
『あのコはだぁれ?』配信開始記念
Jホラーの巨匠・清水崇の魅力に迫る!
2024年夏に公開された映画『あのコはだぁれ?』の配信がスタートした。本作を手がけた清水崇監督は、日本だけでなく海外でも活躍し、日本のホラーを代表する巨匠として知られている。『あのコはだぁれ?』を通じて清水監督の手がける映画の魅力、恐ろしさ、深みに迫る!
『呪怨』『犬鳴村』『ミンナのウタ』…映画監督・清水崇の世界

日本発のホラー・怪奇映画は、その独自の映像表現によって世界中から高評価を集めているが、清水崇監督も常に驚きと恐怖を観客に与え続けている。
2000年にオリジナルビデオとして登場した『呪怨』は、次から次へと恐怖描写が続くオムニバス形式の語りと、怨念が“家”という空間に宿る新しさが口コミで広がっていき、映画化されて大ヒットを記録。“ホラー映画史”にその名を刻む作品になった。2004年には清水監督が自ら手がけたハリウッドリメイク『The Grudge(邦題:THE JUON/呪怨)』が全米興行収入初登場1位を記録した。
清水崇作品はホラー好きだけでなく、映画ファンからも高評価を集めている。その作品はホラーであっても、恋愛や青春ドラマであっても常に観客の予想外の展開が盛り込まれる“意外性の宝庫”。そこには必ず驚きと発見がある。
2020年公開の『犬鳴村』ではネットなどで話題の都市伝説をベースに“実録ホラー”が描かれ、2023年の『忌怪島/きかいじま』は現実と仮想空間でホラー描写が展開する異色作に。常に挑戦がある。恐怖表現の進化に出会えるのが清水崇作品だ。

2023年の『ミンナのウタ』では、GENERATIONS from EXILE TRIBEのメンバーが“実名の本人役”を演じる意外性が注目を集めた。
ラジオ番組のパーソナリティを務めているGENERATIONSの小森はある日、曲の倉庫で「ミンナノウタ」と書かれたカセットテープを発見。カセットから流れる呪いのメロディが人々に広がっていき、まるで伝染するようにメンバーは恐怖を体験し、姿を消していく。
そして浮かび上がってくる少女“高谷さな”の存在。彼女とカセットテープにどんな関係があるのか? 彼女はいまどこにいるのか? そして呪いのメロディを止める方法は?
本作は“芸能界”という観客の日常から遠い場所で起こる出来事と、ある学校で起こった恐ろしい事件とその後のドラマを見事に融合させた、ありそうでなかった斬新な設定が魅力の作品だ。GENERATIONSのメンバーは“本人”として登場するが、俳優の早見あかり、マキタスポーツはマネージャーや探偵として登場。現実と虚構が絶妙なバランスで混ざり合い、そこに“呪いのメロディ”という設定が盛り込まれる。この不思議な感覚と生々しい恐怖が本作の最大の魅力だ。
監督最新作『あのコはだぁれ?』が配信開始!

そんな『ミンナのウタ』のスタッフが再集結し、新たな企画に挑んだのが先ごろから配信がスタートした『あのコはだぁれ?』だ。
主人公の君島ほのか(渋谷凪咲)は夏休みの中学校で補習クラスを担当することになるが、学校では“ある噂”が生徒たちの間に広まっていた。それは学校で“あのコ”に見つかると殺される、というものだった。
ほのかは、交通事故で入院している恋人の悠馬(染谷将太)を見舞いながら、学校に通う日々を始めるが、5人の受講生とは違う“いないはずの生徒=あのコ”を発見してしまう。やがて学校で起こる奇妙な出来事の数々。ほのかは、補習参加者の三浦瞳(早瀬憩)らと謎に迫るが、次から次に想像を絶する恐怖が訪れ、やがてこの学校でかつて起こった“ある事件”が浮かび上がってくる。

本作は『ミンナのウタ』とはまったく違ったテイストの作品で、過去の事件や、校内での怪奇現象といったホラーの定番的な設定を“意外な展開”で描いた作品だ。
何よりもまず本作では定番中の定番である“夜の学校”のシーンがほぼ登場しない。舞台は夏の昼間の明るい学校。窓からは陽が差し込み、暗闇はない。が、本作は観客の予想を覆す方法で画面の“死角”を生み出し、アッと驚く方法で恐怖を描き出す。
また、新米教師の奮闘ドラマ、彼女と生徒との友情、彼女と恋人との出来事がいつしか融合していく脚本にも注目。映画初主演とは思えない渋谷凪咲のダイナミックな演技と、『違国日記』で注目を集めた早瀬憩ら若手キャストのアンサンブルも光る。ホラーだけでなくドラマ部分にも見応えがある作品なのだ。
清水監督は “ビックリする系の恐怖=ショッカー/ジャンプスケア”を盛り込みつつも、本作ではあえて時間をかけてジワジワと恐怖が忍び寄り、観る者の心に積み重なっていく展開を描いていく。入り口は爽やかだったり、穏やかだったりする日常の風景だが、いつしかそれが緊迫感のある恐怖空間に変貌を遂げている。
ハッと気がつくと爽やかな学園ドラマが、ホラーになっている。その自然な流れ、急に差し込まれる緊張感。その“魔術”のような手際の良さと絶妙なカットの組み立ては映画ファンならずとも再見したくなるはず。
『ミンナのウタ』と『あのコはだぁれ?』あわせて観ると深まる恐怖

『ミンナのウタ』と『あのコはだぁれ?』はそれぞれが独立した作品で、単純な続編ではないが、同じスタッフが手がける同じDNAを持つ作品だ。両作共に観ることで、より楽しさや恐怖が深まる内容になっている。
両作は描かれる空間も、時間帯も異なるが、どちらの作品にも “高谷さな”と呼ばれるキャラクターが登場する。彼女は音楽が大好きで、自分の歌をみんなに聞いてほしいと願う女の子。彼女は悪魔でも殺人鬼でもなく、父と母と暮らしている普通の中学生だ。しかし、彼女の過去と想いが少しずつ明らかになっていき、彼女がふたつの物語、ふたつ映画で重要な役割を果たしていることがわかってくる。

両作には数名、共通して登場するキャラクターがいるが、どちらの作品から観ても楽しめるつくりになっている。さらにふたつの映画でひとりの俳優が“違う役”で登場していたり、続けて観ることでニヤリとできる“仕掛け”も登場。
どちらも観ることで作り手の細部へのこだわりや、同じことをしないで常に新しい表現に挑む姿勢、ひとりのキャラクターを多角的に描くことで生まれる魅力を堪能できる。
映像特典で明かされる “深掘り”ポイント

『あのコはだぁれ?』をさらに深く楽しみたい人は本作の特別版Blu-rayがオススメだ。幻の未公開シーン(メイキング付き)やイベント映像が収録されるほか、本作の裏側に迫るメイキング映像が収録されている。
メイキング映像は、清水崇監督と本作の“ホラー担当”を務めた川松尚良が撮影を振り返り、映像の補足や裏話を差し込みながら、映画撮影の裏側が紹介される構成で、本作がオマージュを捧げている“人気ホラー映画”への言及や、ロケ地へのこだわりポイントなど、映画ファンなら思わずニヤリとしてしまうトークも登場。
また“繰り返し本編が観たくなる”メイキングになっており、メイキング映像の最後には清水監督が自ら「1回観ただけでは気づかないかもしれないリピート時のチェックポイント」を紹介。本編と特典を行き来しながら“深掘り”できるディスクになっている。
BD/DVD詳細
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『あのコはだぁれ?』×ハードコアチョコレート公式コラボレーションT-Shirtも発売中
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