







坂本さん 「私たちが今立っている地面の下には、過去の人々の膨大な活動の痕跡が積み重なっています。この歴史の重みを現代の人にも感じてもらいたい。そこで、池袋の土地が隆起して出てきた、そんなイメージで作家はこの作品を造りました」

坂本さん 「1995年に起きた阪神・淡路大震災以降、パブリックアートの安全性や耐久性は非常に考えられるようになっています。この作品や他の作品も、それらの知見を十分に活かして設置しています」

坂本さん 「豊島区に流れている空気や風の動きを見せたいと思い、西野さんに制作をお願いしました。全体の重量は40kgくらいしかないので微風でも動きます」
坂本さん 「以前は、建物の仕様などがすべて決まってから作品の選定が行われることが多かったのですが、最近はHareza池袋のように建物の設計段階から、作品設置を検討できるようになってきています。今後もこの流れは増えていくと思います」

坂本さん 「池袋がかつて武蔵国豊島郡だったころ、この地には村があり、土壁をつかった家がありました。そんな記憶を思い起こさせるような作品がほしいと思い、久住さんにお願いしました。久住さんの左官技術は海外からもお呼びがかかるほど人気なんですよ」
遠藤さん 「Harezaの照明は、照明デザイナーの内原智史さんが手掛けているのですが、内原さんが光の向きや作品への当たり方などを調節し、久住さんの作品がより美しく見えるようになりました。ライティングにも注目して見てみるとおもしろいですよ」
金氏徹平《Hard Boiled Daydream(Restroom)》


坂本さん 「アニメやサブカルチャーをモチーフにしたデザインを取り入れました。西山さんのデザインはかわいらしくて華やか。けれどもよく見るとハートの向きが逆さまになっていたりします。金氏さんはマンガで使うスクリーントーンや背景をコラージュした空間を作り上げています」
遠藤さん 「Hareza池袋の誕生は、前区長の故高野之夫さんの想いがぎっしり詰まっているのですが、豊島区は公衆トイレの整備にも非常に力を入れていました。ということでこの施設もトイレを作り込んでいます。トイレは生活文化の基盤を支えるものであるため、少しでも心地よくご利用いただけるような空間造りを意識しています。」

坂本さん 「『池袋の街や文化を表すオリジナル作品を』とお願いしたところ、寺田さんの視点で池袋の姿を切り取っていただきました。池袋を知る人だったら、一目でわかるモチーフが散りばめられています。」
遠藤さん 「この作品ではラーメン店ののぼりもパーツになっていますが、池袋は本当においしくて個性的なラーメン店が多いんですよ。Hareza池袋に来た方は、帰りに食べていってほしいですね(笑)」


坂本さん 「安全で座りやすいソファをイタリアで制作しました。Hareza Towerのために作られたものなのですが青の本革が美しく、座り心地もとてもいいんですよ。経年変化で次第に味も出てくると思います」
遠藤さん 「定期的に形を変えていく予定なのですが、現在ビルを訪れる人が増えてきていまして、一番人が多く座れるヘビ状の形で設置されていることが多いですね」

坂本さん 「久門さんは、さまざまなスタイルのインスタレーションで知られる作家です。故障のおそれがある機械を組み込まない形で、それでも動きを感じさせる表現をしたい、というところから、無限に広がる円周率の作品にたどり着きました。大理石への彫刻はサンドブラスト技法という、細かい砂を吹き付けて石を削っていく技法を用いています」

遠藤さん 「今、Hareza池袋では約5000人ほどの人が働いています。この作品には、ここで働いてくださっている人たちにとっての未来が永遠に続くという意味もこめられています」


坂本さん 「池袋を象徴するもの、ということでフクロウを作ろう、そのフクロウを誰に作ってもらおうか?というところで三沢さんの名前が出てきました。作っていただいた作品は、私たちが予想した以上に、かわいらしく、りりしいものでした。目力が素敵なんですよね」
遠藤さん 「作品が一番よく見える場所はどこだろう?と、考えながら配置しました。この作品の台座をよく見てもらうと、ちょっと手前に傾斜がついています。作品をより良く見せるために特別に作ったものなんですよ」
西野康造《宙をゆく 2020》
久住有生《土=人》