中川晃教と小林亮太が熱く語る!『フランケンシュタイン』は“ミュージカルの真骨頂”
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インタビュー
中川晃教×小林亮太 (撮影:興梠真帆)
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すべて見る2017年に日本で初演され、大反響を呼んだミュージカル『フランケンシュタイン』(音楽:ブランドン・リー、脚本/歌詞/ワン・ヨンボム)が2020年の再演を経て、5年ぶりに上演される。名著『フランケンシュタイン』を大胆に翻案したストーリー、ドラマチックな音楽、メインキャスト全員が一人二役を演じる趣向など、ミュージカルの旨味が凝縮された衝撃のヒット舞台である。ビクター・フランケンシュタイン役は初演から続投する中川晃教とニューフェイスの小林亮太のWキャスト。ビクターの親友アンリ&怪物役も、初演から続投の加藤和樹と初参加となる島太星のWキャストと、新風吹き込む布陣によってどんな進化が見られるか、期待集中だ。11月末に行われた製作発表記者会見では、劇中ナンバーの『ただ一つの未来』を小林と島がデュエットで、『俺は怪物』を加藤が、『偉大な生命創造の歴史が始まる』を中川が熱唱。ドラマの興奮が蘇る雰囲気のままに、この再々演を引っ張っていくふたりのビクター・フランケンシュタイン、中川と小林の爽やかな対談が始まった。
三度目の挑戦と初挑戦、それぞれの特別な思い
――歌唱披露もされた製作発表を終えて、今の率直な心境からお伺いしたいと思います。
小林 ここ数年で今日という日が一番緊張しました(笑)。歌唱披露は、僕は島太星君とのデュエットというのもありましたけれど、(加藤)和樹さんと中川さんに歌っていただいたから出来たと言いますか。リハーサルからおふたりの歌声が素晴らしくて、少しでもそのパワーをいただいて僕らも歌えたらいいなと思っていたので。リハーサル時点でとんでもないな!と圧倒されましたけど、本番はもっととんでもなく素晴らしかったです(笑)。
中川 初演の時も、製作発表で初めて僕たち、この作品のナンバーを歌ったんですよ。
小林 そうでしたね!
中川 その時は余裕がなかったけど、今回は、自分の中に楽曲や役が馴染んでいるからこそ、歌の持っている表現を意識しながら歌ってみようかな〜なんて思ったりして(笑)。そういう余裕が持てているのも三度目の挑戦だからなのかなと思いました。小林君たちや和樹君の歌唱も、実は僕、取材の人たちが座っている側から見ていたんだよ。
小林 えっ!? 客席にいらっしゃったんですか!?
中川 そう。僕は歌うのが3番目だったので。小林君たちが出て来た時、緊張するよな〜とすごく共感してた(笑)。今日はまさしくふたりのデビューの日じゃないですか。小林君と島君、ふたりのデビューが大成功で始まってほしい!という思いが強かったので。その思いが実った瞬間でしたね。ホッとしました。
小林 ありがとうございます。
――小林さんはこの『フランケンシュタイン』という作品にどのようなイメージをお持ちでしたか?
小林 初めて観た時、一幕の怒涛の展開から、ここまで堕ちたのにもっと堕ちるんだ!というような絶望感を味わって。でも、とことん堕ちるからこそビクターとアンリのあいだにかすかに光が見えて、そのコントラストにすごく惹かれました。もちろん音楽の持つ力にも、自分としては異様なくらいに惹きつけられたのが第一印象でしたね。中川さんと和樹さんのペアを観たので、そこでもおふたりの素晴らしさに「とんでもない壁だ」と感じました。
中川 僕の中でもこの作品は、他の作品とはちょっと違う特別な思いがあるんですよね。初演の時に韓国のキャストやスタッフの皆さんが観に来てくださって、初演からビクター・フランケンシュタイン役を演じていらっしゃる俳優のユ・ジュンサンさんが僕に話しかけてくれたんです。それ以来、ずっとユ・ジュンサンさんとの交流が続いていて。
先日もこの作品の作曲家のブランドン・リーさんの来日コンサートがあって、そこで和樹さんが歌唱されるので僕、観に行ったんですよ。そこでまたブランドン・リーさんとも再会出来て。そんなふうに再演からのこの5年間、作品に関係したことでなくてもプライベートで付き合いが続いているのはとても嬉しいことですよね。この作品の大きさ、難しさを痛感しながら、その高い壁を乗り越えていくには、ビクター・フランケンシュタインという人の正直さ、素直さと、今この役に向き合っている自分自身とがピタッとハマる瞬間を見出すことなのかなと思っていて。その瞬間が今日の歌唱披露で垣間見えたので、あまり気負わずに自然体でやっていこうと思います。
フランケンシュタイン博士をどう表現するか、試行錯誤中
――小林さんは今年、韓国版『フランケンシュタイン』を観に行かれたとか。
小林 はい、和樹さんに誘っていただいて韓国に行かせてもらいました。
中川 その話、聞きたい! 何日間、行ったの?
小林 一泊二日で、『フランケンシュタイン』を2回、違うキャストで観させていただきました。和樹さんのお計らいで席が前から2列目だったんですよ! なので、本当に生声が飛んで来るくらいの距離感で観ることが出来て。韓国ミュージカルでは歌の要素が一番強いと思っていたけど、その下に流れる芝居の部分もこれだけ強いんだ!って圧倒されましたね。その芝居があるからこそ、音楽がしっかり響いて来るんだなと。
中川 へえ〜! 好きな感触だった?
小林 僕はとても好きだなと感じましたね。ただ、日本人の持つ感覚と韓国の方が持つ感覚はやっぱり別だと感じるから、韓国バージョンにリスペクトを持ちながらも、日本の観客の方々に届くように僕らの感覚を大事にしながらやっていきたいなと思いました。
中川 俺は純粋に、韓国の俳優さんたちの歌声の強さに惹かれたんだよね。
小林 それはありますよね。その印象が強かったから、じゃあ芝居の部分は?と注目していたんです。それでキャスト違いで観て、ビクターの色がこうも違うのか!と。それこそ中川さんとも柿澤(勇人、初演&再演のビクター役)さんともまた違って、こんなに振り幅が大きくていいんだなと。演出の板垣さんも「自分の持っている色でやってほしい」とおっしゃっていたし、今回、僕と太星君が新しい色として、しっかり攻められたらいいなとあらためて感じました。
中川 韓国バージョンを観たことで、それだけ大きな振り幅でそれぞれの違いを受け止めてくれる、器の大きい作品なんだなと感じたってことだよね。これまでそういう作品に出会ったことは、あんまりなかった?
小林 ないですね。僕自身、韓国からの作品に出演させていただいたことはあるんですけど、現地で観たことはなかったんです。飛行機で数時間飛んだらこんなエンタメが広がっているんだ!って(笑)、すごく衝撃を受けました。だからやっぱり、ちゃんと戦いたい。韓国の舞台を観た夏の時点から、ちゃんと準備しなきゃ!とより気持ちが高まっています。
――中川さんは、ビクター・フランケンシュタインという人物を演じるにあたって必要な要素をどのように考えますか?
中川 何でしょうね。僕はまだ自分の言葉でそれを表現しきれないのだけど、韓国版でアンリ/怪物役を演じたパク・ウンテさんが僕たちの初演を観た後に、「やっぱりフランケンシュタイン博士がこの物語の主役なんだね」とおっしゃったんですよ。もう少し歳を重ねたら絶対にビクターをやりたい、とも言っていて。
小林 そうなんですね……!
中川 ビクター・フランケンシュタインを“気が触れた博士”の一言で表現してしまうアプローチもあるかもしれないけど、そこにやっぱりそれぞれの俳優のポテンシャルを活かした、血の通った表現があってもいいわけで。パク・ウンテさんが言っていたように、この作品においてはフランケンシュタイン博士をいかに物語の核として表現出来るかで、アンリや怪物の生き方、見え方も変わってきてしまうと。
小林 なるほど〜。
中川 博士がいて、彼によって生み出された怪物がいる、ということですよね。違う言葉で表現されたこの作品を観てウンテさんがそう感じたってこと?と思った時に、自分の何を信じるかだなあと思った(笑)。音楽を信じたり、芝居を信じるということかなと。
小林 僕は今、原作も読んでいる最中なんですけど、原作や台本を読んでも、韓国版を観ても、日本版の中川さん、柿澤さんが演じられたのを見ても、やっぱり自分の中で今もずっと迷っているんですよね。フランケンシュタイン博士もずっと迷っている人間でもあると思うので、そういう部分は投影できるなと思ったり。音楽面での理解度は中川さんがずば抜けていらっしゃるので、そこは稽古を見させていただき、学ばせていただきたいなと思っています。
中川 この役、突き詰めていくと病みますからね。健康第一で頑張ってください(一同笑)。
まさしくミュージカルの真骨頂
作品の力を浴びにきて
――初めてでも三度目でも、模索し続ける役であり作品であることは変わらないですね。どのような日本版再々演が待っているのか、楽しみです。
中川 この作品って主要キャストそれぞれが二役を演じられて、かつキラーナンバーもある。役者からしたら、さあこの歌をどう表現しようか! この二役をどう演じ分けてみせようか!と嬉しくなってしまうくらい、とても贅沢なことだと思うんです。まさしくミュージカルの真骨頂だよね。お客様にも存分に楽しんでいただけるよう、大切に届けていきたいなと思います。
小林 今、“ミュージカルの真骨頂”っていう言葉を中川さんから聞いて、あらためてその通りだなと思います。今自分にとって最も大事にしたい作品なのは間違いないです。毎日カバンに楽譜を入れて歩いているくらいなので。この作品、僕らは確実に汗ダクになるじゃないですか。僕、俳優が舞台上で汗をかいているのを観るのがすごく好きなんですよね。
中川 へえ〜。
小林 それは生身の人間が板の上で頑張って、生きているからこそ、見ることができる姿だから。それだけ魂を込めて生きているんだということに心を動かされる、『フランケンシュタイン』は本当にそういう作品だと思います。皆が魂をかけてどうしたらいい世界になるのかと戦っている作品だと思うので。ぜひ多くの方に、この作品の力を浴びにいらしていただけたら嬉しいです。
中川 小林君、可能性の扉を開けたって感じだよね! フランケンシュタイン・ファミリーにようこそ〜(一同笑)。
取材・文:上野紀子 撮影:興梠真帆
ヘアメイク:(中川晃教)松本ミキ / (小林亮太)田中宏昌(アルール)
スタイリスト:(中川晃教) Kazu(TEN10) / (小林亮太)石橋修一
12月28日(土) 11時より、東京公演のぴあアプリユーザー向けチケット先行を受付開始!
受付期間:2025年1月5日(日) まで
詳細は下記よりご確認ください。(ページは12/28(土)11時より有効になります)
【チケット先行受付】ミュージカル『フランケンシュタイン』東京建物Brilliaホール
<公演情報>
ミュージカル『フランケンシュタイン』
音楽:ブランドン・リー
脚本/歌詞:ワン・ヨンボム
潤色/演出:板垣恭一
訳詞:森雪之丞
音楽監督:島健
振付:黒田育世/当銀大輔
【配役:キャスト】
ビクター・フランケンシュタイン/ジャック(Wキャスト):中川晃教/小林亮太
アンリ・デュプレ/怪物(Wキャスト):加藤和樹/島太星
ジュリア/カトリーヌ:花乃まりあ
ルンゲ/イゴール:鈴木壮麻
ステファン/フェルナンド:松村雄基
エレン/エヴァ:朝夏まなと
笠原竜司、栗山絵美、石川新太
松村曜生、齋藤桐人、宇部洋之、山田裕美子、宮野怜雄奈
半澤昇、荒木啓佑、りんたろう、伊宮理恵
吉田萌美、松田未莉亜、江見ひかる、杉山真梨佳
久信田敦子、荒川湧太、田中真由
SWING:高木裕和、大川永
リトル・ビクター:古澤利空、鈴木琉音
リトル・ジュリア:森田みなも、杉山穂乃果
【東京公演】
2025年4月10日(木)~4月30日(水)
会場:東京建物Brillia HALL(豊島区立芸術文化劇場)
【愛知公演】
2025年5月5日(月・祝)・6日(火・祝)
会場:愛知県芸術劇場 大ホール
【茨城公演】
2025年5月10日(土)・11日(日)
会場:水戸市民会館グロービスホール
【兵庫公演】
2025年5月17日(土)~5月21日(水)
会場:神戸国際会館こくさいホール
東宝 公演公式サイト:
https://www.tohostage.com/frankenstein/
ホリプロステージ 公演公式サイト:
https://horipro-stage.jp/stage/frankenstein2025/
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