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中村鷹之資「芸の道を志す者同士」 恒例自主公演『翔之會』で野村裕基と共演

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左から)中村鷹之資、野村裕基(中村鷹之資勉強会 第九回『翔之會』取材会より)

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歌舞伎俳優の中村鷹之資が、舞踊の大曲を中心に毎回趣向を凝らした内容で開催する自主公演「中村鷹之資勉強会 第九回『翔之會』」を8月12日(月・休)、東京・国立能楽堂で上演する。「翔之會」は2013年、踊りの名手で人間国宝だった父・五世中村富十郎の三回忌を機にスタート。第七回(2022年)に披露した「船弁慶」は、翌年の歌舞伎座公演につながるなど、鷹之資にとっても思い入れの強い勉強会だ。

今回、幕開けを飾るのは、狂言師・野村萬斎の長男、野村裕基との『二人三番叟』。続いて、昨年7月に鷹之資が出演した新作歌舞伎『刀剣乱舞 月刀剣縁桐』で、大薩摩の演奏を勤めた女性琵琶奏者の長須与佳による、琵琶弾き語り『扇の的』ほかを披露し、最後は尾上松緑の指導のもと『棒しばり』を、次郎冠者を鷹之資、太郎冠者を尾上左近、曽根松兵衛を中村錦之助という顔ぶれで上演する。

中村鷹之資自主公演「第九回 翔乃會」チラシ

上演に先立ち、鷹之資と裕基が取材に出席し、意気込みを語った。ふたりは1999年生まれの同学年で、能楽の師匠である片山九郎右衛門の紹介で知り合ったのだとか。鷹之資は「お狂言と歌舞伎でジャンルは異なりますが、芸の道を志す者同士、同じ舞台で一緒にやりたいと話していた」と共演に至った経緯をコメント。両名は、今年1月に石川県立音楽堂で開催された、萬斎プロデュース公演「萬斎の芸能玉手箱」でも『二人三番叟』を披露しており、今回はその再演。国立能楽堂での「翔之會」開催は久しぶりだ。

「やはり国立能楽堂は、すごく特別な空間だなと思っていて。空気がクイッと張り詰めているというか。『二人三番叟』をさらに本場というか、ホームグラウンドである能楽堂でさせていただけるっていうのは、私自身すごく楽しみです」(鷹之資)

五穀豊穣を祈る「三番叟」は、狂言が由来となった歌舞伎演目。1月の石川公演では、三味線演奏を入れずに、狂言に近づけたスタイルだったことについて、裕基は「歌舞伎舞踊の『三番叟』とは異なり、笛の唱歌をベースにした“我々の三番叟”にお付き合いいただいた形になります」と説明した。

鷹之資も「狂言と歌舞伎では、身体の使い方も異なります」と語り、「歌舞伎舞踊の『三番叟』を“柔”とするなら、狂言師の裕基さんたちがなさる『三番叟』はすごく堅く、鋭いので、身体の使い方の違いを楽しんでいただければ」とアピール。ただ、歌舞伎舞踊は、三味線がベースになることが多く、唱歌には苦戦したといい、裕基にアドバイスを求めたこともあったそうだ。「とにかく家でノイローゼになるぐらい、延々と淡々と稽古していました」(鷹之資)、「本当によくお付き合いいただいて」(裕基)。

実際に共演を果たし、どんなインスピレーションを受けたのだろうか? 鷹之資は「身体から発せられる、空間を支配するようなパワーのすごさ。大地のエネルギーを感じた」と圧倒された様子。裕基は「(身体の)重心がしっかりしていて、型を崩さないで走れる。体の幹が大事だと再認識しましたし、その身体性は、歌舞伎舞踊であれ、狂言であれ、古典芸能の根幹だと感じました」としみじみ語る。

特に印象深かった瞬間について、鷹之資が「最後にね、裕基さんが鈴の段をなさって、その後に僕がやって、最後のおしまいで、同じ拍子を踏むところ」だと振り返ると、裕基も大きくうなずき、「お互いの呼吸、それに囃子との呼吸が合わないと、やっぱりうまくいかないので、うまくいったときは、脳汁がパーでしたね(笑)。アドレナリンがすごい出て」と声を弾ませた。

「最近は、松也さんの『刀剣乱舞』だったり、菊之助お兄さんの『マハーバーラタ』(『極付印度伝 マハーバーラタ戦記』)、ルパン歌舞伎(『流白浪燦星』)といった、新作歌舞伎に出させていただく機会が多くあり、やはり、若いお客様に歌舞伎を見ていただくきっかけ作りが大切。それと同じ、それ以上に、古典も我々自身がきちんと勉強して、できるようになっておかなきゃいけない。今回は、能楽堂にちなんだ演目立てにしつつ、新たな試みとして、他ジャンルの方と共演させていただく。これからの時代の方々にも観て、楽しんで、そして感動していただけるものを作るのが、私たちの使命だと思っています」(鷹之資)

裕基も「父が狂言の身体性を生かした作品を作ってきたように、いずれ僕もできたら。そのために、今はいろんな経験をしていきたい」と決意を新たにし、「フランスに行ったときに、日本文化に興味がある方々がたくさんいらっしゃったので、歌舞伎と能楽のコラボレーションもお見せするというのも、需要があったりするんでしょうかね。ご覧いただき、感想も気になりますね」と展望を語った。

<公演情報>
『第九回 翔之會』

一、二人三番叟
中村鷹之資
野村裕基

一、扇の的 ほか(琵琶弾き語り)
長須与佳

一、棒しばり
次郎冠者:中村鷹之資
太郎冠者:尾上左近
曽根松兵衛:中村錦之助

2024月8月12日(月・休)
昼の部:12:00開演
夜の部:16:00開演

会場:東京・国立能楽堂

公式サイト:
https://www.tennoujiya.com/

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