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木下順二、井上ひさしの名作と古典の人気演目で文楽の楽しさ体感 国立劇場令和6年12月文楽公演

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国立劇場 令和6年12月文楽公演

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再整備期間中の国立劇場は、引き続き首都圏での文楽公演を他劇場で実施しているが、2024年12月は、12月4日(水) 〜13日(金) が東京・江東区文化センター、12月17日(火) 〜19日(木)は神奈川・神奈川県立青少年センター(紅葉坂ホール)と2会場にて、三部制で公演を繰り広げる。

古典の名作のみならず、現代口語で語られる木下順二作の『瓜子姫とあまんじゃく』、井上ひさしがモリエールの戯曲をもとに書いた『金壺親父恋達引(かなつぼおやじこいのたてひき)』が登場、首都圏では珍しい演目の上演とあって、多くのファンが期待を寄せている。

珍しい演目が揃うのは第一部。そのひとつが、画期的な口語浄瑠璃の名品と称される、木下順二による『瓜子姫とあまんじゃく』だ。全国に伝わる瓜子姫の昔話をもとに、夕闇に包まれた山里を描いた民話劇として戯曲化、二代野澤喜左衛門の作曲により1955年11月に人形入りで試演、翌1956年1月に大阪三越劇場で初演された。

『瓜子姫とあまんじゃく』より

瓜子姫が機を織っていると、いたずら者のあまんじゃくがやってきて、瓜子姫を木にくくり付けてしまう。すっかり瓜子姫になりすましたあまんじゃくはでたらめに機を織り始めるが、そこへ瓜子姫のじっさとばっさが帰ってくる。あまんじゃくのいたずら心は高まり、得意の口真似で瓜子姫の声を出そうと身構えるが……。画期的な現代の口語浄瑠璃の名品として、大阪の国立文楽劇場ではしばしば上演されて好評を得ている作品だ。

『金壺親父恋達引』より

さらに、井上ひさし生誕90年記念として上演されるのは、モリエールの戯曲『守銭奴』をベースに、放送番組のために井上が義太夫節として書き下ろした『金壺親父恋達引』。呉服屋の金仲屋金左衛門は金銭への執着心を持つ稀代の蓄財家で、貯め込んだ金を壺にたっぷり入れて庭に埋めて隠し、何度も掘り起こしてはほくそ笑んでいる。町で評判の美人娘のお舟が三十両の持参金付きで金左衛門の嫁に来ることになり、また、娘のお高にも金持ち相手との縁談が持ち上がる。息子の万七は、自分の恋する人が父である金左衛門の嫁に来るお舟と知り、家を出てお舟と一緒に暮らそうとするも、事態は大騒動に……。強欲な金左衛門が巻き起こす珍騒動が、井上ひさし独特の機知に富んだ文体で綴られる。2016年に大阪・国立文楽劇場で上演されたが、今回、首都圏で初めて文楽としての上演が実現する。

井上作品を上演し続けているこまつ座代表の井上麻矢は、「17世紀のフランスの喜劇の王、モリエールの『守銭奴』を井上ひさしの最も得意なパロディにして書かれた本作文楽で更に楽しく深まります。是非観なければ! 井上ひさし生誕90年、こまつ座とは違う魅力をご堪能下さい」とメッセージを寄せている。

第一部ではさらに、道成寺伝説をもとにした『日高川入相花王(ひだかがわいりあいざくら)』渡し場の段を上演、旅僧安珍に恋焦がれ、大蛇となって日高川を渡る清姫の物語を、文楽ならではの臨場感ある舞台で堪能させる。

『日高川入相花王』渡し場の段より

また第二部では、時代物の名作として知られる『一谷嫩軍記(いちのたにふたばぐんき)』、今回は三段目の切に当たる、熊谷次郎直実が無官太夫敦盛の死をめぐる真相を物語る熊谷桜の段/熊谷陣屋の段と、琴、三味線、胡弓の三曲の演奏が華麗な『壇浦兜軍記(だんのうらかぶとぐんき)』阿古屋琴責の段と、見どころにあふれたプログラムに。

『一谷嫩軍記』熊谷陣屋の段
『壇浦兜軍記』阿古屋琴責の段

続く第三部は、お初徳兵衛の心中を描く『曾根崎心中(そねざきしんじゅう)』生玉社前の段/天満屋の段/天神森の段と、文楽随一の人気演目の名場面が登場。「この世の名残、夜も名残……」の名調子とともに、美しく描かれるふたりの死出の旅路に注目を。

『曾根崎心中』天満屋の段より

木下順二、井上ひさしと、日本の演劇界を代表する劇作家ふたりが手がけた、より親しみやすい日本語の舞台と、古典の名場面が次々と登場、文楽の多彩な魅力が詰まった本公演。ファンのみならず、もっと文楽を楽しんでみたいという人におあつらえの内容だ。

<公演情報>
国立劇場 令和6年12月文楽公演

●第一部 11:00~
『日高川入相花王(ひだかがわいりあいざくら) 渡し場の段』
『瓜子姫とあまんじゃく(うりこひめとあまんじゃく)
井上ひさし生誕90年記念
『金壺親父恋達引(かなつぼおやじこいのたてひき) ―モリエール「守銭奴」より』―

●第二部 14:30~
『壇浦兜軍記(だんのうらかぶとぐんき) 阿古屋琴責の段』

●第三部 18:45~
『曾根崎心中(そねざきしんじゅう) 生玉社前の段/天満屋の段/天神森の段』

【東京公演】
2024年12月4日(水) 〜12月13日(金)
会場:江東区文化センター
※9日(月) は休演

【神奈川公演】
2024年12月17日(火) 〜19日(木)
会場:神奈川県立青少年センター(紅葉坂ホール)

チケット情報:
https://t.pia.jp/pia/search_all.do?kw=%E5%9B%BD%E7%AB%8B%E5%8A%87%E5%A0%B412%E6%9C%88%E6%96%87%E6%A5%BD%E5%85%AC%E6%BC%94

国立劇場HP
https://www.ntj.jac.go.jp/

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