アーティスト・三輪途道、山城大督、山極満博らの作品を通して多様な鑑賞体験と出会う企画展『はじまりの感覚』1 月 25 日から
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山城大督《風をたべる、光をのむ》2019 年 作家蔵 撮影:山地憲太
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すべて見る芸術作品を鑑賞する行為は、「見る」だけでなく、「聞く」「さわる」といった様々な感覚や、「歩く」や「座る」といった多様な行為につながるものだ——こうした気づきを出発点に、鑑賞体験をひろげるべく企画された現代美術の展覧会が、2025年1月25日(土)から3月23日(日)まで、群馬県前橋市のアーツ前橋で開催される。
同展の構成は、アーツ前橋と交流のある三輪途道(みわ みちよ)、山極満博(やまぎわ みつひろ)、山城大督(やましろ だいすけ)という3人の美術家の新作と近作に、館の収蔵作品を加えて展示するもの。「鑑賞体験」や「感覚」について館と意見を重ねてきた作家たちの三人三様の取り組み方も同展の見どころだ。
彫刻家の三輪途道は、詩人の谷川俊太郎の詩と自身の作品からなる詩画集『かべとじめん』を視覚に障がいのある人にも楽しんでもらえるよう、手で触れて原画を鑑賞できる「触察板」を制作。見える者は文章を読みながら、見えない者は読み上げられる言葉に耳を傾けながら、指先でゆっくり触れることで作品を感じることができるという。
映像作家の山城大督が手がけたのは、オブジェクトが点在する中に映像作品を映し出したインスタレーション。打楽器や鐘の音、ハミングや歌声が響き渡る展示空間で、鑑賞者が座ったり寝転んだりしながら、聞こえてくる音に耳を傾け、映像やオブジェクトをじっくりと見ることのできるこの作品は、音に色を感じたり、形に味を感じたりする「共感覚」をテーマとしている。
2013年にアーツ前橋が開館した際に館内外に3点の作品を設置した山極満博は、今回、その作品の一部をリニューアルするほか、「こんなところに!?」と思うような意外な場所に新たな作品を登場させる。思わずクスっと笑ってしまうようなユーモアに満ちた作風で、日常の中で見過ごしがちな感覚や問いを呼び覚まし、観る者に新しい発見をもたらすのが山極作品の特徴だ。
こうした作品と館蔵品を合わせて目にしたときに感じるかもしれない戸惑いや小さな違和感、曖昧な記憶が呼び覚まされる瞬間――そうした体験を通じて、新たな気づきに出会うことが、今回のテーマとなっている。なお同展に合わせて、誰もが芸術鑑賞を楽しめる環境づくりを目指す4つの展覧会『MUJI for Public Space in Maebashi「うすい店」展』が、市内各所で開催される。詳細は公式サイトでご確認を。
<開催概要>
アーツ前橋企画展『はじまりの感覚』
会期:2025年1月25日(土)~3月23日(日)
会期:アーツ前橋 地下ギャラリー
時間:10:00~18:00(入場は17:30まで)
休館日:水曜
料金:一般 600 円、大学・65 歳以上400 円
公式サイト:
https://www.artsmaebashi.jp/?p=21013
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