明日の活力をもらえる公演に 『あなたとセルフラブ』春風弥里×ドリアン・ロロブリジーダ インタビュー
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宝塚×ドラァグクイーン×スーパーシンガーによる一夜限りのスペシャルLIVEショー『あなたとセルフラブ』
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すべて見る元宝塚男役スター・春風弥里による宝塚×ドラァグクイーン×スーパーシンガーによる一夜限りのスペシャルLIVEショー「あなたとセルフラブ」が、2024年11月9日(土)、I'M A SHOWで上演される。
元宝塚歌劇団の春風弥里、初姫さあや、シンガーのMARU、ドラァグクイーンのドリアン・ロロブリジーダと、様々なジャンルで活躍するエンターテイナーが集まって「セルフラブ」をテーマに作り上げる本公演。
春風弥里とドリアン・ロロブリジーダに、企画に対する思いや公演の見どころなどを伺った。
目指すのはモヤモヤを晴らせるショー
――まずは公演を企画した経緯やテーマについてお伺いしたいです。
春風 この企画を通して、苦しんだり悩んだりモヤモヤを抱えている方が1人でも笑顔になっていただけたらと思っています。私自身うじうじするタイプですが、みなさんの中にも顕在化していないモヤモヤを抱えている方は多いと思います。自分を受け入れられず1歩踏み出せないでいた時に、ドリアンさんが発信している「私は私がやりたいことをするの、あなたはあなたのままで充分素敵!」というメッセージに出会って背中を押してもらえたんです。ちょうど「I'M A SHOW」でなにかやらないかというお話をいただいていたこともあり、ドリアンさんとなら苦しんでいる人・悩んでいる人を笑顔にできると確信しました。面識はありませんでしたが猛アタックし、企画がスタートしたという流れです。
――猛アタックを受けたドリアンさんはいかがでしたか?
ドリアン 私は好きなことをしているだけですが、すごく熱意のあるオファーをいただきました。「普段通りやることしかできないけれど、それでも良ければ」とお返事したら快諾していただけて、ご一緒することになりました。
春風 自分を愛する気持ちは、誰もが持っていると思います。でも、それを原動力にするのは自分の力だけじゃ難しい時もある。そこで1歩踏み出すパワーをくれるのがエンタメだと思います。ドリアンさんは歌での表現にもすごく長けていて、特に愛の歌を歌う時が素晴らしい。お客様にそのエネルギーを受け取ってもらい、明日を頑張るパワーに変えてもらえたらと思っています。
――改めて、春風さんから見たドリアンさんの魅力、ドリアンさんから見た演者・プロデューサーとしての春風さんの印象を教えてください。
春風 私はまだプロデューサー見習いですが、「お客様に伝えるためにこの方とやりたい」と思った自分の目を信じています。ファンとしてもドリアンさんは素晴らしいパフォーマーだと感じますし、すごく繊細な感性と表現力を持っている方だと思うので、舞台人として勉強させていただきたいと思っています。
ドリアン 弥里さんは自分に自信がないとおっしゃいますが、私にオファーをくださった時のエネルギーはすごかった。あのパワーがあればなんでもできると思うので、そこは心配していません。あとは舞台人・春風弥里をまだちゃんと目の当たりにしていないので、体感できるのがとても楽しみです。
異種格闘技のような公演になるはず
――お話できる範囲で、見どころをお聞きしたいです。
春風 1幕はお芝居仕立ての導入になっています。とあるお店に集まった個性豊かな人々との出会い、力のある歌や愛の溢れたパフォーマンスによって自信のない「私」がどう変化していくのか。
2幕は個性のぶつかり合い。ジャンルを超えて、ミュージカルナンバーや宝塚の楽曲、ドリアンさんのソロナンバー、みんなのコーラスなどを披露します。異種格闘技のような感じですが、ジャンルが違うからこそ本当に純粋なキラっとしたものが見えてくると思います。
ドリアン おっしゃった通り異種格闘技です。それぞれが自分のフィールドのパフォーマンスを届けつつ、違う場所で活躍している方とご一緒することで、1人では出せない世界観を作れたり、新たなケミストリーを生み出せたりするんじゃないかと思っています。
――今回ご一緒される初姫さん、MARUさんや構成・演出の岡本寛子さん、ピアノの伊藤辰哉さんの印象もお聞きしたいです。
春風 岡本さんはお客様と近い距離で上演するリビングルームミュージカルをずっと作ってきた方。客席と対話するような構成が上手なので、すっと世界観に入っていけると思います。ピアニストの伊藤さんは楽曲のアレンジや演奏も素晴らしいですが、トークの時などに即興で弾いてくださる音楽も素晴らしいです。
MARUさんは今のうちに一緒にやっておかないと世界に飛んでいってしまうんじゃないかと思うくらいの歌姫。普段から英語を話されていることもあり、ジャズなどを歌うときも魂の入り方が違います。初姫さんはとにかく歌がお上手ですし、とても地に足のついた方。いろいろなものを俯瞰で見つつ存在感を放っているのを現役時代から尊敬・信頼しています。 みなさん愛に満ち溢れていますし、お客様に「セルフラブ」に関するメッセージを届ける上でもこのメンバーがいいなと思いました。
――ドリアンさんは、みなさんとご一緒してみていかがでしょう。
ドリアン 先日のリハーサルで、さあやさんはいい感じのサバサバ姉さんだなと(笑)。MARUさんもとってもパワフルでした。舞台上での歌声も聞き、ご一緒するのがすごく楽しみになりました。伊藤さんはすごく柔らかい方。いろいろなエッセンスを取り込める懐の大きさがあって、それを音楽的な技術やセンスでパワーアップさせることに長けていると感じます。
そんなアクの強い面々を上手いことまとめているのが岡本さん。いろいろなアイデアを柔軟に聞いて演出に取り入れてくださいます。柔軟性と懐の広さ、それでいて芯の強さも感じるのですごく楽しみですね。
弥里さんは一生懸命。私はまだオフの弥里さんにしかお会いしたことがないんですが、さあやさんから「弥里が男役でステージに立ったらすごいよ」と言われたので、本番がすごく楽しみです。
難しく考えず、気軽に足を運んでほしい
――「セルフラブ」というテーマにちなんで、お二人のパワーの源、ごきげんに過ごすためのコツなどがあったら教えてください。
春風 最近は「まあいっか」という精神を大事にしています。ちょっとマニアックですが、私はある場面を歌もセリフも全部1人で演じるとすごく満足します。だから1人の時間がすごく大事。どっぷりと世界に浸って何かを表現することを大切にしています。
ドリアン 基本的にご機嫌なほうですが、「これ楽しい!」と思うのは1人でスタジオにこもって練習に没頭する時間です。あっという間に2、3時間過ぎるんですが、会心のテイクが取れるとすごく楽しい。ストレス解消にもなるしステージへの準備にもなるし、すごくいい習慣だと思っています。モヤモヤした時はスタジオでソロリハーサルをしますね。誰にも邪魔されず好きなことに向き合う時間を設けられているということなので、やっぱり好きなことをやるのが大切だと思います。
――「異種格闘技」というお話が出たように、様々なルーツやジャンルの方が集まっています。初めてのジャンルに触れる方に向けて、アドバイスがあったら教えてください。
春風 どの曲にも素敵な歌詞とメロディーがついています。来てくださる方はみなさん音楽が好きだと思います。もちろんぼーっと聞いていただくのもOKですが、少し感情を入れて聞いていただけると、今回はすごく入りやすいです。キャストのパフォーマンスからエナジーを受け取るのが得意な方が多いと思うので、いろいろなものを受け取ってウォーミングアップしておいていただけたら。
ドリアン 何かの曲やジャンルを聞き込む必要はないと思います。そのための異種格闘技で、初めて他のジャンルに触れる方も楽しめる内容になっているはず。「元気になりに行くぞ」という心持ちさえあればいいと思いますね。
――最後に、楽しみにしているみなさんへのメッセージをお願いします。
春風 生きていると「なんだかうまくいかない」「私なんてダメだ」と感じることもあると思います。でも、ここに来たら心が晴れやかになって、自分や周りの人を愛し、人生が少しハッピーになる。そんな舞台をお届けしたいと思います。ぜひ楽しみにしていてください。
ドリアン 「セルフラブ」という言葉だけ聞くと身構えてしまう方も多いと思いますが、「好きなことを楽しそうにやっている人たちは、こんなにいいエネルギーを発しているんだ」と感じられる場になると思います。もちろん、ただ好きなことをやっているだけじゃなく、お客様を楽しませられるクオリティのエンターテインメントをお見せできるはず。帰り道でちょっと背筋が伸びたり目線が上に向いたりするステージをお届けしたいと思っていますので、お気軽に足をお運びください。
取材・文:吉田沙奈
<公演情報>
宝塚×ドラァグクイーン×スーパーシンガーによる一夜限りのスペシャルLIVEショー『あなたとセルフラブ』
公演日程:2024年11月9日(土)
会場:I'M A SHOW
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