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手塚治虫原作のミュージカル「七色いんこ」稽古場レポート 七海ひろき、有沙 瞳らが名作を新たなミュージカルに

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ミュージカル「七色いんこ」稽古場より (撮影:石阪大輔)

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漫画界の巨匠・手塚治虫の名作漫画『七色いんこ』。代役専門の天才役者で泥棒の「七色いんこ」を主人公とした犯罪活劇で、1981年から1982年まで週刊少年チャンピオン(秋田書店)で連載された作品だ。

2024年9月より上演されるミュージカルでは、脚本・畑 雅文、演出/作詞・三浦 香、音楽・浅井さやか(One on One)というクリエイター陣がタッグを組み、七海ひろき、有沙 瞳、藤田 玲、土屋直武、古谷大和、新 正俊、大森夏向、岡村さやか、髙橋果鈴、藤本結衣、倉持聖菜、齋藤千夏、高木トモユキ、郷本直也といった実力派キャストが集結。本番に向けて着々と進んでいる稽古の様子をレポートする。

まずはテーマ曲「To be, or not to be.」の確認から始まる。本番前の舞台裏を思わせるざわついた空気の中、七色いんこ(七海ひろき)や千里万里子(有沙 瞳)をはじめとする登場人物たちが行き交う様子にワクワクが募る。キザな表情で客席を見渡すいんこ、弾けるような笑顔とお転婆な雰囲気がキュートな万里子、お茶目な動きで目を引くトミー(藤田 玲)など、それぞれが演じるキャラクターの個性が見えて魅力的だ。

原作漫画はオムニバス形式で、いんこが出会う様々な事件の多くに世界中の名作戯曲の題名がサブタイトルとして付いている。「To be, or not to be.」は演劇好きな方ならご存知の通り『ハムレット』の一節。ハムレットが自らに問いかけるように語る名セリフがドラマティックなオープニングナンバーに仕上がっているのも面白さのひとつだろう。

本番までまだ日があるタイミングでの取材ということもあってセットはまだ組まれておらず、同サイズのシートで立ち位置や動線の確認をしながら進めている段階。もちろん衣裳も付いていないのだが、小道具やキャスト陣の動きから本番ではとても華やかで迫力あるナンバーになることが予想でき、完成形を見るのが非常に楽しみになった。

続いては物語のラストシーンの稽古が行われた。原作の中から、いんこと万里子を中心とするエピソードをピックアップして作られている本作。過去と現在が並行して描かれ、キャラクターが入れ替わり立ち替わり現れる場面では、大胆な場面転換の中でテンポよくセリフを繋いでいくのが心地良い。

動きをつけている途中のため、少し進んでは止めて試行錯誤の繰り返し。演出の三浦もキャスト陣の中に入って動きながらセットの移動やキャスト一人ひとりの動線を作り上げる。場面転換を安全かつスムーズに行うため、キャストも「引っ張る側にもう一人いた方がいいですか?」「次のシーンのためにここまではけた方がいいかも」と積極的に発言。チームワークを発揮し、改良を重ねていた。

また、単純に動きを繰り返し確認するだけではなく、セリフの熱量や表情を少しずつ変えてキャラクターを固めていく。重々しい威圧感を放つ鍬潟(郷本直也)、物語のキーパーソンのひとりである陽介(土屋直武)がシリアスな空気を作る一方、我利屋(新 正俊)やヨーコ(倉持聖菜)がユーモラスな芝居で緩急をつける。鍬潟と秘書、警部(高木トモユキ)と小田原刑事(大森夏向)など、共に行動するキャラクターの関係性がわかるやり取りに笑いが起きる場面もあり、和気あいあいとした空気で稽古が進んでいた。

稽古ということもあり同じシーンを繰り返すのだが、舞台上のあちこちでキャラクターがそれぞれの思惑を持って動いているため、視線を向ける場所を変えるたびに新たな発見があって飽きがこない。立ち位置の変更に合わせてアプローチを変えたり、セリフの追加やカットで流れが変わったり、刻一刻と作品が進化していく様子を興味深く見ることができた。メインキャラクターはもちろんサブキャラクターも個性が立っていたため、この日は出演シーンが少なかったキャスト陣にも期待が高まる。

疾走感が魅力の「To be, or not to be.」、いんこの心情が見えるソロナンバーなど、浅井が生み出すキャッチーで耳に残る音楽も印象的だ。いんこの緊張や覚悟をしっかり乗せる七海、まっすぐに通る声で万里子をチャーミングに見せる有沙、深みのある歌唱で怪しくも美しい世界観を形作る岡村さやかをはじめとするキャスト一人ひとりの歌声に聴き入ってしまう。ハーモニーの美しさ、シーンに合わせたアレンジは聞き応えも十分。賑やかでキレのあるダンスも圧巻で、ミュージカル版『七色いんこ』は魅力あふれる作品に仕上がるだろうと感じさせる。ここからの稽古で芝居・歌唱・ダンスがますます洗練され、カラフルな衣裳や照明も加わって、それぞれのキャラクターがイキイキと動き出すのが楽しみでならない。

本作は2024年9月14日(土) ~9月16日(月・祝) に大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA WWホール、9月20日(金)~9月29日(日) に東京・品川プリンスホテル ステラボールで上演。全公演でスペシャルカーテンコールやトークショーなどのアフターイベントが実施される。

取材・文:吉田沙奈
撮影:石阪大輔

<公演情報>
ミュージカル「七色いんこ」

原作:手塚治虫

脚本:畑 雅文
演出・作詞:三浦 香
音楽:浅井さやか(One on One)

【出演】
七色いんこ:七海ひろき
千里万里子:有沙 瞳

トミー:藤田 玲 陽介:土屋直武 朝霞:古谷大和 我利屋:新 正俊
小田原刑事:大森夏向 狐川イナコ:岡村さやか モモ子:髙橋果鈴 古武良:藤本結衣
ヨーコ:倉持聖菜 チルチル:齋藤千夏

警部:高木トモユキ 鍬潟隆介:郷本直也

アンサンブル:佐藤康道 橋本有一郎 藤村リュウト 柳田英理 山﨑竜之介 渡邉 南

【大阪公演】
日程:2024年9月14日(土)~9月16日(月・祝)
会場:COOL JAPAN PARK OSAKA WWホール
主催:(株)サンライズプロモーション大阪

【東京公演】
日程:2024年9月20日(金)~9月29日(日)
会場:品川プリンスホテル ステラボール
主催:ミュージカル「七色いんこ」製作委員会

チケット情報:
https://w.pia.jp/t/nanairo

企画協力:手塚プロダクション
協力:一般社団法人 日本2.5次元ミュージカル協会

(C)Tezuka Productions/ミュージカル「七色いんこ」製作委員会
※「手塚治虫」と「手塚プロダクション」の「塚」は旧字体が正式表記

関連リンク

舞台公式サイト:
https://musical-nanairo-inko.com

舞台公式X:
https://x.com/nanairoinko_mu

舞台公式Instagram:
https://www.instagram.com/musical_nanairoinko

舞台公式YouTubeチャンネル:
https://www.youtube.com/@musical-nanairo-inko

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