尾上右近&中村壱太郎は人間関係のモデルケース?“究極に美しい舞台”目指す「二人椀久」
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左から中村壱太郎、尾上右近。
松竹創業百三十周年「壽 初春大歌舞伎」夜の部「二人椀久」に出演する尾上右近と中村壱太郎の取材会が、昨日11月13日に東京都内で行われた。
「二人椀久」は、これまで数々の名コンビを生んだ舞踊作品。作中では、大阪の豪商・椀屋久兵衛(通称椀久)が、恋焦がれる遊女・松山太夫の幻と出会い、舞い踊る姿が描かれる。椀久役を右近、松山役を壱太郎が勤める「二人椀久」は、2018年に右近の自主公演「第四回 研の會」で初披露された。このたび東京・歌舞伎座の正月公演として、約6年半ぶりに上演される。
右近は「『二人椀久』は、私のルーツである日本舞踊尾上流の代表作ですので、心してこの作品に取り掛かりたいと思います。これぞ『二人椀久』だというものをお届けして、正月の歌舞伎座に来て良かったと思ってもらえる作品にしたい」と意気込む。壱太郎は「自主公演の演目は大抵主催が決めるものですが、『第四回 研の會』で(右近は)何をやろうかと相談してくれたので、一緒に『二人椀久』に決めることができたと同時に、私たちが同じ熱量を持つことに気付いた。今後もケンケン(右近)と一緒にいろいろな作品をやっていきたいと思うきっかけになった作品」と振り返り、歌舞伎座公演に向けて「“究極に美しい舞台にする”というのが私の中のテーマです」と言葉に力を込めた。
記者から「2人はなぜそんなに仲が良いのか?」と問われると、右近は「お互い目標があり、熱量が同じ。目指す頂上は同じだけれど、道のりが違うということをわかり合っているので、依存はしていないはず(笑)。人間みんなこれくらいの距離感でいられたら、自分たちのように仲良くなれるのになあと。人間関係のモデルケースになるのが自分たちの使命かもしれませんね(笑)」とおちゃめに話す。壱太郎は「私は吾妻流の家に生まれ、ケンケンはの尾上流のルーツがある。初代尾上菊之丞がこの作品を作り、私の曽祖母である初代吾妻徳穂と踊っている。導かれていると思いますね。ただ、縁だけではなくて、私たちは根っからこの作品と踊りが大好き」と述べる。
壱太郎が「第四回 研の會」について「当時は夏でしたが(三代目尾上)菊之丞さんも熱く教えてくださり、汗をかきながら何度も何度も練習して。まさに青春の1ページでした」と回顧すると、右近も「『研の會』の千秋楽翌日に壱太郎さんが仕事で地方に行ったあと、空をふと見上げたらすごい晴天で。なんでこの空を壱太郎さんと一緒に見られないんだろうと思った」と当時を振り返る。右近は「2人とも歌舞伎座でやらせていただく機会が増える中で、より説得力のある作品にできれば。たくさんのものを背負いながら、楽しんでいる2人でいられたらと思います」と語った。
公演は来年1月2日から26日まで歌舞伎座にて。チケットの一般販売は12月14日10:00に開始される。
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