~ 本格オペラを間近で楽しもう!~
TOKYO MET SaLaD MUSIC FESSTIVAL 2024 [サラダ音楽祭] メインプログラム
子どものためのオペラ
『アトランティス・コード』~伝説の島の謎~ 特集
伝説の島・アトランティスにまつわる謎が隠された本を手に入れた少年と母親の物語を、歌手3人とヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、ハープ、打楽器の小さなオーケストラで紡いだ『アトランティス・コード』。昨年の「サラダ音楽祭」で日本初演され、大好評を博したオペラが今年も上演される! 「子どもたちにもワクワクする舞台体験をして欲しい」。そんな思いが込められた本作の魅力を紹介します。いつもより間近で本格的なオペラを楽しんでみませんか?
~サラダ音楽祭とは?~
歌う!聴く!踊る!(Sing and Listen and Dance=SaLaD)をコンセプトに、2018年より開催している特別な“音楽祭”。 オーケストラやオペラを身近に感じられ、誰もが音楽の楽しさを体感・表現できるフレッシュで多彩なプログラムを展開している。
「オペラはこうあるべき」から解放されて
サラダ音楽祭のメインプログラムである子どものためのオペラ「アトランティス・コード」の舞台が間近になった。この演目、昨年に続いての上演だがすこぶる評判が良い。子どもや初心者がオペラの魅力をダイレクトに味わえる要素が満載なのである。
そもそもオペラとは、簡単に言うと物語を芝居で楽しみ、そのセリフ部分が歌と音楽になっている舞台エンタテインメント。今回の「アトランティス・コード」は、まずストーリーが謎解きを基本に進むので客席を惹きつける。伝説の島アトランティスにまつわる謎が隠された本を手に入れた少年と母親の物語。ふたりが宝石を盗み出そうとして失敗、警察の捜査におびえ報道に一喜一憂しながら、謎の生き物も加わって話が展開してゆく。
歌手3人と室内楽オーケストラの為のこのオペラはドイツのミヒャエル・フロヴィンが台本を書き、子どものオペラを多く創作するフランク・シュヴェマーが作曲し2022年ルクセンブルクで初演。その世界初演の演出を手掛けたのが今回の演出&翻訳の菅尾友である。国内とヨーロッパで活躍する気鋭の演出家は、こう語る。
『子どもたちが楽しめるように工夫していると、「オペラはこうあるべき」みたいな“縛り”から解放されるというか、伝統的な演出上のタブーのようなことにもとらわれないでいられます』『オペラは、面白い場面と緊張感のある場面との、コントラストが大きいほど楽しいと僕は思います』いいね、クラシックの名作オペラとは一味違った舞台の予感がするではないか。
ザルツブルク音楽祭の委嘱によりモーツァルト「魔笛」を子ども向けにアレンジした『まほうのふえ~パミーナ姫の誕生日』も日本で上演され、絶賛された菅尾。共演者やスタッフとの意見交換をもとに子供や家族向け舞台の創造を活動の軸にしている彼の手腕は、今回の舞台でも遺憾なく発揮されるはず。舞台に登場する歌手が3人という事は、それだけ芝居も濃密なものが要求されるので、その面白さを創る演出にも大いに注目したい。客席数300人以下の東京劇術劇場シアターイーストなら、セットや衣装も含めて芝居としてのオペラを間近で堪能で堪能できる最高の空間だろう。
さらに今回の演奏陣にも注目! テノールの西山詩苑、ソプラノ柳原由香と松原みなみは、日本の若手期待株の代表である実力派歌手。指揮の斎藤友香理は、とりわけオペラ指揮で評価の高い逸材である。オーケストラメンバー含め、若いエネルギーと表現豊かなアーティスト達が集結して繰り広げるパフォーマンスは、ライヴの空間ならではの活気と愉悦に満ちるはずだ。
考えてみれば、何かに興味を持って、どんどん追求していく経験は、仕事にも人生にも必ず活きていくもの。オペラフリークの私としては、音楽・演劇・文学が重なった芸術オペラこそ、その入口だと申しあげたい。知的でリッチな芸術体験を、今回のサラダ音楽祭で実感する意味でも『アトランティス・コード』はお薦めです!
プロフィール
朝岡聡(あさおか・さとし)
フリーアナウンサー、コンサートソムリエ。テレビ朝日時代は「ニュースステーション」やスポーツ中継を担当。フリーになってからはTV・ラジオ・CMに加え、クラシックやオペラのコンサートの企画・司会にもフィールドを広げて活動中。特にバロックからベルカントのオペラフリーク。著書に「いくぞ!オペラな街」(小学館)、「恋とはどんなものかしら~歌劇的恋愛のカタチ~」(東京新聞)など。日本ロッシーニ協会副会長/日本音楽教育文化振興会理事/東京藝術大学客員教授。
〈公演情報〉
TOKYO MET SaLaD MUSIC FESSTIVAL 2024 [サラダ音楽祭] メインプログラム
子どものためのオペラ
『アトランティス・コード』
~伝説の島の謎~(日本語上演)
指揮:齋藤友香理
演出・台本翻訳:菅尾友
出演:
サトシ/西山詩苑
サトコ/柳原由香
モエコ&グラツィエッラ/松原みなみ
警察官&ニュースキャスター(声の出演)/田中秀幸
ヴァイオリン/福崎雄也
ヴィオラ/阿部 哲
チェロ/金子鈴太郎
ハープ/宮本あゆみ
打楽器/永野仁美
日程:2024年9月14日(土)・15日(日)各14:00開演(13:30開場/15:00終演予定)
会場:東京・東京芸術劇場 シアターイースト
公式サイト