虎ノ門ヒルズ
執筆者
高橋さん 「たくさんの文字で構成されていますが、足元は根っこのような造形をしています。これは、虎ノ門ヒルズに新しい文化が根づくことを願ったもの。歴史ある土地に根づき、過去と未来、現在をつなぐ存在という意味もあります。《ルーツ》というタイトルもこの根っこからきています」
春や秋には、この作品を取り囲むようにヨガイベントなども開催。夜間にはライトアップされ、また違った表情を見せてくれる。
高橋さん 「オフィスロビーの受付というさまざまな人が集まる場所ということもあり、良いエネルギーを虎ノ門ヒルズから発信してほしいという想いも込めて、この作品を依頼しました。このキラキラとした感じを保つために、定期的に清掃を行うメンテナンスも欠かせないんです」
高橋さん 「サン・クワァクさんが、今もお濠を流れる水が過去と未来、現在を繋いでいると想像し、エネルギーやアイデア、創造性を象徴するものとして、この作品を作りました。作品がガラスの壁面から天井にまではみ出すことで、動きのある空間になっています。虎ノ門だけあって少しトラの模様のようにも見えますね(笑)」
高橋さん 「こちらからは自然をイメージしたものにしたいということだけお伝えしたのですが、内海さんはこの長い通路を街路樹にみたて、方丈記で描かれている川のように、刻々と変化する季節の移ろいをイメージされて制作されました。構造上どうしても必要だったこの柱を鏡にしたのはこのエリアのインテリアデザイナーのデザインです。自分が映り込まないように作品の写真を撮るのが難しいのですが、映り込みも含めて幻想的な場所に思います」
高橋さん 「建物の構造上、入口の真ん中にある柱をどうしても外すことができず、それを活かすかたちでアーティストがその柱を柳の木の幹に、文字を枝に見立てるというアイデアを出してくれました。昼と夜、外からと内からなど、観る時間や方法によってかなり印象が変わる作品です。
高橋さん 「ロビーの宇宙的な空間と、作品の世界観との親和性が高く、想像していた以上にぴったりでした。この作品が虎ノ門の磁力を巻き込んで、エネルギーを増幅しているようにも見えます」
大場大介《M》
昨年竣工し開業したばかりの「虎ノ門ヒルズ ステーションタワー」は、建築設計事務所OMAのパートナーおよびニューヨーク事務所代表の重松象平が建築デザインを手がけており、建物も観賞ポイントだ。
その「ステーションタワー」のエレベーターホールに設置された作品がこちら。キラキラと光る作品は一見、金属製に見えるが、実際は偏光系のアクリル絵の具を使った絵画作品で、ヘラを使って一気に円を連続的に描いているのだそう。近づいてみるとヘラの跡がくっきりと見える。また、体の位置を動かして見てみると、色合いも変化していく。
高橋さん 「ここは、オフィスやTOKYO NODEなど、ステーションタワーを訪れた人誰もが通る場所。ステーションタワーの建物自体も未来的な印象もあり、絵画でありながら金属的な光沢のある大庭さんの作品が合うのではないかと考えました。意図した以上に建物の色合いとの調和が美しいです」
高橋さん 「ラリー・ベルはアメリカの西海岸を拠点に活動しているアーティストで今年84歳。いまも現役で活躍中です。同じ高さの半透明の色付きガラスを使った作品で知られていますが、今回はこの場所のためにピンク色の作品を提案してもらいました」
高橋さん 「N・S・ハルシャは南インドを拠点に世界的に活躍するアーティスト。この作品は、2017年に森美術館で『N・S・ハルシャ展:チャーミングな旅』という展覧会を開催したときに、六本木ヒルズの66プラザで展示したもので、そのまま日本に残っています。サルが指さしているのは、ステーションタワーの天辺だと思われがちなのですが、実は空。宇宙を指し示しています。」
高橋さん 「レオ・ビラリールが日本で初めて手掛けたパブリックアート。天空や宇宙を想起させる作品です。空を眺め、建物を眺め、作品を眺めてみてください。」
ジャン・ワン《Universe 29》
サン・クワァク《Untying Space_Toranomon Hills Mori Tower》
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