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堂本光一『SHOCK』シリーズ24年間に幕 「この先」への期待も残した大千穐楽カーテンコール&囲み取材レポート

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『Endless SHOCK』大千穐楽カーテンコールより

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堂本光一が作・構成・演出・主演を務めるミュージカル『Endless SHOCK』が11月29日、東京・帝国劇場で大千穐楽を迎えた。2000年、堂本が当時21歳の時に始まった『SHOCK』シリーズは24年間で全2128回上演、全日程即日完売。今年5月には『放浪記』の森光子が保持していた記録を上回り、堂本が日本演劇界の「単独主演記録1位」に輝いた。しかしながら本シリーズは、帝国劇場建替えに伴う休館とともに今年の上演をもって終了が決定。日本演劇史に残るメガヒットミュージカルは、帝国劇場に足を運んだファンのみならず、全国47都道府県100館7万人がライブビューイングで見守る中、24年の幕を下ろした。

24年間“究極体”を演じ続ける苦難

鳴りやまない熱い拍手の中始まったカーテンコールでは、この日のキャストに加え、春の帝国劇場公演、夏の大阪・福岡公演に出演していたキャストも大集結。まず堂本が「2000年、当時の自分は21歳でただの若造でしたが、帝劇という場所に立たせていただき、24年間毎年この景色を見せていただけたこと、心より感謝を申し上げたいです」と御礼を。続けて集まった共演者たちに「最後の最後にこうして集まってくれたことを嬉しく思います」と笑顔を向ける。

<光ちゃん お疲れ様でした!>と垂れ幕に書かれたくす玉を割り、今年の上演回数142公演にちなんだ142本の赤いバラの花束を贈呈されるセレモニーでも目に涙はなく、終始清々しい笑顔の堂本。その表情からは、自分の届けたステージに対する自信と満足が見てとれる。

『SHOCK』はNY・ブロードウェイを舞台に、主人公コウイチを中心とする若きエンターテイナーたちが成功を目指す中で友情や恋、嫉妬や葛藤を交錯させていく物語。コウイチはその名のとおり堂本を彷彿とさせる役であるが、その分本人は苦悩も多くあった様子。「24年間、コウイチという、ステージに立つ人間としての究極形を描いてきた。時を経てコウイチにも弱い部分がたくさんあるというところを芝居で描くようにしていったのですが、でもやっぱり、彼は究極体なんです。その究極体を演じるという、辛い24年でした。……だって俺、全然究極じゃないんだもん!」と堂本。しかしながら「自分自身が役に負けないでステージに立つために何ができるか。自分には技術はそんなにはない。その分できることは“気持ち”しかないんです。その気持ちをずっと維持し続けるというのは、これは頑張りました!」と胸を張り、これには場内からも大きな大きな拍手が。

カーテンコールでは、共演者からも挨拶が。ライバル役を演じた上田竜也は「『SHOCK』はエンターテインメントについてすごく考える場所だった。特にコロナ禍で公演が中止になり、エンターテインメントとは何だろう、お客さんやファンの方に喜んでもらえることって何だろうともう一度深く考えさせられた。そして今、この場所に立っていられることに感謝したい」としみじみと語り、同じくライバル役を今年4・5月の帝劇公演と9月の博多座公演で務めた佐藤勝利は「本当に『SHOCK』にエンタメのすべてを教わり、光一くんの背中を見て育ち、光一くんの背中を追いかけた。『SHOCK』に育てていただきました。そういう後輩がたくさんいると思う。今日で『Endless SHOCK』はラストですが、その思いはずっと響き続けるし、そういう意味で『Endless SHOCK』は終わらないと思う。光一くんから教わったものを大事にこれからも進んでいきたい」と感謝を述べ、「光一くんに何と言うのが正解かなと思いましたが、お祝いの言葉で僕は締めたい。光一くん、本当におめでとうございます」と伝えた。

それぞれの“SHOCK愛”と“光一愛”

『SHOCK』を支え、また『SHOCK』がグループ結成のきっかけとなったふぉ~ゆ~は、いつものようにじゃれ合って場を和ませながら、口々に“SHOCK愛”と“光一愛”を。「19歳から出演し、今38歳。人生の半分以上関わっています。この『SHOCK』がなかったらふぉ~ゆ~は生まれていなかったので、僕たちにとって大事な作品で、やっぱり寂しいです」(越岡裕貴)、「オープニングから思い出だらけで、今日は本当に嫌でした……。光一くんは“千秋楽だろうが初日だろうが関係なくいつも通り”と言いますが、今日はちょっと無理でした。でも光一くんも良くない! 6回転フライングの前に「ああ、最後の6回転フライングか……」って言いましたよね、そんな姿を後輩が見たらどんな気持ちになるか! 劇中のセリフの一つひとつが『SHOCK』の歴史と重なるようでした。僕の人生の中で『Endless SHOCK』は間違いなくトップチャート一位です!」(福田悠太)、「思い返すとたくさんの思い出がある。光一くんと見た景色を思い返して幸せだったなと思うし、自分の原点だなと思いました。僕らは光一くんが笑っているのがめちゃくちゃ好きなんですよ。光一くんの背中を特等席で見ることができていつも本当に幸せでした」(辰巳雄大)、「開演前の“気合い入れ”から涙腺(が崩壊するの)をこらえていました……。でも全ての終わりは全ての始まり。このあと僕はまた始まります!」(松崎祐介)。

パーカッショニストで2005年から本作に出演している石川直も「20代でアメリカから帰ってきた、ドラムを叩くだけの野郎をこんな場所に呼んでいただいて、しかも長年使っていただいた。帝国劇場という素晴らしい場所でパフォーマンスできたこと、多くの方に見ていただけたこと、とても光栄でした」と感謝を語る。リカ役をWキャストで演じた綺崎愛理も「光一さんを今後も追いかけていきたいし、ここで経験させていただいたすべてのことに感謝します」と話した。また同じくリカ役の中村麗乃が「『SHOCK』は私の夢をふたつ叶えてくれた、とても大事な作品。(その夢とは)今の帝国劇場に立つということと、憧れていた女優さんが演じられていた役をやりたいという思いがあったので……」と話したところで、堂本が「神田沙也加さんのことだよね。リカ役をやってくれていたからね」と優しく合いの手を。中村は涙をこらえながら「どう言葉にしていいのかわかりませんが……本当にありがとうございます」と話した。

2024年公演皆勤賞の松尾龍は「『この場所から始まったんだ いつか必ず夢をかなえよう』という歌詞が自分にハマってしまって毎日(泣きそうになって)ヤバいんです。今日はあまり聞かないようにしました」と思い入れを語り、17歳の松浦銀志は様々な先輩に謝辞を述べながら感極まって言葉を詰まらせる。

また、この日のステージには立っていなかったが今年の『SHOCK』に出演していたメンバーも、「寂しさと、(堂本には)今すぐにでも人間ドックに行ってください、身体を休めてほしいという気持ちと……。でも本当に貴重な経験をさせていただいた。僕の心に残り続けると思います」(原嘉孝)、「皆さんに何かを届けることの姿勢を、本当に一から勉強させていただいた。今後の光一くんの“動向”に注目したい、楽しみにしています」(寺西拓人)、「今日初めて、自分が出ていたシーンを舞台袖から見ました。スタッフさんやアンサンブルさんが1シーン終わるごとに歓声をあげていて、みんなが『SHOCK』を愛している気持ちが溢れていた。袖で泣きました。僕も大好きな作品です。明日からも(脳内で)ひとり『SHOCK』を続けていきたいです」(林翔太)、「カンパニーの一員としてステージに立てたことを光栄に思います。あと僕、帝国劇場に立ったことがなくて、今日(このカーテンコール)が初めてです(笑)、ありがとうございます」(室龍太)、「僕は先に博多公演で終わりましたが、東京公演が終わるまで終わった感じがしないなと思ったら、今日になってもまだ終わった気がしない。また出たいなという気持ちが沸き上がっちゃう。この作品をすごく愛していたんだなと実感しています」(高田翔)と、それぞれ挨拶をした。

『SHOCK』はずっと生き続けていく

オーナー役を演じた島田歌穂は「素晴らしい記録を成し遂げた作品の最後の3年間に携わらせていただいたことは人生の宝物です。命を削りながらその背中を見せてくださった光一さんの姿は生涯忘れません」と思いを語る。

前田美波里は「2013年に母親役で出演し、その後オーナー役を演じました。本当に色々な思い出があります。今日は泣くまいと思っていましたがラストショーで日舞を踊りながら涙が止まらなくなってしまった。この作品がなくなってしまうことはものすごく!寂しい。多くの皆さんに感動していただけるこの作品に、11年出演させていただいたことは、人生の宝物です。光一さんありがとうございました。どうぞこの作品を超えるいい作品をまた作ってください」とファンの心を代弁するかのようなリクエストを。

その言葉を受けるかのように、堂本も「本当に思い残すことは何もないし、全部やりきった。だけど『SHOCK』においてはまだ何かやれることもあるから、何らかの形を考えていけたら」と今後の展開を匂わすコメントを。「ずっと積み重ねてきた公演なので、これを超える作品をポンと作るのはなかなか大変。(帝劇がなくなるから)SHOCK専用劇場でも作ってやれればいいけれど……誰か融資してくれるかな!?」と冗談めかして語るも、何らかの形で続けたい意志はあるようで「今のメンバーで(スピンオフの)『Endless SHOCK -Eternal-』も観たい、大阪公演に出ていた(中山)優馬の『-Eternal-』も観たい。まだまだ本当はやれることがある。自分がコウイチ役を演じることはもうないかもしれませんが、もちろん誰かに受け継いでもらえたら嬉しい」と話す。

重ねて、「自分としてはエンタメを卒業するわけではないので、ここから次のキャリアでも、皆さんに喜んでいただけるものを発信していきたい。それは楽しみにしていて欲しい。それにしても舞台は儚いものですね。その時観たものが終わると、それは自分の記憶で留めておくしかない。それが舞台の良さでもあります。でも『-Eternal-』に「思い続ければきっとそこにいるんじゃないか」というセリフがありますが、コウイチという人物も、この『SHOCK』のカンパニーも、ストーリーも、今日観た皆さんの心の中にあって、思い続けてもらえる作品になってくれたら、『SHOCK』はずっと生き続けていくと思うので、ぜひ、思い浮かべてもらえたら嬉しいです。これだけの作品に成長させてくださったことを、心より感謝申し上げたいです」と堂本が伝え、1時間超のカーテンコールは終了となった。

共演者たちに胴上げされる堂本光一

カーテンコールの幕が下りたあと、鳴りやまぬ拍手にこたえキャストたちが再度登場。共演者たちが堂本を讃えるように胴上げをした。「『SHOCK』がこれだけ愛されるものになるとは自分も想像していませんでした。自分にとってはエンターテインメントはとても大事なもの。人の命を救うこともある、と言われたことも。それをしっかり受け止めて、これからも発信させていきたい。これからも僕を支えてくれたら」と堂本。24年続いた『SHOCK』は堂本の清々しい笑顔とともにピリオドを打ったが、寂しさだけでなく、幸せな温かさと、「この先」への期待も残していった。

「永遠」であってほしい 堂本光一囲み取材レポート

公演終了後、堂本による囲み取材も行われた。以下、その一問一答。

――改めて今の気持ちは。少し泣きましたか?

いや! 全然泣いてないです。お芝居で涙を流すというのはありましたが。泣いてほしかったですか(笑)? それよりも本当にやり切った気持ち。背負ったものを下ろせるのかなと思ったのですが……。「ああ、下ろせた」と思ったんですよ。思ったのですが、余計にもっと重たいものがのしかかったような気もします。

――それは何ですか?

わからない(笑)。客席を見ていても、ありがたいことに僕が作るエンターテインメントをみんなが欲してくださっているような空気を感じました。共演者の方からもそんな空気があったので。荷を下ろそうとしたら余計のしかかってきたなって。

――“光一さんの動向”とおっしゃっていましたね。

でも『SHOCK』は幕を下ろしましたが、自分は舞台に立つことをやめるわけでもないし、いつも通り活動していきますので。

――新しい作品の構想は。

まだそこまでには至っていないです。

――『SHOCK』の後継者は……。

現れないですかね……。僕も『SHOCK』を見たい! それは夢でもあります。自分で積み上げて作ってきたものを、自分じゃないにしても表から見るっていうのは夢です。そうなるといいなと思いますけど。

――ただ、光一さん以上のフライングをする人はいないのでは。

まあ、現れないでしょうね(笑)。冗談です。記録にしても何にしても、破られるためにある。僕としても破ってほしい。でも世の中には素敵なエンターテインメントがたくさんあるので、『SHOCK』を観て、ミュージカルというエンタメに興味を持ったという方も中にはいらっしゃるでしょうし、そういう方がいるというのは自分としてはとても嬉しい。自分も色々なことにチャレンジしていきたいし、お客さまがあれだけ幸せな顔をしてくれるエンタメは、舞台以外にないんじゃないかな。そう思えるくらい素敵な空間なんです。それを今後も続けていけたらなという思いはあります。

――『SHOCK』の専用劇場を作りたいという言葉もありましたが。

アハハ(笑)! わからないですけど。帝劇が改装に入っていなかったら、多分来年もやっていた……やらせていただきたいと思っていたはず。でも帝劇が休館すると聞いた数年前から、自分の中では「だったら2024年がラストになるな」と思っていました。だから突然決めたわけじゃないですし、色々な思いを積み上げた中で今があるので、本当に「やり遂げた」という気持ちです。専用劇場があったらねー……。1日2回公演がなければ毎日でもできるのですが(笑)。

――『SHOCK』のセリフの中で好きなものを教えてください。

『-Eternal-』の方にあるセリフですが、実は本編の方もその思いは大事で、ずっと宿っているようなセリフがある。それは「思い続ければ、いつでもそこにいる」。これは色んな場面に当てはめることができると思うんです。いなくなってしまった人を思うこともあるだろうし、こういう舞台にも言える。舞台って儚いもので、生で観たものは自分の思いとして記憶させておかなければいけない。でもその“思い”が人を強くするのだとも思います。「Show must go on」などショービジネスの世界で大事な台詞もありますが、実はそこよりもこの「思い続ければ、いつでもそこにいる」、そういうものを常に大事にしてきました。その“思い”がないと、舞台は成り立たない。共演者、スタッフ、思いの繋がりなんですよね。そしてお客さまがたくさんの思いを客席からステージに届けてくれる。思いの集合体が舞台の世界。これは人生にも当てはめることができるのかなと思っています。

――24年間で印象に残っているシーンは。

ありすぎちゃって……。自分は『SHOCK』ですべてを経験させていただいたと思っているんです。僕は今45歳ですが、これから先、『SHOCK』で経験した以上にもっと刺激的なことや多くのことが人生で起こるのだろうかと考えると、多分ないと思うんです。……あるかもしれないけど(笑)。あってはならない事故もありました。天災もあったし、地震もあった。コロナ禍もあった。色々なことが『SHOCK』の期間中にあった。その都度、エンターテインメントを届けるためにはどうしたらいいのかと考えてきました。逆にこれ以上のことはもう起こってくれるな、と思います。だけど、ここで学んだことは今後の人生で絶対に生きてくる。誇らしげにいうのもおかしいことかもしれませんが、自分の体調や都合で一度もストップさせなかったんですよ。怪我やしんどいこともたくさんありました。今の時代では幕を開けないことがあるのも当然(という意識に変化してきている)だし、今だったら止められちゃうようなこともありましたが、強行突破でもやれたことが、自分は幸せでした。すべてを経験させていただきました。

――最後に、光一さんにとって『SHOCK』とは。

いや、難しいな……。『SHOCK』は……今後にも期待を込めて「永遠」であってほしいです。永遠にさせなきゃな。自分も努力しなきゃいけないと思いますが、自分が立つ・立たないにしても、これからも永遠にこの思いは持ちながら生き続けることになると思います。

取材・文・撮影:平野祥恵

<公演情報>
『Endless SHOCK』

作・構成・演出・主演:堂本光一

【東京4・5月公演】※『Endless SHOCK』『Endless SHOCK Eternal』同時上演
2024年4月11日(木)~5月31日(金) ※公演終了
会場:帝国劇場
出演:
佐藤勝利
越岡裕貴、松崎祐介、高田翔、寺西拓人、松尾龍、尾崎龍星、石川直、中村麗乃
前田美波里・島田歌穂(Wキャスト)

【大阪公演】
2024年7月26日(金)〜8月18日(日) ※公演終了
会場:梅田芸術劇場メインホール
出演:
中山優馬
林翔太、室龍太、高田翔、原嘉孝、松尾龍、尾崎龍星、綺咲愛里
島田歌穂

【福岡公演】
2024年9月1日(日)~9月29日(日) ※公演終了
会場:博多座
出演:
佐藤勝利
福田悠太、辰巳雄大、室龍太、高田翔、松尾龍、尾崎龍星、綺咲愛里
前田美波里

【東京11月公演】
2024年11月8日(金)~11月29日(金)※公演終了
会場:帝国劇場
出演:
上田竜也
福田悠太、辰巳雄大、越岡裕貴、松崎祐介、松尾龍、松浦銀志、石川直、綺咲愛里・中村麗乃(Wキャスト)
前田美波里

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