伊藤潤一郎&大鹿礼生
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すべて見る細田守が監督を務めたアニメーション映画『バケモノの子』が、2022年、劇団四季のオリジナルミュージカルとして舞台化された。東京・大阪と上演され、ついに9月11日、名古屋で開幕した。最強のバケモノ・熊徹役の伊藤潤一郎、人間の青年・蓮/九太役の大鹿礼生に話を聞いた。
――映画にはない、舞台ならではの魅力などはありますか?
伊藤 基本的にはストーリーや展開などは、ほぼ変わらないです。ただ、アニメーションならではの表現を、舞台上で実現しなければならない。熊徹が体を巨大化させて闘うシーンはパペットを使うなど、生身の人間が舞台で表現することに全力で挑みました。
大鹿 映画の音楽は、『祝祭』という冒頭の曲だけ舞台でも使わせて頂いていますが、それ以外はミュージカルのために作曲されました。同じ物語でも音楽が異なると感じ方が違う部分があるかもしれません。また映画では、登場人物たちの心情は表情を大画面で見せて表現していたところを、ミュージカルでは歌を使って感情がどう変わっていくかを表現しています。そうやって音楽と一緒に楽しめるのがミュージカルならではの魅力だと思います。
伊藤 バケモノの世界と人間の世界の違いを、振り付けなどでも表現しています。例えば、人間界は全員のダンスを揃えて無機質に。バケモノの世界では、ぴったりと揃えるということよりも、バケモノたちが生き生きと暮らす様子をそれぞれが表現することを大切にしている。それぞれの世界を明確に分けています。
――演じるうえで大切にしたところはありますか?
伊藤 僕が1番嫌だと思ったのは『彼なりの熊徹』と言われること。僕は原作映画のファンなので、誰が観ても熊徹という熊徹を演じたかったのです。もちろん自分が演じるわけですから、自分なりの表現にはなりますが、役が自分に寄りすぎていないか、というのは常に確認していました。熊徹と九太は、お互い悪態をつきながらも仲が悪いわけではない。熊徹は、口ではバカヤロー!と言いながら、心ではお前を信じてるって思っているような役柄ですよね。あんなに筋を通してひとつの人生を生き抜ける人はいないと思う。そういう優しさや強さを持った熊徹をみんなに好きになって帰ってもらいたいです。
――この作品をどう観てもらいたいですか?
伊藤 細田監督から、『この作品は社会全体で子どもの成長を祝福する』というコンセプトで作られたとお聞きしました。バケモノの世界のキャラクターは、人なつっこかったり、おせっかいだったりと、ひと昔前の距離が近い人付き合いをしてる人たち。子どもたちに、お前も仲間だよ、ひとりじゃないよと伝えたいです。
大鹿 『自分が何者なのか』というテーマは、哲学的でちょっととっつきにくいかもしれないですが、歌やダンスで分かりやすく伝えているのがこの作品です。お子様にも楽しんで頂ける作品になっているので、ぜひご家族でも観てもらえたらと思います。
初めて舞台を観た細田監督も「すごいエキサイトしていた」というように、原作のアニメーション映画の魅力を損なうことなく、舞台ならではの魅力を盛り込んだ作品となった。開幕してからも日々、成長していくだろう本作を、まずは一度その目で観てみよう。
撮影(舞台写真):堀 勝志古
<公演情報>
劇団四季 オリジナルミュージカル『バケモノの子』
2024年9月11日(水)~2025年2月9日(日) 千秋楽
会場:愛知・名古屋四季劇場(名古屋市中村区名駅南2-11-11)
チケットはこちら:
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2451684
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