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自分たちでしかできない世界を広げたい 山崎大輝×小野塚勇人『ストーリー・オブ・マイ・ライフ』初共演への道

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左から)山崎大輝、小野塚勇人 (撮影:渡邊明音)

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人気小説家のトーマス(牧島輝/小野塚勇人)と、突然この世を去った幼なじみのアルヴィン(太田基裕/山崎大輝)。故郷に帰ってきたトーマスの前に亡くなったはずのアルヴィンが現れ、トーマスは自身の心の奥にある“物語”と向き合うことになる。繊細な彼らの心模様と関係性をそれにふさわしい流麗な楽曲で紡ぎ出し、2009年にブロードウェイ初演されて以来、多くの人を魅了してきた『ストーリー・オブ・マイ・ライフ』。2019年の日本初演、2021年の再演に続く、3度目となる今回。前回好評を博した太田・牧島コンビに加え、新たに山崎・小野塚コンビがデビューを飾る。彼らが吹き込むフレッシュな息吹が、楽しみでならない。歌稽古真っただ中で試行錯誤中のふたりに話を聞いた。

素敵な楽曲だけれど、トラップになるようなギミックが……

――歌稽古が進んでいるところだと伺っていますが(取材は9月末)、この作品の楽曲はすごく綺麗だけれどもお芝居として歌うにはかなり難易度が高い印象です。今現在の手ごたえはいかがですか?

小野塚 ……誰か、もうちょっと簡単にしてくれないかな(苦笑)。覚えてるのに覚えてないというか、頭に入れたつもりだったけど実は全然入ってないじゃないか、って自信をなくしてるところです。

山崎 本当に素敵な楽曲で、以前の公演の映像を見ると「全部うまくいったらこういう風になるんだ、自分たちも新しいものを創っていきたい」って思うんです。でも、いざ楽譜を見るとギミックというか、仕掛け、トラップがいっぱいあって。

小野塚 本当に、すごいんだよね。

山崎 一筋縄ではいきません。

――それはメロディーラインとか、言葉とメロディーの兼ね合いとかいったことでしょうか。

山崎 それです。例えば4/4拍子が基本ですけど、突然6/8拍子や3/8拍子を挟んだりして音がとりづらい。しかも、英語の歌詞を日本語に訳した時にイントネーションが真逆になってたりもする。そういったなかで、どれだけ日本語として皆さんにお届けできるのか。もしお客様に「違和感あるな」って思われちゃったら、それは僕たちに足りない部分があったということだから、すごく難しいなって思います。

小野塚 ひたすらやるしかないんですけど、言葉が自分の中に入ってこなくて苦労してます。言語が違うと、こんなにリズムのとり方も難しくなるなんて。素敵な楽曲なんですけどね。音程が合っていることも大事ですけど、芝居として言葉を、演技をしっかりと歌にのせなきゃいけない。そもそも役を演じるわけだから、自分の場合はトーマスが言った言葉として聞こえるところまでいかなきゃいけない。だから早くその段階にたどり着かなきゃって思ってます。

――当分、試行錯誤が続きそうですね。

小野塚 そうなんですよ。しかもこの作品の楽曲は、まず分量が多くて38曲もあるし、リプライズがすごく多くて、基本的なメロディーラインは同じでも所々で微妙に違うフレーズが何回も出てくる。

山崎 トーマスとアルヴィン、それぞれにモチーフになっているフレーズがあって。トーマスの気持ちを表現している楽曲の中に突然アルヴィンのモチーフが入ってくる、なんてこともあるんです。そういう時はキーが全然違うところにいきなり飛び込んでいくような形だから、技術的にもなかなか難しいものがあって。

小野塚 応酬の激しい場面では、三連符がめっちゃ多いよね。

山崎 かと思えば、急にそれがなくなったりもして。

小野塚 これを涼しい顔でやってのけていた歴代の先輩方、マジでリスペクトします。

トーマスには共感することだらけ(小野塚)

――レベルの高い挑戦ですね。ところで、自分の演じる役柄の魅力はどういうところにあると思いますか?

山崎 アルヴィンは独創的な世界をもっていて、いくつになっても子どものように目を輝かせながら物事を見つめている。純粋な心で憧れの世界に入っていく姿はとても魅力的に映るし、物に思い出が残っているとか、もう会えない人に対しての思いのもち方とかには、僕自身も共感します。

小野塚 僕も、トーマスには共感することだらけです。トーマスは“天才に憧れてる凡人” で、アルヴィンは特に何かを成し遂げてる人ではないけど、天才肌というか、こんな自由な生き方ができたらいいんだろうなっていう憧れがある。とはいっても実は嫉妬もしているし、でも親友だし。自分の一番身近な存在が一番まぶしくもあり、一番腹立たしくなる、家族のような存在。家族って喧嘩してもやっぱり大事だし、いなかったら嫌じゃないですか。

――切るに切れない絆がありますよね。

小野塚 トーマスにとってのアルヴィンもそれと同じような関係性で、見えないところで結ばれていて恋人ではないけど共依存しているような、お互いに補填し合っているような感じ。そんな絶妙に保たれていたふたりの関係が、大人になるにつれてバランスがとれなくなってしまったっていうことじゃないか、とかいろいろな見方もできます。後半の展開についてふれるのは難しいけど、トーマスとしてはずっと世間体ばかり気にしていたのに、ちゃんとアルヴィンとの物語を思い出しながら語れるようになるっていう、ひとつの成長物語、人間ドラマがそこにあるんじゃないかと思います。

――そういう意味では、トーマスを通して見る要素の強い物語にも思えますね。

小野塚 お客さんは完全にトーマスの主観で物語に入ると思います。最初、アルヴィンって妖精というか、自分の頭の中にいる記憶の中の存在で、本を書く時とかに自分が理想とするキャラクターを自由に操るようなものなのかと思ったんですよ。でも実在する人物だったし、トーマスは身近にそういう人がいたおかげでベストセラー作家にまでなれた。たぶん、アルヴィンがいなかったらそもそも作家も目指してなかったでしょうね。

――そういうトーマスと、小野塚さん自身は重なりますか?

小野塚 トーマスはすごく人間くさくて、真面目でいいヤツだと思います。力の抜き方がわからなくて、ストイックな人ほど壊れやすいというか崩れやすいのは、自分もそういう経験があるし、周りの人でも見てきていたりする。認められたいっていう欲、貪欲な承認欲求も含めて、共感できますね。

自分たちふたりでしかできない世界を広げていくように

――出演者がふたりだけのミュージカルであることについてはどうですか? やっぱり出演者の多い作品とふたりだけの作品とでは、いろいろと違うところがありそうです。

山崎 キャストの人数が多いミュージカルにも出演させてもらっていますし、二人芝居も『スリル・ミー』で経験しました。ふたりの場合、自分たちだけですべてを創っていくので、すごく細かいところまで詰めていけます。言葉にしてもいいし、しなくてもいいですけど、この辺りに落とし込みたいんだなとか、どういうところを大事に表現するかとか、そっちよりこっち気味のほうが好きなんだなとか、こっちの方がやりたいのかもとか、自然とすり合わせができていく。細かいところまで、いろいろなさじ加減がしやすいような気がします。

――阿吽の呼吸のようなことでしょうか。

山崎 お客様の見る目も、やっぱり違ってきますよね。舞台上に3~4人いたらさすがに全員を細かく見るのは難しいけど、ふたりしかいないので視線も集中する。そのお客様の集中力を逃さないように、むしろそれも使って創り上げていきたいと思うんです。

小野塚 これは当たり前のことでしょうけど、ふたりだけしかいないし楽曲も多いし、めちゃくちゃ大変だけど、セリフに追われたり楽曲に追われたりして芝居をすることは絶対にしたくない。早くこの作品の良さをつかんで、それを自分たちふたりでしかできない世界で広げていく。そこまで早く到達したいと思っています。

――あらためて、おふたりはこの作品のストーリーの素晴らしさはどのように感じていますか。

山崎 僕は、この作品はファンタジーな部分が多々ありますけど、すごく身近な話だと思うんです。台本を読む限りで伝わってくるメッセージは、誰にでもあること。本当に何げない日常を切り取っているので、空気感もすごくリアルでいいんですよね。あと、場面もパンパン変わって結構早めのテンポで進んでいく会話劇だと感じるので、テンポ感も大事。偉そうな言い方に聞こえてしまうかもしれませんが、楽曲の使い方もすごく効果的です。ふたりの過ごしてきた時間だとか、あまり口には出さなかったような弱い部分、ウィークポイントも少しこぼれ出てしまったりするようなことも表現されている。今回3度目の上演がされるくらいにお客様に求められていることが腑に落ちる、魅力的な作品だと思いました。

小野塚 トーマスとアルヴィンは「友情」っていう言葉では言い表せない、言語化できないような関係性だ、というのが僕は一番しっくりくる。その関係がすごく伝わってくるし、楽曲は38曲あるけど、そんなに曲が多いと感じさせないような濃い内容です。しかもその歌一つひとつが印象に残る。本当に細かくギミックがある楽曲なので、歌いこなすのは本当に難しいけど、その一音一音に意味があるし、それを大切にしながら僕たちも演じていく。そこが魅力かなって思います。

――「追いかけていたのは、君じゃなくて僕だった」というコピーも印象的ですね。

小野塚 トーマスの視点からの言葉ですね。最初はアルヴィンがトーマスに依存してるように見えるけど、それが後半に逆転してトーマスがアルヴィンに依存していたんだっていうことがわかる。それが最大の面白さかなと思います。

いきいきしてそうで大好き。隣にいて気持ち良いです(山崎)

――ふたりの関係性の変化は興味深いですね。そして今回相棒であるおふたりですが、相前後した時期に特撮ヒーロー作品に出演されていたので(山崎さんは『宇宙戦隊キュウレンジャー』、小野塚さんは『仮面ライダーエグゼイド』)、当時から面識はあったと思います。あらためてお互いを役者として見て、思うことは?

山崎 今はまだ歌稽古なり何なりのために集まってるだけで、くだけた話はできてませんけど、この受け答えの押し引きというか。

小野塚 適当な感じ(笑)?

山崎 いやいや! 自分はこうはなれないですけど、こういう生き方いいなあって思う。

小野塚 本当に?

山崎 本当。今日もいきいきしてそうって思えて大好きだし、隣にいて気持ち良いです。

小野塚 いきいきしてるように見えてるなら正解だ(照笑)。

――小野塚さんから見た山崎さんは?

小野塚 『キュウレンジャー』の時は見た目通り(山崎さんが演じたヘビツカイシルバー/ナーガ・レイは銀髪の宇宙人)、もっと突拍子もない人なのかなと思ってたんですよ。役柄がはまってたから、気質もそんな感じなのかって。でも実際に接してみると、意外とちゃんと空気を読むというか、率先して作品のことも話してくれるし、バランス感覚のある面倒見がいい方なのかなと思って。だったらいろいろとお任せしちゃって、自分としてはおんぶに抱っこで上手くいくなと。要は、隙あらば楽しようっていうことなんだけど(笑)。

山崎 まあ、まあ(笑)。

――いろいろな意味で、千秋楽を迎える頃にこのコンビがどうなっているのか楽しみです。

小野塚 本当にね、どうなってるんだろう。

山崎 同じこと言っちゃいますけど、本当どうなってるんだろう。

小野塚 速攻リプライズしたな(微笑)。いや、がんばっていい作品にします。

――締めくくりのメッセージを……と思ったら、期せずして言ってくれましたね。

山崎 さっきも言いましたが本当に身近な物語で、しかも楽曲も良い、ハートフルな作品です。当たり前すぎて気づかなかったもの、失ってみないと気づかないことを今一度思い起こさせてくれます。観に来てくださった方たちにとっても「自分はもしかしたらここが足りないかも」とか、いろいろな見方ができるんじゃないでしょうか。アルヴィンのように父である先代の力を借りて良いストーリーを持ってきた、と思っていただけるように全力で努めますので、ぜひ皆さんに観ていただきたいと思います。

美しい音楽で彩られたふたつの魂の物語は、11月5日(火)~15日(金)、東京・よみうり大手町ホールにて。その後、11月22日(金)~23日(土・祝)、大阪・サンケイホールブリーゼにて上演。

取材・文:金井まゆみ 撮影:渡邊明音
ヘアメイク(山崎・小野塚共通):北一騎
スタイリスト:(山崎:内田考昭 (A-T) / (小野塚)大川好一
衣裳(山崎):ジャケット ¥57,200・パンツ ¥39,600 共にCULLNI(クルニ) 問合せ先:Sian PR TEL 03-6662-5525

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<公演情報>
ミュージカル『ストーリー・オブ・マイ・ライフ』

作詞・作曲:ニール・バートラム
脚本:ブライアン・ヒル
演出:高橋正徳(文学座)

出演:
アルヴィン 太田基裕
トーマス 牧島 輝

アルヴィン 山崎大輝
トーマス 小野塚勇人

【東京公演】
2024年11月5日(火)~11月15日(金)
会場:よみうり大手町ホール

【大阪公演】
2024年11月22日(金)・23日(土・祝)
会場:サンケイホールブリーゼ

チケット情報:
https://w.pia.jp/t/soml2024/

公式サイト:
https://horipro-stage.jp/stage/soml2024/

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