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人生の哀歓を巧みに描き、今も多くのファンを持つチャールズ・チャップリンとその作品群。中でも、“落ちぶれた老芸人”と“失意に沈むバレリーナ”の心の交流を綴った『ライムライト』 は、石丸幹二が「チャップリン映画のマイ・ベストワン」に挙げるほどの名作として知られる。

音楽劇『ライムライト』は、その石丸主演で荻田浩一の演出により2015年に初演。オリジナル作品として高い評価を得て、2019年には再演。今回が5年ぶり三度目の上演となる。主人公の老芸人カルヴェロには引き続き石丸が扮するほか、バレリーナのテリーに朝月希和、彼女に想いを寄せる作曲家ネヴィルには太田基裕と、新しい顔合わせが実現した。7月17日、都内で行われた公開稽古の様子をお届けする。

公開稽古は、カルヴェロ(石丸)の励ましによって生きる意欲を取り戻したテリー(朝月)が、オーディションを受けようとする第二幕の冒頭から。レッスンをするテリーの表情は不安げだが、どこか決意に満ちているようにも見える。レッスン場に現れたカルヴェロは、「手が冷たくて」と緊張を告げるテリーの手をとって励ます。演出家ボダリンク(植本純米)と支配人のポスタント(吉野圭吾)がやってくると、帽子で顔を隠しレッスン場の隅に立つカルヴェロ。心配そうにテリーを見守る中、いよいよオーディションが始まって……というシーンだ。

指先まで美しく、可憐な風情で踊るテリーは、元・宝塚歌劇団雪組のトップ娘役という朝月ならではの佇まい。ボダリンクとポスタントのにぎやかなやりとりも楽しく、一方でカルヴェロがしみじみと歌う「テリーのテーマ(“エターナリー”)」が味わい深い。この曲は多くのアーティストにカバーされ、今ではスタンダードナンバーとしても有名。未来のあるテリーと老境にさしかかっている自分を振り返りながら歌うカルヴェロ役・石丸の温かい歌声が胸に響いた。

続いて、レッスンをしているテリーと、そこへやってきたネヴィル(太田)のシーン。少し空回りしながらも、懸命にテリーへの想いを伝えるネヴィル。楽曲「テリーとネヴィル」では、その胸中が太田の誠実さをにじませる歌声と共に伝わってくる。「もうすぐカルヴェロと結婚するの」というテリーの言葉にショックを受けつつも、「おめでとう」と口にするネヴィルを思わず応援する気持ちになった。

美しく切ない楽曲と世界観に没入していると、演出家ボダリンク役の植本が目の前に立ち、「はい! 本日のリハーサルはここまで! 見学の皆さん、宣伝してくださいね」と茶目っ気たっぷりに公開稽古の幕引きを。チャップリン映画さながらの、芝居の続きのような植本の表情に、思わず取材陣からも笑いが漏れていた。

“演劇人・チャップリン”の残した想いを伝えて

公開稽古の後は、石丸と朝月、太田の3人で囲み取材が行われた。
石丸は、「成功していた芸人だが時代の流れによって取り残され、落ちぶれてしまった男の役。初演から9年が経ち、自分もチャップリンがカルヴェロを演じた60代に近づいてきて、彼が伝えたかったことがより分かるような気がしています。役と同じく朝月さんと太田さんという2人に刺激をもらいながら、カルヴェロを表現していければ」と本作への想いを語る。

石丸幹二

続いて「トゥシューズを履いて踊る姿がさすがで、プリマバレリーナそのもの」と石丸に絶賛された朝月は、恐縮しながらも「この作品に参加できることが光栄で、身の引き締まる想い。私の演じるテリーは人生に絶望していたところをカルヴェロに助けられて、生きる意味や愛を与えていただき舞台に戻っていく役。公開稽古でオーディションの緊張感も実感できたので、明日からのお稽古に活かしたいです」と笑顔に。本作の魅力についても「観終わった後、哀しみや切なさ、温かさ、希望など、いろんな想いが沸き上がってくる作品」とアピールした。

朝月希和

太田は「若き作曲家のネヴィル役。“キラキラ”した役です(笑)」と解説を。久しぶりの共演となる石丸に「太田くんはチャーミングだし、そこが役と重なって新しいネヴィルになるはず」と言われると、「幹二さんこそカルヴェロそのもの」と興奮気味に返答。石丸に「それはジイサンってこと?」と問われると、「違います、説得力です!」と慌てて返し、石丸が噴き出すひと幕も。太田は続けて、「他の共演の皆さんも物語の余白と余韻を楽しみつつ演じていらっしゃるのを感じます。僕もその中でネヴィルとして存在できたら」と意気込みを語った。

太田基裕

「9年前、世界で初めて“演劇”として『ライムライト』を上演することになった時、たくさんの方のお力添えをいただきました。チャップリンさんのご遺族からの上演許可にしても、普通はなかなか下りないそうなんですね。そこを制作の熱意と日本チャップリン協会の大野裕之さん(劇作家、演出家。本作の上演台本も担当)のご協力で上演が叶いました」と石丸。

「そのおかげで、本作を通して“演劇人・チャップリン”の残した想いに気づきました。それを後世に伝えていくのも、この作品の役目なんじゃないかなと思っています」と、作品が再演を重ねる意義について改めて語った。

取材・文:藤野さくら
撮影:五月女菜穂

<東京公演>
音楽劇『ライムライト』

公演期間:2024年8月3日(土)〜8月18日(日)
会場:シアタークリエ

チケット情報:
https://w.pia.jp/t/limelight/

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