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タクフェス第12弾『夕-ゆう-』開幕! ゲネプロの模様をレポート

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タクフェス第12弾『夕 -ゆう-』

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本日よりサンシャイン劇場にて幕が上がるタクフェス第12弾『夕 -ゆう-』。その公開ゲネプロが10月31日に行われた。

タクフェスは演出家・脚本家、俳優として活躍をする宅間孝行によるエンターテイメントプロジェクト。2013年に第1弾を上演し、今回が第12弾となる。中でも『夕 -ゆう-』はタクフェスでも人気の作品で、今回、10年ぶりの再演となる。タクフェスファン待望の作品のゲネプロ、また、併せて行われた開幕直前取材の模様をレポートする。

『夕 -ゆう-』の舞台となるのは長崎のとある町にある海の家兼民宿「あいかわ」。時代は1980年代。「あいかわ」には「長崎のキングギドラ」と呼ばれるヤンキー兄弟・相川欣弥、元弥、雅弥の3人が住んでいた。

メインとなってくるのは、夕と元弥。古屋敬多(Lead)演じる次男の元弥は底抜けにおバカだけど、底抜けに明るくて熱い男だ。そんな元弥に想いを寄せるのが、矢島舞美演じる三上夕。幼なじみ故に夕は素直に想いを伝えられない。

おまけに、元弥は夕の親友・高橋薫(中村静香)に片思い中。そしてその薫は元弥の親友・塩谷憲太郎(松本幸大)に恋をしていて……となかなかに複雑な関係だ。

ゲネプロは、宅間らによる前説でスタート。ゲネプロながらも、トークと拍手でしっかりと盛り上げていく。そしていよいよ、海の家兼民宿の「あいかわ」で展開される物語の中へと誘われていく。

時は2003年。大人になった夕が久しぶりに「あいかわ」へと戻ってきていた。そこに元弥が現れ、夕は「もっちゃん!」と表情をパッと明るくする。久しぶりに会ったふたりは思い出話に花を咲かせる。

そんな思い出話を辿るように時は戻る。ふたりが学生だったころ、1980年代。ボディコン、DCブランド、おニャン子クラブなど時代を象徴するものがいくつもあるが、舞台中でもそういったワードが多く登場する。

大事にしていたカセットテープに、兄弟が違う音を上書きしてしまってケンカになる……なんていうのは、同じ時期に青春を過ごした人にとっては懐かしい光景だろう。逆に、若い世代には新鮮に映るはず。そんな要素がたっぷりと散りばめられているのも注目ポイントのひとつ。

物語は夕たちが大人になっていく過程と日常を丁寧に描いていく。なんと言っても全編長崎弁のもポイントのひとつ。耳が慣れてくるとなんともその音が心地よい。恋に友情に、と甘酸っぱい青春が描かれるが、大人になっていくにつれて、その想いはますます苦しいものになる。特に夕は思いを伝えたくても、いつまで経っても元弥に素直になれない。自分は妹のようにしか思われていないから……それは幼なじみという距離の近さ故に生まれる特別感とやるせなさ。夕の想いは一体、どうなるのか……。

まさに笑いあり、涙あり、エンディングには出演者全員でのダンスタイムあり、と約2時間半の上演時間をたっぷりと楽しませてくれる。

ゲネプロ終了後の取材会には宅間孝行、矢島舞美、古屋敬多を始め、藤田朋子、松本幸大、中村静香、薫と夕の友人・信子役の三戸なつめ、夕の父親・操役の浜谷健司が登壇した。

最初の挨拶では、古屋が一瞬、自身の役名を忘れたような様子を見せ、早速、浜谷から「役に愛がないなあ!」と突っ込まれる場面も。藤田は「宅間さんがあまりお稽古に出ることがないので暗闇の中でお父ちゃんを感じながら夫婦なんだなあ、と思いました」とゲネプロならではの空気感を懐古。「最年長ですが、若い人たちに混じって頑張りたいと思います」と語った。

三戸は「今日はワクワク感が増しながら感じていました」と初日を控え、劇場の空間を楽しんでいる様子。「みんなで体調管理しっかりして、一公演、一公演、レベルアップできるようにみんなで頑張って最後まで突っ走りたいと思います」。

前作を越える、と意気込みを語っていた矢島は、ゲネプロを終えて今の自分の中の出来栄えを何点か問われ、「今日は今日のベストを尽くしました、みんな」と回答。しかし、ここですかさず宅間から「でも今日は大事なところを結構飛ばしてますよね」とツッコまれ、「それは言わないでください!」と慌てる場面も。

前回、夕を演じたのは内山理名。宅間が「内山理名と比べて自分はどうなんですか」と質問すると「意地悪ですね……」と苦笑いを浮かべたあと、「(内山を)越えます!」と宣言した。

劇中では親友役を演じていた古屋と松本。なかなか見る機会がないふたりの初共演について「素晴らしいことですよね」と宅間。松本も「未来に向かって、いい意味で変化していってるなって」と頷く。また、「『夕』で共演できたことが大きい。隣で踊っているのも嬉しいですしね」と顔を綻ばせた。

また、劇場での稽古期間に入ってからふたりきりで初めてそばを食べに行ったそう。ギリギリまで稽古しての帰り道で一緒になったそうで蕎麦屋に寄って帰ったとのこと。これに浜谷は「俺たちともサイゼリアに行ってくれないの!? 何回も言ってるのに」と拗ねたような表情を見せた。

古屋と松本の共通点のひとつといえばダンスだが、古屋から宅間に向かって「ダンスを頑張られている……」と言葉が向けられた。宅間や浜谷は苦労したそうで、ダンスの際は「しーちゃん(中村)に目線で立ち位置を教えられていた」と宅間。特に今回はダンスが得意なメンバーが揃っていることもあり、「史上最速の振り入れの速さだった」と宅間。「このときだけヒエラルキーが逆転する」苦笑いを浮かべた。

一方、浜谷に「自分たちのダンスが100だとしたら、今日のダンスはどれぐらいのダンスなんですか」と聞かれた松本は「みんなが楽しいんなら良いんじゃないですか」と答えたが、「そういうんじゃないんだよ! 慰めはいらないんだよ!」と浜谷。

これに「でも本当の心で言うと前から見て直したい。位置とか気になっちゃうんですよ」と松本。宅間からも「直していい」と許可が出ていたので、今後のダンスの上達ぶりにも注目だ。

何かと場を盛り上げていた浜谷は「(今日は)俳優としてきています」とキリッ。現場では、藤田、宅間に続く芸歴となるということもあり、中村から演技などについてアドバイスを求められたときも、浜谷なりに真剣に答えたとのことだが、「それを稽古場で実際にするとことごとく宅間さんに直される」と言う。中村も、するとすぐに浜谷に教えてもらったと言ってしまうそうで、「すぐに吊し上げられる!」とご立腹。「ちくり癖があるんで気をつけてください」と言われた中村は「浜谷さんにもらったアドバイス通りお見せしたら、違うってなって……」と言い「それいま言ったんだよ!」と突っ込まれ、天然な一面を垣間見せた。稽古現場の雰囲気がわかるような終始楽しげなトークを繰り広げた。

最後には宅間から来場者へメッセージが。
「我々タクフェスはですね、もうお芝居はきちんと素晴らしいものを皆さんにご覧いただきたいので一生懸命稽古してきておりますけれども、始まる前や終わった後も皆さんに楽しんでもらおうと思っていろいろな企画をして、お祭り騒ぎとなっておりますので、演劇にちょっとまだ見たことないしな、何か難しいんじゃないかなとか思ってるお客さんにはうってつけのチームです。そしてこの『夕』という作品は特に入口としては入りやすい作品となっているので、ぜひ騙されたと思って劇場に遊びにいらしていただきたいなと思っております」

『夕-ゆう-』は本日初日を迎え、その後、大阪、札幌、長崎で上演予定。

取材・文:ふくだりょうこ

<東京公演>
タクフェス第12弾『夕 -ゆう-』

公演期間:2024年11月1日(金)~11月10日(日)
会場:サンシャイン劇場

タクフェス第12弾『夕 -ゆう-』ビジュアル

チケット情報:
https://w.pia.jp/t/takufes2024/

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