南佳孝インタビュー『LIVE DUO with 松本圭司』開催決定、新曲初披露予定も「今はライブが一番楽しい」
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すべて見るText:森朋之 Photo:石原敦志
南佳孝が2025年1月11日(土)、東京・日本橋三井ホールで『南佳孝 LIVE DUO with 松本圭司』を開催する。2023年にデビュー50周年イヤーを迎えた南佳孝。51年目となる2024年1月に開催したピアノの松本圭司とのデュオスタイルでのコンサートでは、50周年企画の番外編とも言えるレアな選曲によってファンからの注目を集めた。その1年後に行われる『南佳孝 LIVE DUO with 松本圭司』は、レアなオリジナル曲、セルフカバー曲を中心に構成。また、来春にリリース予定のアルバムに収録される新曲も披露される予定だ。1973年に松本隆プロデュースによるアルバム『摩天楼のヒロイン』でデビューし、「モンロー・ウォーク」「スローなブギにしてくれ」「スタンダード・ナンバー」などが大ヒット。シティポップの文脈でも再評価され、精力的な活動を続けている南佳孝に、50周年を超えた現在の状況や『南佳孝 LIVE DUO with 松本圭司』について話を聞いた。
――2023年9月21日にデビュー50周年を迎え、9月24日には『50th Anniversary Live 南佳孝フェス』(東京国際フォーラムホールC)を開催しました。松本隆さん、杉山清貴さん、尾崎亜美さん、小原礼さん、太田裕美さんがゲスト出演されましたが、南さんにとってはどんなライブでしたか?
周年ライブは全然やってこなかったのですが、50年目はやろうかということで、ゲストの方にも出てもらって。その前から(50周年関連の活動が)何カ月も続いていたんですが、9月のイベントでそれが終わりましたね。感慨深さはそれほどありませんが、50年はやっぱり一区切りだったと思います。
――代表曲、ヒット曲、カバーなど、多彩な楽曲が披露され、まさに南さんのキャリアを網羅したイベントだったのかなと。
「Sail Away」(ランディ・ニューマン)もやりましたね。デビューしたての頃、ランディ・ニューマンが結構好きだったんですよ。全然知らなかったんだけど、松本(隆)の家に行ったときに「これいいよ」とレコードを聴かせてもらって。
――そうだったんですね! 今年5月には、『南フェス』で披露したソロ曲の音源を収めた『MY FAVORITE SELECTIONS』がリリースされました。「スタンダード・ナンバー」「涙のステラ」などの代表曲が収録されていますが、アルバム『MONTAGE』(1980年)の楽曲が3曲入っているのも印象的でした。
それは“たまたま”だと思いますが(笑)、『MONTAGE』はYMO(イエロー・マジック・オーケストラ)のメンバー(細野晴臣、高橋幸宏、坂本龍一)が参加しているんですよね。
――『MONTAGE』に収録された「憧れのラジオ・ガール」「コンポジション・1」「夜の翼」の原曲はすべて坂本龍一さんのアレンジですね。
やっぱりピカイチでしたね。僕の曲のほかにもサーカスや大貫妙子の楽曲も手掛けていたし、オーケストレーションがすごくよくて。彼はその後、日本だけじゃなくて世界に行きましたからね。海外の人たちが日本の音楽を知るきっかけにもなっただろうし、キーワードは坂本だと思う。
――なるほど。南さんが全曲の作詞・作曲をしたアルバム『忘れられた夏』(1976年)からは「ブルーズでも歌って」がセレクトされています。リリースから50年近く経っていますが、今歌うとどんな印象がありますか?
「なんでこんなに難しいのかな?」と思いますね。最初の頃の僕の曲、すごく難しいんですよ。人とは違うものを狙って作っていたのもあるんだけど、やればやるほど難しくなってしまって。そのせいか、玄人受けはしていたんですよね。この間も売野雅勇さん(作詞家)から「『忘れられた夏』が大好きで、ずっと聴いていました」と言われて。
――間違いなく名盤だと思います。『MY FAVORITE SELECTIONS』のボーナストラックには「ソバカスのある少女(with鈴木茂&杉山清貴)」が収録されています。鈴木茂さんのギター、杉山清貴さんの歌も素晴らしいなと。
鈴木茂のギターは独特ですよね。杉山清貴とはふたりでよくライブをやっているんだけど、彼は音楽をよく知っているんですよ。キーワードはビートルズで、そこが合うところだなと思っています。
――そして2024年1月には、ピアニストの松本圭司さんとのデュオスタイルで“50周年の番外編”ライブを開催。普段のライブとは違うレアな選曲が話題を集めました。
どうしても歌いやすい曲だったり、自分の中で「及第点だな」という曲ばかり選んでしまいがちなんですが、ファンの人から「どうしてあの曲を歌わないんですか」と言われることがあって。僕としては「あの曲はサビが上手くいかなかったんだよな」とかそれなりに理由があるんだけど、たくさん曲を書いてきたし、そういうファンの声にも応えるべきだなと。当然、久しぶりに歌う曲もあったんだけど、なぜか書いたときのことは覚えているんですよ。「この曲を書いたときは、雪が降ってたな」だとか。
――これまでの楽曲を改めて聴き直す機会にもなったのでは?
そうですね。部分的に「ここはどう歌ってたかな?」とニュアンスが曖昧なこともあって。幸いなことにYouTubeに上がってたりするので、それを聴いたり。僕は引っ越しが趣味で、今の家に引っ越すときにCDやレコードを全部売ってしまったんですよ。中には貴重なレコードもあったみたいで、「本当にいいんですか?」と聞かれましたが。どうやら高値がついているようです。
――ちょっともったいない気もします...... (笑)。松本圭司さんのピアノについては、どんなイメージがありますか?
ジャズですよね、彼は。例えばフォークソングっぽくやろうとしても、ジャズやワルツになってしまう(笑)。いろいろ意見を言うこともあるけど、今はそれが面白いなと思ってます。
――そして2025年1月11日(土)には東京・日本橋三井ホールで『南佳孝 LIVE DUO with 松本圭司』が開催されます。南さんの誕生日の2日後に行われるライブですが、今回はどんな内容になりそうですか?
これまであまりやってこなかった曲だったり、セルフカバー曲、後は今作っている新曲もやろうと思っています。新曲は4月に出そうとしているアルバムの曲なんですが、音源をリリースする前にライブで披露しようと。年末年始はそんなに多忙ではないので、準備する時間も取れそうなので。
――普段とは違う、新鮮なラインナップになりそうですね。ライブに対するスタンスも、キャリアを重ねる中で変化しているんでしょうか?
今のほうが緊張しますね。デビューした頃はまったく緊張しなかったんですよ。勢いもあっただろうし、怖いもの知らずというのかな。今はいろいろ経験した分、「もっと上手くやりたい」という色気が出てしまってるのかもしれないですね。昔は全然練習しなかったけど、今は結構やるようになって。でも、ライブが一番楽しいんですよ。同じ曲であっても、ライブによって同じような歌にならないし、本当に面白い。(原曲とは違う)アレンジをするのも好きだし、メロディのニュアンスを少し変えたりね。ファンの人の中には「それはやめて」という人もいるんですけどね。できるだけ音源通りに歌ってほしいというのがあるみたいで。
――ボブ・ディランなんて、メロディを崩し過ぎて、何の曲を歌っているのかまったく分からないですけどね。
そうだよね(笑)。でもいいよね、ボブ・ディランは。
――4月にリリース予定の新作アルバムについても聞かせてください。新曲とセルフカバーが中心になるということですが、アルバム制作のきっかけは?
50周年のときに松本隆と一緒にやろうとしていたんですよ、実は。それが流れてしまって、どうしようかなと思っているときに「セルフカバーと新曲のアルバムはどうだろう」という話が出てきて。松本圭司とのライブの流れもあるからピアノと歌でやろうとしていたんだけど、新曲を録るんだったら、バンドでやったほうがいいだろうと。新曲に関しては、ビリー・アイリッシュじゃないけど、ベッドサイド・レコーディングが主ですね。いいマイクも買って、ボーカルダビングも基本的に家でやってるんですよ。杉山のコーラスはスタジオで録ったんだけど、大半の曲は自分の部屋で録りました。
――新しい南佳孝さんの曲、楽しみです! 最後にファンのみなさんにメッセージをお願いできますか?
まずは「いつもライブに足を運んでくれてありがとう」ですね。もっといろんな人に聴いてほしいというのもあるし、自分もそのために運動をしているので......といっても歩くくらいですけど、お互い元気にやっていきましょうとお伝えしたいです。
――南さんのボーカル、本当にすごいパワーですよね。
そんなことはないですけどね。自分としては、5000ccくらいの排気量の車で、60kmくらいで走るぐらいが一番いいのかなと思ってるんですけどね。
<ライブ情報>
『南佳孝 LIVE DUO with 松本圭司』
2025年1月11日(土) 東京・日本橋三井ホール
開場 15:00 / 開演 16:00
出演:南佳孝(vo&g)、松本圭司(p)
【チケット情報】
全席指定:8,000円(税込)
※ドリンク付
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2456080
<リリース情報>
『MY FAVORITE SELECTIONS』
発売中
●価格:3,300円(税込)
CAPITAL VILLAGE
CVOV-10085
南佳孝 公式サイト:
https://minamiyoshitaka.com/
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