全国ツアー開催目前! COPESインタビュー「どんなジャンルに混じっても戦えるようなバンドになりたい」
音楽
インタビュー
左から)ちょた(ds)、カメイナナコ(g/vo)、しいなゆうき(b/vo)
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すべて見るText:吉羽さおり Photo:石原敦志
2021年2月に始動したばかりでありながら、デモ音源やサーキットイベント出演を通じ、極上にキャッチー、そしてポップなサウンドでメキメキと頭角を表している男女ツインボーカルの3ピース・メロディックバンド、COPES。7月にリリースした初の全国流通盤となる1stアルバム『FORTH』には、衝動やエネルギーのかたまりといえるノイジーな曲からフレンドリーなメロディで歌い騒げる曲、またうつむく顔を上向かせてくれたり、思わず笑顔になってしまう明るい曲がこれでもかと詰まっている。陽性で、ちょっぴりほろ苦さもある、その塩梅が絶妙なバンドだ。アルバムを携えた全国ツアーを目前に控えた3人に、COPESの成り立ちや今の思いを聞いた。
──今回がCOPES初インタビューということなので、まずはバンドの成り立ちから教えてください。
カメイナナコ(g/vo) 私としいなは、ネットのバンドメンバー募集サイトを通じて出会ったんです。お互いに男女ツインボーカルのメロディックバンドをやりたくて、好きなバンドが似ていたので一緒にやってみようかとなったのが始まりでした。
──実際に初めて会ったときの印象って覚えてますか。
カメイ 最初私はどうなのかなって怪しんでいたんですけど──。
しいなゆうき(b/vo) いや、怪しくはないだろ!
カメイ 明るくて、話しやすいから一緒にバンドをやってもいいのかなっていう感じで。その場で次のスタジオも決めた記憶があります。まだドラムがいない状態でスタジオに入っているので、わけわかんない感じでしたけど(笑)。
しいな 最初はLONGMAN(ロングマン)の曲をコピーしようって言うので、ドラムレスで合わせました。
──ちょたさんは元々はサポートドラムだったということですが、COPESとはどんなふうに出会っているんですか。
ちょた(ds) サポートドラムとして1年10カ月やって、今年の5月にバンドに加入したんですけど。元々は別のバンドをやっていて、COPESとは対バン予定が何度かあったんです。ただ僕の前のバンドもCOPESも、お互いどちらかがキャンセルになってしまうことが続いて、結局対バンすることはなくて。あるとき、元々はCOPESも出演予定だったけどキャンセルになったライブの打ち上げにしいなだけ参加していて、そこで初めて挨拶をしたんです。そのときはそんなバンドがいるんやっていうくらいだったんですけど、その後共通の知り合いを通じてサポートをお願いされたんです。じゃあ、やってみるかという感じで。
──引き受けたのはふたりと音楽性が近かったり、合いそうだなというところがあったんですか?
しいな やっていたことは全然違うんですけどね。
ちょた メロディックは好きは好きだったんですけど、僕の前のバンドはギターロックで、どちらかというともっと歌寄りの感じだったんです。
カメイ とにかくツービートが叩けるドラマーを探していたんです。
しいな それまでなかなかドラマーが安定しなくて。サポートもコロコロ変わって、1週間に3人のドラマーとスタジオで合わせたりしたこともあって。毎ライブでドラマーが違うこともあったんです。安定してできるサポートドラマーを探している中で、ちょたが前のバンドを抜けるっていう噂を聞いたので。
カメイ これは!と思って。
──一緒にやってみて、いい感触がありましたか。
ちょた まずライブを観たことがなかったので、一度COPESが出ているサーキットライブを観に行ったんです。これがめちゃめちゃヘタクソだったんですけど、めちゃめちゃ盛り上がってるなっていう印象で(笑)。それはそれで面白かったんですよね。初めて一緒にスタジオに入ったときも、やっぱめっちゃヘタじゃんっていうのはあったんですけど。
しいな (笑)。
ちょた 僕が楽器の講師とかもやっているので多少教えられるところもあったし、いけそうだなっていう気持ちがあったのでそのまま1年10カ月サポートを続けたんです。
──しいなさんとカメイさんは、バンド初心者みたいな感じだったんですか。
しいな そうですね、ちゃんとやるのはこのバンドが初めてで。(カメイは)僕と初めてスタジオに入る2日前くらいに、今使っているレスポールを購入しているんですよ。
カメイ 元々ガールズバンドをやっていたんですけど、ギターですとは言い切れないくらいの技術力でやっていて。いざメロディックをやるぞっていうのでまずは形から入ろうと思って、急いで楽器屋に走ってとりあえずギブソンかなって感じでギターを買って。曲を作るのにMacBookが必要かなって思って、MacBookも買いました(笑)。
──勢いがいいですね。とにかくバンドやりたい、バンド楽しいっていうのが先走っていたと。
カメイ まさに衝動が先でしたね。
──活動をしていく中で、この曲ができたから、バンドとして進んでいけたっていうターニングポイントになった曲はありますか。
カメイ アルバムにも収録したんですけど、やっぱり「winner」かな。
しいな 王道のスカも入っていてツービートもあって、明るくて、まさにメロコアっていう感じなんですけど。初めてちゃんとした人に撮ってもらったMVが「winner」で。再生回数も知名度がないなりに1万回再生とかいったんですよね。それで明るい曲調で、男女ボーカルのバンドだって認知してくれる人が増えたし、ライブに遊びにきてくれる母数も増えていったのかなという印象ですね。元々この「winner」のタネとなったのは、2019年末の『COUNTDOWN JAPAN』に行ったときに、明け方5時くらいに観たLONGMANに衝撃を受けてしまったからで。音源は聴いたことはあったんですけど、ライブで観るのが初めてで。やばい!って思って。そこでインスパイアされて、「winner」のタネができたんです。
──そのLONGMANとは既に対バンもしてますよね。
しいな 今年に入って対バンをして仲良くなれて。もう──感動しました。
カメイ 初対バンまでは長かったですけど、一回対バンをしたらそこから何度か対バンが決まっていったのが、うれしかったですね。
しいな そんなことあるんだっていう。
──その曲のタネから形になるまでは結構じっくりと温めた感じですか。
しいな 当時はまだバンドも組んでいなかったので。作りたいと思っても、機会もなかったからだいぶ温めた曲ではありました。
カメイ あとこの「winner」では、お客さん発信だったんですけど、“winner winner”というフレーズのところで“W”のハンドサインを作ってのってくれるというのがあって。そういうのが生まれたのもターニングポイントというか、みんながライブの一体感を出してくれた曲だなっていう感じで。
しいな 最初はふざけてやったみたいな感じだと思うので、まさかこんなに広がるとは思わなかったですけどね。徐々にサーキットイベントとかに出られるようになって、絶対に初めて観る顔なのにやってくれている人がいるんですよ。多分ライブ映像を観てくれて、認知してくれたのかなって思っているんですけど。
──徐々にライブの景色が変わってくることで曲作りでの変化はありましたか。
カメイ だいぶ曲調は変わりました。最初はメロコア、メロディックをやるっていうイメージで組んだから、もっとツービートの曲が多かったし、英語詞も多かったんです。でもやっていくうちに、できる曲が裏打ちとかスカとかが多くなって、うちらの強みもそこだなっていうのに気づいてからは、ちょっとシフトチェンジというか。
しいな 日本語で歌った方がやっぱりスッと入るのかなっていうのは、少し前くらいから感じていますね。それこそちょたがサポートをしてくれるようになったくらいから徐々にシフトチェンジをしていって、今では日本語の歌詞を中心に曲作りをしている感じです。
──1stアルバム『FORTH』についても伺いたいのですが、まずはリードトラック「E•I•E•I•O」は、一度は聴いたことがあるだろうおなじみの童謡のフレーズを用いた、キャッチーでフレンドリーな曲ですが、どんなふうにできた曲ですか。
しいな 出だしの部分からスッと入ってくる曲って、みんなどんな曲なんだろうって思うじゃないですか。そういう曲を狙って、挑戦してみようと思って童謡のフレーズを入れて作ってみました。
──なぜこの“E•I•E•I•O”のフレーズになったんですか。
しいな 昔のバラエティ番組でやっていた“イヤイヤヨゲーム”っていう──芸人さんがこの音楽に合わせて嫌なことを言うみたいなゲームがあったんですけど。それがなぜかYouTubeのおすすめに上がってきて観ていたんです。嫌なことを言って、イヤイヤヨーっていう振りをするんですけど、これ曲にしたら面白いかもなって思ったのがきっかけで。イヤイヤヨーのセリフは使いたかったので、何をして嫌なのか、自分の苦手なことを書いていったらこの歌詞になりました(笑)。
──キャッチーで聴いたり、口ずさんだりするとなぜだかハッピーになっちゃう感じがありますよね。今って世の中にシリアスな歌がたくさんあったりしますけど、そういう中で我を忘れてハッピーになれる、肩の力が抜けたお気楽な明るさがある。そういう感覚っていうのは、目指すところでもあるんですかね。
しいな 明るい代表みたいな感じになれたらうれしいですね。
ちょた 恋愛ソングとかはないしね。
しいな 恋愛系の曲は書けないので。無理です! 恥ずかしくなっちゃうので。
カメイ アルバムには「ウォーアイニー」とか恋愛っぽい曲はあるんですけど。今流行っている恋愛の曲って、もっとリアルで生々しい曲が多いじゃないですか。
しいな 苦手なんですよね、みんなが共感できる歌詞が流行っているのも分かっているし、共感されてそこで広がっていくのも分かるんですけど。音楽をするなら体を動かせて楽しい方がいいって、自分は思っているので。それが音楽の行き着く先じゃないですけど、自分の音楽はそれが一番上にあるんです。リアルな恋愛の曲というよりは、こういう明るい歌詞でとにかく楽しくなってほしいということに重きを置いてやっているかなと思います。
──カメイさんが書く曲はまた違った面も持っていそうですけど。
カメイ 私はハッピーになろうって思って作っていなくて(笑)。どちらかというとネガティブというか、ちょくちょく落ちちゃうことがあるんですけど。落ちた先でそれを吐き出すように書くので。嫌なことがあればあるほど書けるんです。最近はハッピーなことの方が多いので、筆が止まっちゃってますけど(笑)。
──1曲目の「song」なんてまさにそういった心から溢れ出た気持ちが形になったような曲ですね。
しいな 「song」はコロナ禍の真っ只中に作っているから余計にそうで。
カメイ 緊急事態宣言が出て家にいるときに、いろんなライブ映像がネットに上がっていて。自分はキッズだったから、ライブとかサークルモッシュとかが大好きで、その時代を思い出しながら映像を観ていて。早くやりたいなとか楽しみだなっていうより、もう一生できないのかなって考えちゃってたんです。なので、ライブでいつか歌えるような日を夢見ながら曲を書いた感じだったんです。
──書いた当時はコロナ禍での気持ちを綴ったものだと思いますが、今回のアルバムの1曲目ではまた新たな意志を持った曲としても響きます。
カメイ そうですね。「song」と「winner」は結成当初からある曲で、今回アルバムで再録したんですけど、ライブでみんな盛り上がってくれるので。最初に出した1stデモが「song」で始まっているので。アルバムも「song」から始めたいっていう思いはありました。
──「forth」はさらに現在進行形の今の思い、走り出したバンドのエネルギーが詰まったアンセミックな曲になりました。
しいな この「forth」を作った時点では、まだちょたが正式加入するとは決まっていなかったんですけど。ちょたがサポートしてくれた昨年のツアーが終わってちょっとずつ状況が良くなっていっているのを肌で感じていて。お客さんが増えたり、呼ばれるイベントが大きくなっていったりしていて、まだまだここから進めるな、前に行けるなって思えたツアーだったんです。そのツアーを経て初めて書いた曲が「forth」で。何度も何度もヘタクソと言われ、ヘタクソと怒られ、対バンのやつらにはなめられ、でも“そんなこと知らねぇよ、ここからやってやるよ!“って思いで書いたのが、「forth」なんですよね。聴いた人の背中を押すような曲ではあるんですけど、自分たちの背中を押すために作った曲でもありますね。
──9月13日からはアルバム『FORTH』を携えた全国ツアーがスタートします。ツアーへの思いも聞かせてください。
しいな メロディックバンドもいればロックバンドもいて、これまで対バンしてきたバンドも、初めて対バンするバンドもいるんですけど。COPESはどんなジャンルに混じっても戦えるようなバンドになりたいと思っているので、いろんなバンドと対バンできたらと思って今回のツアーを組んでいます。初めてのアルバムのツアーでもあるので、すごく楽しみです。
<リリース情報>
1stフルアルバム
『FORTH』
発売中
価格:1,980円
【収録曲】
1.song
2.forth
3.E•I•E•I•O
4.remember
5.crazy
6.ウォーアイニー
7.will
8.place
9.proof
10.winner
11.NEET (CDのみ収録)
<ツアー情報>
『COPES 1st Full Album FORTH Release Tour』
9月13日(金) 新宿 ACB
ゲスト:OwL
9月18日(水) 高松 TOONICE
ゲスト:PAIL OUT/CHINESE HOODIE/WET DREAM
9月19日(木) 神戸 太陽と虎
ゲスト:PAIL OUT/CHINESE HOODIE/カライドスコープ
10月4日(金) 仙台 FLYING SON
ゲスト:THE JAPANESE PRIDE/ジ・エンプティ/FUNNY THINK
10月15日(火) 福岡 Queblick
ゲスト:May Forth/ALBRIGHT KNOT/怪獣ピクルス
10月21日(月) 横浜 FAD
ゲスト:RAINCOVER/かずき山盛り
11月14日(木) 千葉 LOOK
ゲスト:RAINCOVER/AFTER SQUALL/Stain hung over
11月29日(金) 心斎橋 BRONZE
ゲスト:後日発表
11月30日(土) 名古屋 RAD
ゲスト:後日発表
12月9日(月) 渋谷 O-Crest
ゲスト:後日発表
【チケット情報】
前売3,000円
※別途ドリンク代必要
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2453525
COPES公式サイト:
https://copes.ryzm.jp/
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