King & Princeは“王子様”のまま“王”になる 「君を待ってる」を軸に1年の成長を振り返る
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King & Princeが、今夜の『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)に出演し、4月3日に発売される最新曲「君を待ってる」を披露する。1stシングル『シンデレラガール』、2ndシングル『Memorial』と、グループ名を象徴するような王子様感あふれるキラキラソングが続いてきたKing & Prince。そんな彼らにとって「君を待ってる」は、グループ初のエールソングとなる。
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今、King & Princeがエールソングを歌うということ。それは見方によって、様々な意味を持つかもしれない。パニック障害を告白し、現在療養中の岩橋玄樹を想う人にとっては真っ先に、その復帰を“待ってる”に繋がることだろう。また、新しい自分になろうと、もがく人にとっては、努力の先に微笑む未来の自分が“待ってる”はずだと、背中を押されたような気持ちになるかもしれない。あるいは、10年前に思い描いていた自分になれているのかと、ハッとさせられる大人もいるのではないだろうか。
もしかしたらKing & Princeにとっては、そのどれにも当てはまるのかもしれない。岩橋が笑って戻ってくる日を待ち望んでいるのは、他ならぬ彼ら自身だ。そして、岩橋と共に最高のパフォーマンスを披露する日を夢見て、自分たちがもっと大きくならなければと、もがきながら走り続けているはず。彼らがデビューしたのは昨年だが、ジャニーズ事務所に入ったのは最年長の岸優太で約10年前、メンバーの中で最もジャニーズJr.期間が短かった高橋海人でも約5年前。“かつて夢見た自分になれているか”と問いかけるには、充分な時間と経験値だろう。CDデビューという大きな山に登ったからといって、それで終わりではない。10年後のKing & Princeに期待する、すべての人が彼らの成長を“待ってる”とも言えそうだ。
デビューから約1年。King & Princeの魅力は、少し変化してきた。キラキラの愛され王子様という顔だけではなく、その奥にいつか王となる気概がある。その片鱗を示し始めているように感じるのだ。雑誌『WiNK UP』(2019年4月号)では、単独で表紙を飾った高橋が「今の自分に足りないものは?」という問いに対して「余裕がない」と答え、さらに「King & Princeに足りないもの」に「経験」とも。ふわふわとした笑顔で、みんなの弟キャラだった高橋が、いつの間にかこんなにも俯瞰で物事を見ているというギャップ。『逃走中』(フジテレビ系)では、身体能力の高さと同時に肉体的なたくましさを感じ、『坂上どうぶつ王国』(フジテレビ系)では、ロケ先で足元が不安定な女性出演者をさり気なくサポートするジェントルマンな仕草も。
一方、共演したビートたけしも思わず吹き出すほどの天然キャラで、すっかりバラエティでも人気を獲得した平野紫耀だが、神宮寺勇太から「抜けてそうに見えてちゃんと頑張ってる。仕事に対しての熱がすごい」と素顔を明かされる。平野も高橋と同様、どこか放っておけない母性をくすぐるタイプに見えるが、練習を重ねるのは「見に来てくれる人のためでもあるけど、自分のためでもあるからね」とクールな返しが印象的だった。言われたことをただこなすのではなく、自分のパフォーマンスとして恥ずかしいものは見せられない、というプライド。そのために気になることがあれば、自分から意見を出すことも惜しまないという、芯の強さがにじみ出ていた。
そんな平野の本質を見極めた神宮寺は、メンバーから「今一番メンバーで落ち着いている」と評される。これまではKing & Princeの中でも、躊躇なく甘いセリフと共に投げキスやウインクを振りまき、ちょっぴりチャラいキャラクターで親しまれてきた神宮寺。しかし、不安定な時期の岩橋を、黙ってそばで支えてきた器の大きさが“見つかってしまった”ようだ。本人は「感情を出すのがヘタ」だと分析し、弱音も小声だからクールに見えるのかもしれないと言うが、それも含めて大人になったように感じる。その上で、メンバーから相談されたら「自分ができることなら助けてあげたい」と情に厚い性格はずっとブレない。
そして、落ち着いた神宮寺から見て「中身がグイグイ系で変わってない」と言われたのは永瀬廉。関西ジャニーズJr.出身の彼は、近況に関ジャニ∞の大倉忠義とご飯に行った話を出す。自分から先輩に相談しにいく人懐っこさは、成長に欠かせない。高橋曰く「最近の廉は大人になりすぎちゃった」そうで、子どもらしい小競り合いをしなくなったという。グループ内の関係性、信頼感があるからこそ、外に目が向くもの。きっと永瀬が大倉に相談して得たものは、グループに還元されていくに違いない。もしかしたら、今週『ZIP!』(日本テレビ系)の「DESHIIRI」で永瀬が見せた“喜怒哀楽”の即興演技が爆笑ものだったのは、そのときのアドバイスから何か得たからかも? 感情を解放し、一気にボルテージを上げて“怒り”を表すのに、永瀬がドスの利いた関西弁でまくしたてるのだ。そして、一緒に挑んだ岸がタジタジになる微笑ましいオチもさすがだ。
そう、岸はいつもメンバーがイジる隙がある。うまくいった喜びも、ミスをした落ち込みも、常に全力な岸。そんな何事も手を抜かない岸を知っているからこそ、他のメンバーがさらに輪をかけて全力を見せるし、逆に思いきりスルーすれば、自然と岸の必死さが浮いて見え、イジられてしまうという、おいしい展開になる。その絶妙な掛け合いは、デビュー披露会見のころにはすでに仕上がっていたが、この1年でメンバーが大人になってきたことにより、さらにメリハリができたように思う。この団体芸はきっとこの先も熟成されていくはずだ。
王子様として愛される魅力はそのままに、王にふさわしい品格と大きな懐を身につけていくKing & Prince。明日がどうなるかは誰にもわからないけれど、きっと彼らが見据える未来には、ファンの夢が目標となって掲げられているはずだ。だから、今夜の放送ではKing & Princeのエールソングに耳を傾けながら、彼ら自身にエールを送りたい。(文=佐藤結衣)
※高橋海人の「高」はハシゴダカが正式表記。