柔道家の阿部詩選手が語る、実話に基づくドラマ『TATAMI』の予告編ナレーションを担当した感想とは
映画
ニュース
阿部詩 (C)パーク24/小川和行
続きを読むフォトギャラリー(10件)
すべて見る柔道家の阿部詩選手(パーク24所属)が、実話に基づく社会派ドラマ『TATAMI』の日本版予告でナレーションを担当した。「政府に服従するか、自由と尊厳のために戦うか」という究極の決断を迫られる、女子世界柔道選手権のイラン代表選手を描く本作。阿部選手は「自分自身、ハラハラドキドキしながら、心が動かされた映画で、とても面白かったです」と感想を語っている。
ジョージアの首都トビリシで女子世界柔道選手権が開催。イラン代表選手のレイラ・ホセイニ(アリエンヌ・マンディ)とコーチのマルヤム・ガンバリ(ザーラ・アミール)は、順調に勝ち進んでいた。しかし、金メダルを目前に、政府から敵対国であるイスラエルとの対戦を避けるため棄権を命じられ、自分自身と人質に取られた家族にも危険が及ぶ……。
スポーツ界への政治介入や中東の複雑な情勢、イラン社会における女性への抑圧を背景に、アスリートたちの不屈の戦いを描いており、映画史上初めてイスラエルとイランにルーツをもつクリエイターが協働。撮影は全て秘匿状態で行われ、製作に参加したイラン出身者は全員亡命し、映画はイランでは上映不可となっている。
映画のベースとなった事実について、阿部選手は「報道などを通して、状況は聞いていましたが、実際にどんなことがあったのか、知る機会がなかった」といい、映画が描く過酷な現実に驚いた様子。「家族までもが犠牲になりながら柔道をしていたんだと思うと、やはり私たちとは“戦う”意味がかなり違うんだなと感じました」としみじみ語る。
「試合のときは、戦う相手としてしか見られないですが、いろんな国の選手が、いろんな思いを背負っているのは私自身も知っているので、この映画から更にさまざまなことを学び、感じることができたのは本当に良かったなと思います。そのすべてが詰まった“畳”の上で、私たちは戦っていますから」(阿部選手)
本格的にナレーションを担当するのは、これが初めて。「声だけで感情を表現する難しさを知ることができました。あらためて声優さんって本当にすごいお仕事なんだなと思いました。それに、こうして自分の声をまじまじと聞く機会もないですから、不思議というか……」と振り返り、「今回は、いろんなパターンで挑ませていただき、だんだんと(予告編の)映像にマッチしていく感覚も味わえたので、面白い体験でした。映画館で流れるのが、うれしいような、恥ずかしいような気持ちです」と初挑戦の感想を語った。
取材・文:撮影:内田涼
<作品情報>
『TATAMI』
2025年2月28日より新宿ピカデリーほか全国で順次公開
フォトギャラリー(10件)
すべて見る