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“人間を生き延びさせた巨大な知恵”を伝える、SPAC「イナバとナバホの白兎」スタート

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SPAC「イナバとナバホの白兎」より。(撮影:猪熊康夫)

「SPAC『イナバとナバホの白兎』」が、中高生鑑賞事業公演「SPACeSHIPげきとも!」として、昨日10月2日に静岡・静岡芸術劇場で開幕した。

「SPACeSHIPげきとも!」は、SPACが平日限定で行っている、静岡県内の中学生・高校生を対象とした招待公演。「イナバとナバホの白兎」は、「いなばの白うさぎ」の物語を軸にした“祝祭音楽劇”で、フランス国立ケ・ブランリー美術館の開館の10周年記念作品としてSPACに委嘱され、2016年に静岡市・駿府城公園で野外劇版のプレ上演し、同館クロード・レヴィ=ストロース劇場にて初演された。

開幕に際し、構成・演出を担う宮城聰は「作品の初演は2016年だったんですけれども、その頃もすでにパリで、つまりヨーロッパで上演すると、日本で上演するよりもヴィヴィッドな問題を扱っている感覚はあったんです。それはこの芝居が扱っている2つのテーマ、地球環境や自然破壊、自然との共生ということと、戦争です。今、2024年になると、それがもう日本でも喫緊の問題になっていて、『おとぎ話』としてではなく今の社会へのメッセージという側面が日本の観客にとっても強くなった感覚がします。人間は、最初は生き残るために敵対者を排除するということを思い浮かべる。そのために武器が必要だと考える。でも、農耕という文化、まさにカルチャー=耕すということですけど、農耕を発見した時から、敵対者(古事記で言えば八十神)を排除するのではなく、一緒に働くことになる。農耕はいちどきにたくさんの人が必要だから、先住民を皆殺しにしてしまったら成り立たないので、その人たちと一緒に仕事をしようとする。その時、武器は相手を排除するために使うのではなく、音楽を奏でたり、踊りを踊ったりする道具として使われるようになる。芸能で、しばしばそういうことが起こっているんです。剣を振り回す踊りがあったり、弦楽器はまさに弓ですからね。おそらく農耕社会では実際にそういうことが起こって、今日まで人間を生き延びさせた、巨大な知恵ではなかったかと思います。なんとなくでもいいから、そのことが若い方たちに伝わるといいなと思います。武器だったものが、カルチャーの道具として、むしろ皆んなで楽しむ道具に変容していく、そんなことがかつて起こっていたかもしれないんだよ、だからこれからも起こるかもしれないと」と思いを述べている。

中高生鑑賞事業公演 「SPACeSHIPげきとも!」は、基本的に中学生・高校生を対象にしているが、席が一般販売されている公演もある。詳細は公式サイトを確認しよう。本公演は10月19・20、27日、11月3・4日、9日に静岡・静岡芸術劇場、12月7日に静岡・浜松市福祉交流センター ホール、21日に静岡・沼津市民文化センター 大ホールにて行われる。

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