新作EPリリース&ツアー決定! 東京初期衝動インタビュー「EP『pink II』がライブに定着できるようなツアーに」
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左から)なお、しーな、まれ、あさか (Photo:石原敦志)
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すべて見るText:吉羽さおり Photo:石原敦志
今年3月にリリースしたEP『pink』に続き、2025年1月にEP『pink II』をリリースする東京初期衝動。2024年は『SXSW2024』で初のアメリカでのライブを経験し、その後も全国ツアーや初のリクエストを募ってのワンマンツアー『東名阪リクエストアワー』、そして『FUJI ROCK FESTIVAL '24』初出演など、ライブでのいい体感を掴んだ1年にもなった。そうした経験が反映されているかは分からないが、最新EP『pink II』ではパンキッシュに荒々しいバンドサウンドはもちろんありつつ、東京初期衝動というバンドが持つポップ性、毒っぽさが、よりキャッチーに引き出された感覚となった。北澤ゆうほ(Q.I.S.)を編曲・プロデュースに迎え(前作に続き田渕ひさ子がアレンジを手がけた曲も)、共に作り上げたこともバンドの新たな面を引き出した。作品について、また来年1月からの『爆誕!ヒステリックサイケツアー』について4人に話を聞いた。
──前作『pink』に続き『pink II』というタイトルになりましたが、もともと2作続く作品を予定していたんですか?
しーな まったくそういうことではなかったんです。レコーディングをし終わった後に、これの方がより“pink”だねってなった感じで(笑)。曲も別々の時期に作っていたもので。特にどういうEPにしようというのはなく、作らなきゃって思って作っていたんです。1曲目の「LSD」は確か、昨年の9月とか10月とかで、そこからちょくちょく気分が乗ったら曲を作っていたという感じでした。
──今回は前作にも増して、全体的にサウンドや聴き心地の面でポップになっている印象がありますが、意識したことはあるんですか?
しーな 今回は編曲でお友達の北澤ゆうほちゃんに入っていただいているんです。「LSD」を作ったとき、曲はできたんですけど私はアレンジができなくて。曲自体がよく聞こえなかったんです。自分の想像の中では、これはめっちゃ私の好きな曲になるっていうのがあったので、だったらそれができる友達、得意な人を探したときに、ゆうほちゃんだとなって。それで曲を持って、ゆうほちゃんの作業部屋に突撃しました。
──北澤さんはこうした他のバンドのアレンジやプロデュースってやったことがあったんですかね。
しーな 作曲とか楽曲提供はよくやっているみたいなんですけど、編曲とかはやったことがないようで。本人も、私がゆうほちゃんが絶対に歌わない歌詞を作るから楽しいと言ってくれて。その場で一緒にDTMを打ち込みながらやっていって、そこで歌詞も書いて。打ち込み終わったら、すぐに歌入れができるようにっていう流れでやっていったんですけど、いい化学反応でしたね。
──東京初期衝動として北澤さんに求めていたもの、こういう部分を引き出してもらえたというのはありますか?
しーな どうなんだろうな。難しくなければいいかなっていうのはありました。あとはパンクっぽさは失いたくないなっていうのはありましたね。
なお リズムにしても今までにないフレーズが使われていて、レコーディングまでは練習漬けみたいな感じで。最後の追い込みの一週間はマジできつかったです(笑)。つらかった思い出もありますけど、完成したらすごくいい作品になって。頑張って練習をしてよかったなっていうのは思いました。それくらい自分がいつも叩いているようなものとは結構ちがうかなって思います。
しーな そうなんだ。
なお 割とトキョショキの曲はみんなが同じリズムでいくことが多いんですけど、それぞれで違うリズムを刻んでいたりするのは新しいというか、難しくなった(笑)。
あさか なおと一緒に一週間練習に入ったんですけど、私はもう寝ながら弾いていたくらいずっと練習漬けで。ただ、今まではレコーディングが苦手で緊張していたことが多かったんですけど、北澤ゆうほちゃんが一緒にスタジオに入ったときに、「楽しんでいこうね」と言ってくれて。それだ! って思って。うまく弾こうじゃなくて、楽しんで弾いたらいいんだって。いつもはグダっちゃうこともあるんですけど、今回はたくさん練習をしたのもあるし、楽しんでやろうっていうのが一番にあったので、レコーディングも楽しかったし。いい感じに進められたなって思います。
──そういうレコーディングの環境、雰囲気がちょっと変わることも、作品へのいいエッセンスになりそうです。
しーな いいですよね。私はレコーディングでメンバーを励ますとかもないので、そういう面でゆうほちゃんはこうしたらいいんじゃない? とかメンバーを励ましてくれたりもして、すごくよかったですね。向いてるんじゃないかなって思います。
まれ その場でアドバイスをしてくれるんです。私が弾いている後ろでゆうほちゃんもギターを持ってくれて、すぐに教えてくれたり。褒めてくれるので、頑張れました。
──「LSD」は頭のギターからすごくキャッチーですもんね。
まれ あのイントロのフレーズは、しーちゃんが考えてくれたんです。
しーな そうなんです、意外にもギターのフレーズを考えました。あれを絶対に入れたかったんです。でも、まれ最初反対してなかったっけ?
まれ なんかサビのメロそのままだから、いいのかなって思って。どうしようどうしようってずっと思っていたんですけど。
しーな でもゆうほちゃんが、いいんじゃない? って言ってくれて。まれちゃんも、じゃあいいかっていう。ってことは私は信用されてないってことか(笑)!?
──そういう東京初期衝動が持つキャッチーさ、ポップさが今作はより整頓されたなって思います。
しーな それは思います。特に「LSD」の2番のAメロとか、昔だったら絶対にできないアレンジだなっていうのをゆうほちゃんが持ってきてくれたのでよかったですね。
──こうして誰かと一緒に作るっていうのはバンドとしても新しい経験ですよね。
しーな そうですね。でも本当に時間がなくて、ゆうほちゃんも忙しいし、1曲1日しか時間を取れなかったんです。かなりタイトな中で作っていって、しっくりこないものももちろんあって、ボツになった曲もいっぱいありましたし。
まれ 収録はされなかったんですけど、メタルみたいな超速い曲もあったり。
──それも聴いてみたいですけど。しーなさん自身の曲作りへのテンション感はどうだったんですか?
しーな そこはいつもと変わらずでした。ただ、ひとりでタスクをこなすことがすごく苦手なんです。例えばサビのメロができたってなると、一個できたことでドーパミンが出てそこからAメロ、Bメロって続けていけるんですけど。ひとりでやっているといろいろ迷っちゃって。これはいいのか、ダメなのかとか。あとはコード進行が分かんないなってなっちゃうことが多くて。ゆうほちゃんとやっていく中では、小さな成功がいっぱい積み重なるから、どんどんペースがよくなってできたかなっていうのはありました。
──「岡崎京子のあの娘になりたかった」という曲がありますが、前作、今作とアートワークやEPタイトルなど岡崎京子さん作品のモチーフなどが使われていますが、EPの中にも岡崎京子さんからの影響というのはあるんですか?
しーな もちろん作品は好きだし、生き方としてというところですごく影響は受けているんですけど、自分が描く歌詞や曲に反映されているかというのは特にないんです。岡崎京子さんの作品は、出てくる女の子がみんな自由奔放で美しくて逞しいみたいな、そこに憧れは抱いているんですけどね。「岡崎京子のあの娘になりたかった」も、ただ単に岡崎京子っていう言葉を使いたくてサビができた感じでした。この曲ではあまりゆうほちゃんが関わっていなくて、ババっとバンドで進めちゃった曲でしたね。
あさか この曲はみんなで細かく修正した感じもあったよね?
まれ スカみたいなギターのリフが入ってるんですけど、あれはレコーディング中に突然入れようってなって。それでより曲がポップになった感じがありました。
しーな なった。
まれ スタッフの方からのアイデアで、最初はどうだろう? って疑問に思ったんですけど(笑)。やってみたらいい感じで。
あさか あとセリフのパートも結構迷ったよね?
しーな そうだ。ここの“間”をどうしようってなって、もったいないから何か入れようってなって。
なお しかもベースが動いているところだから、ここにどうやって歌をのせるのかなって思ってたら、すごくいい感じになっていて。
──この曲の中でも、最も濃く心の叫びが出たパートになりましたよね。
しーな レコーディング中に勢いでできたんですけど、濃くなりましたね。
──そして「おたくの犬が騒がしい」は、これぞトキョショキ節、しーなさん節という1曲です。
しーな これは怒ってるときにできた曲ですね。もういろんなことが溜まりに溜まって、これは一回出さなきゃだなって思って。これまでの恋愛だったり、みんなの恋愛、女子の気持ちだったりを代弁してあげたい! と思って叫んでます。相手を挑発するような感じもあるので。これを聴いてスッキリしてくださいっていう曲ですね。ライブでハンドマイクで歌いたいって思って作った曲でもありますね。ミドリの「ひみつの2人」という曲があってYouTubeに野音でのライブ動画が上がっているんですけど、それがすごくかっこよくて。その曲の動画をずっと観ていたんです。私もこんな曲が作りたいなと思って。
──しーなさん自身、怒りというものは曲に消化していこうという感じはあるんですか?
しーな そうなればいいんですけどね(笑)。最近はムカつくことがあっても、これを言葉で言ったら絶対に揚げ足を取られるなっていうか。たとえ私が悪くなくても、この何年かで私を叩く要素を探している人がたくさんいるというのが分かったので。全員の悪口を曲で書いてやろうと思って。
あさか (笑)。
しーな 直接的な悪口ではなくて、音楽的なものに昇華した、共感を得られるような悪口です。そしたら素敵な失恋ソングとかにもなるじゃないですか。今めちゃくちゃムカつくこともいっぱいあるんですけど、全部曲にしてやるかっていう感じです。お前の悪口だってこと気づけよって思いながら(笑)。
──誰かが言う悪口と同じ土俵にのらず、音楽として表現するっていう戦い方になっているわけですね。
しーな そうならざるを得ない状況、というのが近いですかね。前作の「恋セヨ乙女」の《君が好きそうなあの娘は本当バカそう》とかもそうだし。このEPでもいろいろな曲で見えると思いますね。「おたくの犬が騒がしい」もそう(笑)。でも私はこうして歌詞を書くっていう吐け口があるけど、メンバーのみんなは発散する方法がないじゃないですか、どうしてるのかなって思うけど。
あさか でもそこは“ライブ”っていうものがあるし。ライブが楽しいっていうのは大きいんじゃないかな?
──よりいいライブにもなりそうですよね。今回はEPリリース前となる12月23日に『年末企画フライングライブ』が下北沢SHELTERで、そして2025年1月から『爆誕!ヒステリックサイケツアー』がスタートします。ライブへの思いも聞かせてください。
しーな 今回のEPの曲では今、「LSD」だけ披露していて、セットリストの一発目にやっているんですけど、いいですね。『pink II』もライブのセトリに入れるような曲ばかりなので、どんなセトリになるのか楽しみだけど、体力的には疲れそうだなと(笑)。
なお 確かに「LSD」とかは体力がいるよね(笑)。
あさか 12月23日のフライングライブは、新曲を初めて公開できるライブでもあるので頑張りたいです。
まれ これだけまとめて新曲を披露するのもなかなかないので。
──来年からのツアーはどうですか?
しーな トキョショキは奇想天外なので、自分たちでもどんなツアーになるかいつも分からないんです(笑)。でも6年間ライブをやってきて思ったのは、なんとかなるんだなということで。だからこの『pink II』の新曲たちが前に出てくれて、ライブに定着できるようなツアーになればと思います。
<リリース情報>
先行配信「岡崎京子のあの娘になりたかった」
12月25日(水) リリース
配信リンク:
https://friendship.lnk.to/oknann_tss
EP『pink II』
2025年1月8日(水) リリース
価格:1,500円(税込)
【収録曲】
1. LSD
2. 岡崎京子のあの娘になりたかった
3. 猫
4. おたくの犬が騒がしい
5. 次に生まれてくるときは
配信リンク:
https://friendship.lnk.to/pink2_sss
<ツアー情報>
■2024年
東京初期衝動『爆誕!ヒステリックサイケツアー』年末企画フライングライブ!
12月23日(月) 東京・下北沢SHELTER
開場19:00 / 開演19:30
※ソールドアウト
■2025年
東京初期衝動『爆誕!ヒステリックサイケツアー』
1月16日(木) 千葉・千葉LOOK
開場18:30 / 開演19:00
1月24日(金) 福岡・福岡INSA
開場18:30 / 開演19:00
1月26日(日) 北海道・札幌VyPass.
開場17:00 / 開演17:30
2月9日(日) 宮城・仙台FLYING SON
開場17:00 / 開演17:30
2月11日(火・祝) 大阪・心斎橋Pangea
開場17:00 / 開演17:30
2月24日(月・祝) 愛知・名古屋HUCK FINN
開場17:00 / 開演17:30
3月3日(月) 東京・渋谷WWW
開場18:30 / 開演19:30
【チケット情報】
前売:3,800円(税込/ドリンク代別途)
学割(高校生以下):2,800円(税込/ドリンク代別途)
※当日学生証提示必要。コピー不可。
一般発売:
https://w.pia.jp/t/tokyo-syoki/
東京初期衝動 公式サイト:
https://tokyosyokisyodo.jp/
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