EXILE TETSUYA、“夢を叶える秘訣”は? 就活生600名にLDH流の働き方を講演
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「働くということは、夢を叶えることだと思って毎日活動している。辛いことや高い壁もいっぱいあるけれど、メンバーやスタッフの方々と力を合わせて乗り越えて行く楽しさが、この仕事にはある。そういう日々の研鑽の積み重ねこそが、人々に感動を与えるのだと思う」
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エンタテインメント業界の新卒採用状況に、新たな動きが生まれつつあるようだ。2月27日に開催された日本最大級のマスコミ業界就活イベント『クリ博ナビ 2020 マスコミ映像就活フェスタ』にて、エイベックス株式会社と株式会社LDH JAPANがコラボセミナーを行い、EXILE/EXILE THE SECONDのパフォーマーを務めるEXILE TETSUYAが、集まった就活生約600名に向けて「EXILE TETSUYAと楽しもう! E.P.I.(EXILE PERFORMANCE INSTITUTE)就活バージョン! EXILE TETSUYAと一緒に! ココロもカラダもオドル就活!」と題された講演を行った。TETSUYAが同イベントに登壇するのは昨年に続き2度目。芸能マネジメント事務所の所属タレントが、新卒採用のイベントで講演を行うのは異例のことだ。
株式会社エイベックスの人事総務本部人事グループに所属する小磯優太氏、小笠原未佐子氏、株式会社LDH JAPAN人事部に所属する江岸照代氏、石原萌氏のトークから幕を開けた今回の講演。自社の強みについて、「もともとがマネジメント事務所で、所属タレントとスタッフが一丸となって、ライブ、ウェディング、キッチン、アパレルと、360度にビジネスを展開している。アーティストもビジネスに関わっていて、スタッフとの距離が近いのが強みに繋がっている」(LDH JAPAN・江岸照代氏)、「LDH JAPANのような事務所と組んで、世の中にコンテンツを届ける役割を担っている。エイベックスは音楽事業のイメージが強いが、我々の場合はエンタメを軸に360度にビジネスを展開しており、例えばアニメ事業などにも取り組んでいる」(エイベックス・小磯優太氏)とそれぞれ説明した。
また、エンタテインメント業界を巡る労働環境については、「ライブは土日に開催されることが多く、アーティストも日々多忙に過ごしている。そのため、我々も休日出勤をしなければいけないことはある。これは人々を楽しませるためにあるエンタテインメント業界で仕事をする上での宿命」(LDH JAPAN・石原萌氏)、「流れが激しい業界の中で、これから入ってくる方々がパフォーマンスを発揮できるように労働環境を整えていくのも我々の仕事。ただ、体力に自信のあるタフな方の方が良い」と、業界のシビアな一面も覗かせた。
スーツ姿のTETSUYAが登壇すると、会場は大きな拍手に包まれる。就活生に向けて挨拶をした後、EXILEのメンバーがそれぞれ個人で幅広い活動を行なっていることを説明。LDH JAPANの「360度ビジネス」について、自身の具体的な活動を例に伝えていく。TETSUYAは現在、EXILE、EXILE THE SECOND、DANCEARTHという3つのグループにおけるパフォーマーとしての活動のほかに、ダンスの持つ可能性を学術的な視点から研究する「EXILE パフォーマンス研究所(E.P.I.)」、ダンスを通じて被災地への復興支援を行う「Rising Sun Project」、そして自らプロデュースするコーヒー専門店「AMAZING COFFEE」という6つの「works」を行なっているという。
そんなTETSUYAの活動の根幹にあるのは、19歳の頃から継続しているダンスだ。EXILEのパフォーマーとして、長らくダンスに取り組んできたTETSUYAは現在、自身の中で「ダンス=エンタテインメント」「ダンス=研究」「ダンス=スポーツ」「ダンス=教育」「ダンス=社会貢献」「ダンス=チャレンジ」と定義付けているという。例えば、「ダンス=研究」という定義については、「EXILE パフォーマンス研究所(E.P.I.)」の活動を例にあげて、「ドームでのライブなどで、より席の遠いお客さんにどうやってダンスを伝えていくかを考えるために、トレーニング、睡眠、食事など様々な観点からダンスを見直している。研究の一例として、ライブパフォーマンス時の心拍計測を行い、そのデータをもとに水分補給などのタイミングを考えたりしている」と説明した。
「ダンス=社会貢献」という定義については、東日本大震災以降、EXILEメンバーが継続して取り組んでいる社会貢献活動「Rising Sun Project」を紹介。「Rising Sun Project」は、災害被災地の子供達に復興支援曲「Rising Sun」の振り付けを教え、一緒に踊ることで日本を元気にしていこうとするプロジェクト。今年のEXILEのドームツアーでは、岩手県釜石市立釜石東中学校の生徒たちがステージに立って踊るなどの成果も見られた。TETSUYAは、「ダンスを使っていかに社会に貢献できるかを考えた結果、こうしたプロジェクトに結びついた。これからも継続していきたい」と述べた。
一聴するとダンスに関連していないように感じるコーヒー店のプロデュースについても、「趣味で毎日、自分で淹れたコーヒーをスタッフさんに配っていたら、ある日『いつも本当にありがとう』とすごく感謝されたことがあった。その『ありがとう』の価値は、ドームでライブをしてお客さんがかけてくれるものと同じだと気付いた。人から『ありがとう』と言ってもらうには、おもてなしの心が大切で、そこで自分の中でダンスとコーヒーが繋がった」と語った。
こうした幅広い活動について、TETSUYAは「6つの仕事というより、6つの夢という感覚。働くことは、夢を叶えることだと考えて毎日を過ごしている。辛いことや高い壁もたくさんあるけれど、メンバーやスタッフと支え合いながら、それを乗り越えていくことを楽しんでいる。それが感動につながる」と力説。「自分自身のことをよく知り、ブレずに継続していくことこそが夢を叶える秘訣。今日ここで会った皆さんと、一緒に働くことができたらとても素敵なことだと思います」と、就活生たちにエールを送った。
講演の最後には、EXILEの楽曲「Choo Choo TRAIN」と「Ki・mi・ni・mu・chu」に合わせて、就活生たちと一緒にダンスするコーナーも。リズムに合わせて体を動かすことで、就活生の間に自然と笑顔が広がった。また、質疑応答のコーナーでは、就活生からの「どんなスタッフと一緒に働きたいか」という質問に対し、「夢を共有して、共感ができる人。相手の夢を聞いて、それを応援するという相乗効果でLDHは大きくなっていった」と回答。物事を継続する秘訣については、「わがままになるとか、周囲に迷惑をかけるということではなく、みんなに共感してもらいながら、自分の心の声に正直になるのが一番大事」と語った。
記者陣から、今回のイベントの手応えについて聞かれたTETSUYAは、「最後にみんなと一緒に踊れたのは良い時間だった。あれほど多くの人々がいるにも関わらず、積極的に質問していただいて、学生さんたちが自分の将来を真剣に考えていることが伝わり、僕自身も背筋が伸びる思いだった」と笑顔を浮かべた。
LDH JAPANは2017年、組織体制を大きく変えて分社化し、エンタテインメントでの世界展開を目指してきた。そうした取り組みを通して、人事や労務環境への意識が高まった結果として、今回のようなイベントも行うようになったのだろう。企業理念として掲げる「Love, Dream, Happiness」は、ファンはもちろんのこと、所属アーティストやスタッフ、これからエンタテインメント業界を目指す人々にも向けられているということが、集まった就活生たちの輝く目が物語っていた。なお、LDH JAPANは現在、公式サイトなどで2020年度新卒採用募集を行なっている。(松田広宣)