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オペラ、演劇の枠を超えた『ローエングリン』に注目女優、橋本愛が挑む

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橋本愛 (c)Toru Hiraiwa

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神奈川県民ホール開館50周年記念オペラシリーズの第2弾として、サルヴァトーレ・シャリーノ作曲『ローエングリン』が10月に上演される。この作品はワーグナーの同名のオペラとは異なり、登場人物はエルザたった一人。ローエングリンは現れない。そしてエルザ役には「女優」が指定されており、具体的な音名やリズムの書かれていない楽譜をもとに、鳥の声など自然界のさまざまな音を発する。この難役に挑むのは注目女優の橋本愛。今回は作品への想いやアプローチについて語ってもらった。

「最初にお話を頂いたとき、やったことのないものに対する純粋な興味と不安がありました。ただ、恐怖心を抱いたものこそやるべきと思ってきたこともあって、迷うことなくお受けしましたね」

“オペラ”といってもこの作品には朗々と歌われるようなシーンはなく、音楽は16人の室内オーケストラと男声3人による合唱で演奏される。

「起承転結のある物語ではないですし、明確なメロディもほぼないので、これまでのオペラを想定してご覧になったら驚かれるかもしれません。そしてエルザには、歌うことではなくあらゆる自然界の音を人間の身体で表現することが求められるので、オペラにはない表現と世界をお楽しみ頂けると思います。台詞一つとっても様々な解釈ができますし、それ自体も音楽のように機能しています。だからこそ、オーケストラの演奏との一体感がすごく強いのです。私は音楽こそエルザの器官なのではないかと感じています」

様々な表現への挑戦が凝らされており、また小編成だからこその緻密なアンサンブルで展開していくからこそ、全てが一つとなってエルザという人間、そして彼女の狂気を鮮やかに描き出していけるのであろう。

「この作品を“一人芝居”と打ち出されることがあるのですが、私の中では少し違った感覚です。確かに舞台上には私一人なのですが、指揮の杉山さん、そしてオーケストラと合唱の皆さんと共に作り上げているという感覚が常にあるのです。この作品ではエルザと彼女を取り巻く環境の境界線は曖昧で、すべてが一つになっていると思うのですが、それが音楽によって導かれることで、改めて実感しますね」

声の可能性が追求され、オペラと演劇という枠をも超えた作品であるシャリーノの『ローエングリン』は、新たな芸術の形を届けてくれることだろう。

取材・文:長井進之介
撮影:(c)Toru Hiraiwa

<公演情報>
神奈川県民ホール開館50周年記念オペラシリーズ Vol.2
サルヴァトーレ・シャリーノ作曲『ローエングリン』

公演日程:2024年10月5日(土) 17:00開演(16:30開場)
2024年10月6日(日) 14:00開演(13:30開場)
会場:神奈川県民ホール 大ホール

チケット情報:
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2451538

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