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Geloomy、えんぷてい、goethe 独特なグルーブを纏った3バンドが登場『Grasshopper vol.26』レポート

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Geloomy、えんぷてい、goethe 9月8日(日) 東京・Spotify O-nest『Grasshopper vol.26 supported by チケットぴあ』 Photo:シンマチダ

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Text:栄谷悠紀 Photo:シンマチダ

記録的な台風が日本列島を横断し、まだまだ残暑に堪える9月8日(日)、東京・渋谷Spotify O-nestにてライブイベント『Grasshopper vol.26』が開催された。これまで数々の新進気鋭アーティストがラインナップされてきた本イベント、今回はファンクやソウル、フォークなどをルーツに持つ独特なグルーブを纏った3バンド「Geloomy」「えんぷてい」「goethe」が顔を揃えた。各バンドのセットリストに沿って、イベントの模様をレポートする。

会場内ではこの日の3マンライブのテーマソングとも言える往年のファンクナンバー、Earth,Wind & Fire“Let's Groove”が流れる中、トップバッターとしてステージに現れたのはGeloomy(ジェローミー)。小腸(g/vo)、肝臓(key)、肺(ds)、腎臓(b)からなる宅録4ピースバンドだ。リズミカルなSEに続く4カウントから“p.h.p”にイン。「Are you ready! Geloomyと申します。本日よろしくお願いいたします!」と小腸が名乗り、早くも歓声と拍手が沸き起こる幕開けは、イベントへの期待の表れだろう。ブルーやパープルの照明が一夜限りのパーティータイムに誘い込み、肝臓によるキーボードの上行形フレーズがスパイスとなってO-nestの高揚感に味付けすると、小腸が「ダンスノリノリでお願いしやす!」と呼びかける。

「あざまーす」と挨拶をきっかけに間髪入れずに“Vagi@”へ移るとミラーボールが回り出し、肺が繰り出す軽快なハイハットがオーディエンスの身体を揺らしていく。《揺れるアタシと諸共夜》のマイクを託し一体となったフロアはエキサイティングな光景だった。

黒のサングラスを外した小腸は、Geloomyのライブを初めて観る人とすでに観たことがある人が入り混じった様子に満足げな表情を浮かべ、「シングルを出したので、ちょっとやらせていただきたいと思っている所存でございます」と“Black Cinema”へ。ずっしり重くスロウなビートにユーモアのある手振りで乗りこなす小腸、頭を前後に揺らしながらバンドサウンドに厚みを加えていく肝臓のキーボード、後方に位置取るベース・腎臓とドラム・肺が放つフロウが実に心地いい。

BPMを上げて爽やかに駆け抜けた“블루(beullu)”を経て「Geloomy、ラスト3曲でございます。後のアクトのみなさんも非常に素晴らしいんで、ぜひぜひ楽しんで帰ってもらえたら本望でございます。」とイベントの成功を願いつつ、「行きの車で『おれMCめっちゃしゃべるから』ってほざいてたんすけど」と小腸が暴露し、「よろしくお願いしまーす!」と空元気な挨拶で肺が応える一幕も。すると《あぁコワイ 文明があぁコワイ》と耳ざわりのいいコーラスが流れてきて“antianti”へ。まさしくディスコのごとく音に身を任せながら日常を忘れて踊り明かすアンリアリティーな空間は、肝臓のソロパートにより一気にヒートアップ。小腸のカッティングが小気味よくリフレインする“Shock!!中毒”でギアを上げると「ラストめっちゃ踊ってくださいね!」と呼びかけて“最後の1曲(未発表曲/タイトル未定)”へ。腎臓の躍動的なフレーズから始まり、シンコペーションのキメが気持ちいいアッパーチューンで締めくくると、「お気をつけてお帰りを」と告げてステージを去った。9月18日には1st EP『Saladbowl』をリリースしたばかりのGeloomy、新世代の音楽シーンに旋風を巻き起こしてくれるだろう。

会場BGMのStevie Wonder“I Just Called to Say I Love You”がフェードアウトし、ステージに現れた2番手、一瞬の静寂を挟んでSE“Turn Over”とともに登場したのはえんぷてい。昨年末に神谷幸宏(ds)と赤塚舜(b)が加入し、奥中康一郎(vo/g)、比志島國和(g)、石嶋一貴(key)を加えた5人体制となった。ステージバックにはバンドロゴをかたどったネオンサインが光り、SEも相まって水中に光が乱反射するような幻想的な雰囲気の中、ドラムをきっかけに鳴り響いたのは“Sweet Child”。リバーブが効いたサウンドの上をたゆたうように自身のカラーでフロアを染め上げ、アウトロでは夏の炎天下を体現するようにジリジリと唸るディストーションとLEDの点滅が鮮烈な情景を映し出した。

「えんぷていです。楽しんでってください!」と奥中が言葉少なめに呼びかけると、続く“ハイウェイ”では《誰かになれない僕のままで/許していけるのだろうか》と綴られた刹那的な心情を点灯しては消えるカラフルな照明が演出し、日曜日の夜の渋谷で歌われていることがまた楽曲の空気感とマッチしているようだ。こちらもアウトロが印象的で、転調を繰り返しながら神谷の細かくトリッキーなドラムさばきでたたみかけたかと思えば、瞬時にBPMを落としノンストップで“微睡”へ。赤塚は天を見上げて恍惚な表情を浮かべながらプレイ、石嶋のキーボードはまどろむかのようなビブラートで聴かせ、中間部では比志島のエレキギターによる情感あふれるソロプレイがフロアを彩った。

そのままの流れで演奏された“Mist”では、キーボードのやや不穏なコードワークが楽曲を支配する中で、ファルセット主体のボーカルに同じ音形で寄り添うギターの旋律が、夏のそよ風に揺れる風鈴のように静かに響き渡った。

「改めまして、えんぷていです。今日はたくさんのご来場ありがとうございます」と奥中がゆっくりと話し始める。11月26日に渋谷WWWにて開催される自主企画「SESSIONS」の告知を挟み、「早いんですけど、あと2曲やって終わります。えんぷていでした。このあとも楽しんでってください!」と締めて“Pale Talk”へ。石嶋が奏でるキーボードの甘美なアルペジオに続いて、《君は銀河だった 美しい》と語りかけるように歌詞を紡いでいく。青白い照明を浴びるステージを前にして、しっとりと溶けるような時間が流れるフロアをミラーボールが照らし出す。スポットライトを浴びる石嶋のスロウな独奏パートを経て、ダンダンと8分音符2つに力強くコードの響きを閉じ込めていきながら、神谷のドラムが6連符の刻みで加わっていくストリンジェンドな展開に、さらに加わるギターソロプレイでフロアから思わず上がる歓声。長尺の楽曲でこそたどり着けるカタルシスで、強烈なインパクトを残した。

「最後に新曲やって終わります。ありがとうございました。えんぷていでした」と静かに締めくくると、新曲“夏よ”へ。オレンジ色の照明を浴びながら夏の終わりを惜しむかのように、《夏よ》と繰り返し歌い上げられるハイトーンのメロディー。ラストはステージをバックライトのみで照らし、5人のシルエットを残して幕を閉じた。

3番手にステージに上がったのはgoethe(ゲーテ)。樋口太一(vo/g)、永江碧斗(key)、加藤拓人(b)、相蘇勇作(ds)からなる札幌の4ピースバンドだ。キーボードの洒落たイントロに続き、加藤がハンドクラップをあおり“Dear”へ。「こんばんは、goetheです。楽しんでいきましょう!」と樋口が呼びかけ、冒頭の《貴方のこと射止めたい》でフロアの好奇心を鷲掴みにかかると、徐々にハンズアップが増えていくフロア。カッティングギターのイントロで“キリン”に移ると、《大人になれない大人よ/コーラでもどうだい》のパートで手に持っていたドリンクを掲げたり、顔を見合って笑みを浮かべるオーディエンスがいたりして、すでにgoetheの音楽にノりにノッている様子。繰り返される《遊びたい》を体現するかのように、加藤と相蘇は互いのアクションを確かめながらプレイし、アウトロでは永江の旋律がフロアを包み込んだ。

スロウなビートを背にして、樋口が「本日は遅い時間にこんなに集まっていただき、本当にうれしいです。ありがとうございます!」と感謝を述べる。「楽しんでますか?」と問いかけ歓声を受けると、「ぼくらも楽しくやっていきたいんですけど、ほんとに自由に。楽しんでいきましょう!」と、思い思いの形で楽しみ尽くしてほしい旨を伝えた。“煙管”では浮遊感のあるテンションコードが揺れる中で歌われるローを効かせたボーカルの「Can you feeling?」にうっとりしてしまうし、永江のソロプレイもまたしかり。

“湖にて”では相蘇が刻む水分量多めのビートに、流れるようなロングトーンでハーモニーを奏でるキーボードが加わった情景描写が美しい。静寂なムードから一変、ドラムのギアチェンジで“B(men)”に移ると、フロアの横揺れがまた大きくなり、中盤では加藤と樋口がステージ中央でフリースタイルラップバトルのごとくプレイを見せつけ合い、熱狂の渦を巻き起こしていく。そして混沌としたインターバルを経て演奏されたのは“恍惚”。中盤のギターソロには拍手喝采で応え、ステージとフロアが相思相愛になった瞬間だった。

樋口が「喉がカラカラだわ」とおどけてみせて水をぐいっとひと飲みすると、11月に開催されるワンマンツアーの告知を挟み、「最後までゆったり楽しんで、気をつけて家に帰ってください。ありがとうございました。」と挨拶し、“zanzo”へ。ギターを下ろした樋口が身ひとつでマイクスタンドに向かうと、愛する人への押さえきれない感情を描写した《今から速攻/家を出ちゃえばまだ/間に合うかもね》の歌い出しが、この日の公演を待ち望んでライブハウスに来場していたオーディエンスを讃えているように聞こえる。時間の経過とともにフロアと分かち合ったgoetheの面々、オーラスは樋口がソウルフルに歌い上げ大団円。「また会いましょう!」と再会を約束し、『Grasshopper vol.26』はエンディングを迎えた。

<公演情報>
『Grasshopper vol.26 supported by チケットぴあ』

9月8日(日) 東京・Spotify O-nest
【出演】 えんぷてい / goethe / Geloomy

セットリスト

■Geloomy
1. p.h.p
2. Vagi@
3. Black Cinema
4. 블루(beullu)
5. 未発表曲/タイトル未定
6. antianti
7. Shock!!中毒
8. 未発表曲/タイトル未定

■えんぷてい
SE. Turn Over
1. Sweet Child
2. ハイウェイ
3. 微睡
4. Mist
5. Pale Talk
6. 夏よ

■goethe
1. Dear
2. キリン
3. 煙管
4. 湖にて
5. B(men)
6. 恍惚
7. zanzo

<次回公演>
『Grasshopper × PIA MUSIC COMPLEX presents.Crazy Jump 2024』

10月13日(日) 東京・豊洲PIT 開場15:00 / 開演16:00
出演:Atomic Skipper/CVLTE/KALMA/Dannie May/林萌々子(Hump Back)/フリージアン
【チケット情報】
一般:4,500円
学割:3,900円
※入場時ドリンク代が必要
チケット情報:https://w.pia.jp/t/crazy-jump-2024/

「Grasshopper WEST vol.4 supported by チケットぴあ」

11月13日(水) アメリカ村 BEYOND 開演19:00
出演:Subway Daydream/OKOJO/アスノポラリス/yummy’g(OA)
一般:3000円
学割:2000円
※入場時ドリンク代が必要
チケット情報:https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2233401

イベント公式サイト:
https://fan.pia.jp/grasshopper/

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