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ジャズ二刀流ことピアニスト/トランペッター曽根麻央、公演にかける思い

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曽根麻央

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米名門・バークリー音楽大学を首席で卒業し、同大学院の修士課程も主席(summa cum laude)で修了したジャズ界の俊英、曽根麻央。ピアノとトランペットという質の異なる楽器を操るだけでなく、ジャズを軸としてジャンルレスな音楽を華麗に融合させる曽根サウンドに音楽ファンは魅了され続けている。米ブルーノートやブルースアレイといった、プレイヤーも憧れる老舗ジャズクラブに登壇する一方で、有村架純や坂口健太郎が出演するNetflixシリーズ「さよならのつづき」のピアノ監修や劇伴を手がけるなど、多彩な活躍はとどまるところを知らない。そんな曽根が、12月17日(火) 、東京・渋谷のHakuju Hallで一夜限りの「MAO SONE Plays Standards and More」を開催する。本公演に込めた思いや、ライブならではの聴きどころなどについて伺った。

――「MAO SONE Plays Standards and More」という公演タイトルや、すでに発表されている演奏曲からは2023年にリリースされた初のソロアルバム「Plays Standards」につながるようなライブをイメージするファンも多いのではないでしょうか?

そうですね。ただ、今回は初めて公演タイトルに“and More”と付け、昨年発表したアルバムの内容にプラスして、来年以降に僕がチャレンジしていくであろう音楽も少し交えながら、皆様に楽しんでいただけるものにしていきたいと考えています。今回のライブで演奏する宮地遼君は、目下制作中の新作でもキープレイヤーの1人なので、ライブでは新曲もお届けできるんじゃないかなと思います。

――共演する宮地遼さん(Ba)、二階堂貴文さん(Dr)は、曽根さんからご覧になってどんな魅力を備えたプレイヤーですか?

2人は国内はもちろん、アメリカなどでも活躍する実力派のアーティストです。特に、二階堂君はニューヨークのラテンシーンで、パーカッショニストのトッププレイヤーとして活動中です。キューバのパーカッション大会で、日本人で初めて優勝するなど、今までの日本人にいなかったようなリズムを持っている人なので、彼の音楽をたくさんの方に生で聴いてもらいたくて今回共演をお願いしました。

二階堂貴文

宮地君は、この2年半くらい共演する機会がすごく増えましたが、ベースに対する理解が本当に素晴らしいと感じます。演奏するだけでなく、自分のメーカーを起こしベースをデザインし制作することもしており、インターナショナルなアーティストもそのベースを使っています。そうしたベースへの深い知識や理解は、自ずと演奏にも出てきます。楽器そのものがいい音を出すウッドベースとは違い、機材を通して音を作るエレベ(エレクトリックベース)は、音色がすごく大事な楽器なのですが、宮地君はそのセンスがずば抜けているんです。テクニカルな演奏ができるスキルを備えながら、歌心溢れるプレイができるところも僕はすごく好きですね。

宮地遼

――実力者が集う「Plays Standards and More」では、ライブならではのミラクルも起こりそうですね。

ええ、そうなるんじゃないかと思います。ジャズという音楽はすごく即興性が重要ですから、今回は僕にとって特別な思いがあるメンバーに声をかけさせていただきました。先ほども言ったように、宮地君は絶大な信頼を寄せるベーシストですし、二階堂君は僕より年齢は2つ下ですが、同じ大学で学び合った学友もあります。大学では、僕もラテンに真摯に向き合う中で、彼から新しい音楽を教えてもらったりして、互いに共通言語も多いんですよ。

Hakuju Hallはアコースティックな楽器に特化した会場ですから、非常に優れた音響のなかで3人の相乗効果がより生まれやすいんじゃないかと思いますし、思いもよらないケミカルが起こるんじゃないかと僕自身もワクワクしています。

――ライブでは観客に感化されることはありますか?

はい。僕らはお客さんの存在に、すごく影響を受けながら演奏しているんです。先日、屋外で開催された「NIHONBASHI PUBLIC JAZZ」では、不特定多数の方が演奏を見聞きしてくれましたが、曲を追うごとにどんどん盛り上がっていきました。お客さんが楽しいと僕らも楽しんで演奏できますし、お客さんから演奏する喜びをいただいているんだなと感じますね。

――ちなみに、ライブに望むルーティンはありますか?

トランペットのウォームアップは欠かせませんし、僕は時間に追われて慌てるのが嫌なので、楽屋に早めに入ってゆったりした時間を過ごしながら、緊張とリラックスのよい塩梅を見つけることが多いです。

ただ、実際に演奏する時間は、そこまでの想いや練習などの努力に対して、ご褒美をもらっているような感覚なんですよ。ライブに向けて、ずいぶん前から会場の写真などを見て、その場に自分が上がって演奏しているのをイメージします。すると、ステージの配置や演奏の流れなどが見えてくるんですが、それを繰り返していくとどんどんアイデアが沸いて、「演奏曲目はこっちのほうがいいかな」とか心境に変化が出てきます。それはどこかアルバムを作る作業にも似て、ある種の生みの苦しみも感じますが、ライブではすぐに結果として返ってくるので、魅力的な作業でもあるなと思っています。

――時間をかけてライブへ準備しているのですね。ますますライブが楽しみになりました!

ありがとうございます。アコースティックに特化したHakuju Hallでジャズを演奏すること自体が珍しく、チャレンジでもあると思います。ジャズクラブに比べると距離を感じるかもしれませんが、音響がよいホールでは不思議と音による距離の近さを感じられるんです。演奏する側にとっても、特別な音の広がりや響きを持つ空間で演奏できるのはとても幸せな時間です。音の広がりを持つピアノと、空間を縦に突き進むようなトランペットの音色も、より立体的に感じていただけるんじゃないでしょうか。僕たち3人が奏でる生の音が、よりナチュラルリバーブの綺麗な空間で聴けるという特別感を体感していただけたらうれしいです。

――では最後に、2025年に向けての抱負をお聞かせください。

2024年を通して、たくさんの出会いに恵まれました。そうした出会いやプライベートでの変化などからインスピレーションを得たことが、制作中の新作にもつながっています。もともと僕の音楽は、ジャズだけでなく、クラシックやラテン、フラメンコ、ミドルイースタンなど、ジャンルレスなものを内在しています。今年は様々なシーンで活躍するソリストの方々との関わりも生まれましたし、2025年は、そうしたアーティストの方々と共演するだけでなく、プロデュースなども手がけていけたらいいなと思っています。いずれにしても、壮大な学びの時間のような2024年を経てて、いろんな形でアウトプットしていけると思いますので楽しみにしていていただきたいですし、その新たな兆しも「MAO SONE Plays Standards and More」で感じていただけるのではないでしょうか。

取材・文:橘川有子

<公演情報>
曽根麻央 Plays Standards and more

2024年12月17日(火) 東京・Hakuju Hall

チケット情報:
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventCd=2435625

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